絵画芸術において、画家の画風やスタイルは重要な意味を持ちます。
鑑賞する人々に見てもらう場合「自分のスタイルで表現」できていないと、なかなか興味を持ってもらえず絵を覚えてもらえません。
油絵のいろんな可能性と描き方を知れば「自分に合う方法」を見つけ出し、「自分の表現方法を活かした画風」を作り上げることが可能になります。
自分が絵を描くきっかけは?・・・
自分が絵を描くきっかけを聞いてみると、ほんとの人が油絵を見て憧れたといいます。
僕の友達に聞いてみると、ミレー、ゴーギャン、ピカソ、モネ、フェルメール、モジリアーニ、ボナール、中山忠彦とみんなそれぞれ影響を受けた画家が違います。
僕の場合は、油絵を見るよりアニメや漫画のキャラクターのイラストなどが好きでしたが、ある時レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた天使を見て油絵の美しさに感動したのを覚えています。
まったく信じられない美しさで、今見てもほんとにうっとりするほどの美しさを感じます。

レオナルドが20歳前に描いた天使で、今の自分と同じ歳でこの上ない美しい天使を描いた天才に憧れました。
絵を描くきっかけは大事なことで、その後の自分の画風に影響します。
自分に影響を与えた画家がヒントになり、その人がどのような表現をしたいのか、どのような道に進むのかを参考にすることになるからです。
人はその時々の自分に合うことから「影響を受ける」ようになっているので、いろんな画家から学ぶことになります。
絵画芸術は多くを知り学び続けると、自分自身の思考がまとまっていくのです。
絵で悩む時
「絵で悩む」とは、「絵がほんとに好き」だから悩むのであって、じっくり取り組んでいくことで自己解決できます。
ほとんど最初は形をとるところで悩みます。
絵画の二大要素は、形と色彩です。
初心者は、形を完全にとれるようになるまで時間がかかると思います。
ですが、形が描けてはじめて、色彩へと移行できるのです。
デッサンは絵そのものと考えて真面目に取り組んでください。
その後、造形や、デフォルメ、画材の使い方、色彩、を学んで実践していきますが、
問題は「表現の方法」と「画風」などが、一番悩んで苦労しているところなんです。

(25歳のとき、初めて描いた人物画・アクリルと油彩)
人の絵はよく見えるけど、自分の絵は見えてないという人が多い。
人というのは、そのようなものなのかもしれませんね。
僕もデッサンですべてを、理解するのに相当時間を使いました。
制作でも抽象と具象のはざまで、悩んで苦しんだ経験があります。

(20代に描いた風景画・韓国の田舎 この頃は静物画や風景画に熱中していました。)
ちょうどそのような時代だったんだと今は思えますが・・・
画風を決めるときは、「自分の理想を目指して、自分の得意な技術を活かすことが大切」です。
人の言葉に惑わされないようにして、絵の方向性は慎重に決めましょう。
自分の世界をすでに持っていれば問題ないのですが、まだこれから始める人はじっくり考えてみてください。
これから未来に「自分が活躍すること」を考えて、どのような部門で表現していきたいのかを・・・
「芸術活動はすべて自己責任」なので、よく「考えて決断することが重要」です。
油絵への憧れと画家になる夢
作家は自分の作品を、大きなキャンバスに表現できることを夢見ています。
絵画への憧れとは、どのようなものなのでしょうか?・・・
「自分はどのような作品を描きたいのか」、「どんなことを表現したいのか」、「どんなメッセージを残したいのか」・・・
自分の夢が、あなたを画家にすると考えたことはありますか?
あなたの「絵画への情熱」が、自分を画家への道に導いてくれます。

(注文された鳥の絵・この絵はオーストラリアに旅立ちました。)
20歳で独学で油絵に挑戦した話
独学で油絵を描く事・・・
それは無謀な行為・・・
しかも知識0で・・・・
でも20歳の僕はそれをやってしまいまいました。
油絵の道具を買って、何も知らない知識0でやってしまったのです。
油についても何も知らず、絵具や絵具の扱いと溶剤の知識など、何も知らないまま描いてみたのですが、めちゃくちゃなものになり一回目で挫折を味わいました。
今思えば地図をお持たずに、旅に出たようなものでした。
参考資料もなく、油絵が水彩画のような物と勘違いしていて軽く見ていたからです。
今の便利な時代に、僕のような無知な人はいないと思いますが・・・
当時の僕は今では考えられないほど何も知らない素人でした。

(油絵の具を理解し始めたころの作品)
油絵具を使ってみて悩み勉強を始める
揮発性、乾性、樹脂・・なにこれ??
この意味すら理解できなかった僕も、今は油彩画の専門家になっています。
こんな自分が今では人に絵を教え、ありがたいことに絵の注文も来るようになりました。
油絵具の扱いには誰でも初めは、戸惑うことでしょう。
日本では学校の授業で、油彩画を学ぶこともありませんから。
(美術クラブでは体験できると思いますが、今はどうなのでしょう?)
アクリル絵具は学生でも簡単に扱うことができますが、油絵は西洋の歴史が詰まった伝統の画材です。
アクリルはお手軽ですが、油絵は大人の道具っていう感じで、僕は高級感を感じていました。
実際に、アクリル画の絵肌と、油絵の絵肌を比べてみるとわかります。
油絵はかっこいいだけでなく、とても「美しい」のです。
質感がまるで違います!!

(初期に描いた静物画。やっと油彩に慣れた頃の作品。)
でも、初心者の僕が扱うとしゃぶしゃぶの絵具で、キャンバスに上手く絵具が乗らない・・??
僕は絵具の知識がなかったので、透明色を揮発性油で塗っていました。
当然絵具がしゃぶしゃぶで、キャンバスに上手く付着するはずがありません。
(こんなはずじゃないと、焦りながらいくら頑張っても当然ながらダメでした。)
そんな僕は・・・
なぜみんなが描いているように、重圧な画面にならないのか不思議に思っていました。(笑)
しかも方付け方もわからない始末!
もう最初はパニックでした。
このように知識0から、僕の油絵の勉強が始まりました。
ほんと・・・
絵画教室に行くべきでした。
行動力があっても、その方法と考える角度を間違っていたのです。。。
勉強しなくても自力で何とかなると甘く見ていたのです。
アクリル絵の具とは?
そもそもアクリル絵と油絵の具は、作られた目的が違います。
アクリル絵の具は、壁画用に考案されて作られた絵の具です。
初めはシンナーを使っていたのですが、人に害を及ぼしていて人気がなかったので、改良して水性でも使える便利性と、すぐに乾くように改良された絵の具です。
人口顔料で、野外で楽に作業ができるように科学的に計算して作られています。
ビニール樹脂によるツヤがある絵の具をアクリル絵の具、つやがない絵の具をアクリルガッシュと言います。
イラストを描く人はガッシュを好んで使っています。
画溶液の秘密を知る
若いころ僕は、本をあまり読む習慣がありませんでした。
でも、油絵の勉強のためには、本物の油絵と参考書で学ぶしかありませんでした。
僕は画材屋のおじさんにいつも、いろいろ聞いて勉強していました。
画材の中でも特に画溶液の種類が多くて、いまいち理解していなかったように思います。

画溶液のことに詳しくなる前は、画材屋のおばちゃんに聞いて買っていたのですが、今考えると無茶なアドバイスでした。(笑)
僕が最初に購入した画溶液はベネチアテレピンバルサム、スタンドリンシードオイル、ぺトロール、グレージングワニス、コーパル、でした。
ここでも乾性油を買っていない。
スタンドリンシードではなく、普通のリンシードと間違って買っています。
これらの画溶液を僕は、混ぜて調合するとは知らず、単独で使っていたのです。(笑)
なので、いつまでたっても絵具がベタベタして、乾かない日々にイライラして絵も描けなかった・・・
そしてある時、美術館で古典絵画を見たり、あらゆる書物や情報を手にし、画溶液の歴史から勉強して時代による画溶液の調合を研究しました。
調合方法によっては、一日で乾き仕事がスムーズにいくことに、自分でも驚いたほどです。
そして美しい絵肌とマチエール。
ここから僕は油絵の虜になって、いろんな実験を積み重ねることで、ある程度油絵が描けるようになっていきました。

(左が独自で調合したオイル、右が独自で調合した加筆用ニスルツーセ)
油絵の基礎を習得すれば、何でも描けるようになれる
こんな僕でも、今では油絵を人に教えられるほどになり、マンツーマンで教えてほしいという依頼がよくきます。
最近では、多くの人にその方法も教えています。
油絵の基礎を習得すれば誰でも油絵具を、自由に使いこなすことができるようになっていきます。
油絵は知れば知るほど奥が深い。
これは油絵の歴史600年の先人たちの知恵を受け継いでいるからなのです。
でも基礎を完全にマスターすれば、あとは自分の好きな表現が可能になります。
このことを理解すれば、油彩は誰にでも自由に描けるようになる。
どのように描いても保存状態がいい、ひび割れしない画面を作ることも可能です。

(このモネの作品は大好きですが、実物は画面がボロボロになっていました)
若い時に本物の印象派のモネやマネの作品を見て、ショックを受けた覚えがあります。
写真で見ると美しいのですが、実物は昔の輝きは薄れて画面は、ひび割れて色彩のツヤは消えていました。
100年前の絵より、500年前の絵の方がよっぽど美しさを保っていたからです。

(ヤン・ファン・アイクの絵はまるで宝石のように美しい画面を維持しています)
そこで僕は、徹底的に古典絵画から研究していきました。
印象派の画家たちが、少しでも樹脂を使っていたら少しはましな画面を維持できたと考えられます。
実に残念です。
古代から現代までの技法を研究する
僕はそこから古典的絵画のあらゆる描き方を研究し、また現代美術にも関心があったので、いろんな表現方法を模索したり画風を変えたりしていました。

(30代の頃の作品。珪藻土を使ったミクストメディア)
アクリル絵具、珪藻土、胡粉、日本画の顔料などを使い、具象から抽象まであらゆるジャンルに挑戦していきました。
作品も小さいものから大作まで幅広く描いて、公募展にも出品して賞をもらったりグループ展や個展で活躍もしていたのです。
個展やグループ展では、小さなサイズのSM~30号ぐらいまでの作品が結構よく売れました。

無駄な寄り道をしない方がいい
僕はアートそのものが好きなので、あらゆる描き方や表現方法、技法に関心がありました。
僕のように何でもかんでも好奇心を持ちすぎて、実践しすぎると遠回りすることになってしまいます。
あまり好奇心が多いのも問題で、何か一つに絞れないのは要らない知識を求めて、
お金と時間を無駄にしていることになってしまいます。
いい勉強にはなりましたが・・・
勉強や実験も大切ですが、時間はそれ以上に大切です!!!
人によりますが、「一番衝撃を受けた作品」が「自分の人生の目標」で間違いないような気がします。
あれもこれもいろんな絵から学びますが、自分だけの表現を見つけるのが画家の仕事であり、自分の使命だと思ってください。
やはり、見て憧れるのと、「実際描き続ける」のは違いますので、自分に本当に合っているのかを体験しておくことも大切です。

(紙に油彩のイメージスケッチ)
・油絵はどれぐらいで上達できるのか?うまくなる考え方とは・・・
経験者から学ぶことで10年得をする
僕はなんでも自分一人で独学で、経験を積みました。
20年以上あれこれしてきたわけです。
今思うと、10年を無駄にしてきたようにも思えるのです。
いろんな資格を持っていても、使わないのと同じ感じでしょうか。
今の僕が25年前の僕に助言するなら、月謝を払ってでも自分の尊敬できる画家や、目標とする絵を描く画家に学べと助言してあげたい。
有名画家に学ぶことは不可能に近いですが、基本を完璧にマスターしてハードルを少しずつ上げていくことは可能です。
経験者からすべての技術を学ぶことで、10年は得もしますし、無駄な労力と時間、お金を有効に使って格段に速く活躍していけるからです。
あらゆることを経験者に学ぶことで、何年分も早く技術を習得できることに、若い人たちは気づいていないかもしれません。
若い人には、「芸術は時間との闘いである」という事を知ってもらいたい。
まずは、始める前に自分に多くを投資してください!!
はじめに投資することで、基盤を完全に早く作ることができます。

(油彩・フラワー)
絵を描けるようになるのに時間をかけていては、画家としてのスタートが遅れてしまいます。
基本からある程度描けるようになったところから、やっとスタート地点に立つことになるからです。
描けて当たり前の地点から、画家としてのステージに立ったといってもいい。
基本を最短で習得し、自分の創造性を早い段階で表現できる技術を身につけなくては成功出来ない。
枚数をこなす段階に来た時に、伸びないという事です。
その人によりますが、基本をマスターした瞬間から一気に伸びるときがあります。
その時に、多くの作品を描きまくれば、確実な実力がつく。
技術で悩むことがなくなれば、作品に集中でき精神レベルが上がります。
波に乗って追い込んでいけば、「自分独自の世界観」も表現できていきます。
精神レベルが上がり続ければ、芸術的な素晴らしい作品を生み出すことになる。
どの時代の技法で描くかは本人の自由
基本的な技法や絵の描き方を学んで油絵を理解すると、後は自信がついて自分の好きなように描けるようになります。
下地から溶剤まで自分の絵に合うものを選び、また絵筆の種類から描く手順まで自分の技法を使いこなせるようになります。
どのような画風で、どのようなタッチの色彩で描くかは本人の自由なので、少しずつに自分の好みになってきます。
みんなどのように描いたらいいか分からないと言いますが、自分のタッチは自分にしか描けないし、自然に自分の画風になるので心配いりません。
最初は、先生の画風やタッチなどの「描く手順を徹底的にマネ」します。
先生の画風を真似て勉強しますが、習得できてくると自分の造形の見方になり自分の長所が出てくる。

次に経験を積んで、少しずつ先生から離れるようになり、自分の表現に向かいます。
そして、自分の世界観を自由に表現する方法にたどり着けるようになるのです。
自分の「スタイル」を手に入れる
ここから画家としての自分の造形と、絵に対する考え方を表現することになっていきます。
自分の世界観を確立していくことが、画家になるための次なる課題になる。
自分のスタイルや画風を早くから確立できている人は描いていくだけですが、まだそうでない人はこのスタイルを決めるのに時間がかかります。
スタイルの確立は、世界観がはっきりしてくると速く決まってきます。
人によってそのペースは違うので、気にしなくても大丈夫。
描いていると、周囲の人達の助言などもあるので心配はいりません。
今は自分の気持ちに自然に合うことをしてください。

(去年描いた作品)
自分が好きな事やきっかけになったこと、描きたいものを全てリストアップしてみるといいでしょう。
★自分が好きなことや好きなものを取り上げてみる
・好きな絵や彫刻
・好きな場所
・好きな人や自分の周りの人々
・好きな映画やドラマ
・子供の頃に好きだったもの
・記憶に残る出来事
・思い出の場所や憧れの国
・社会の疑問や不安感
・政治的なこと
・ファッションやグルメ
・自分の日常生活
・自然の美しさや怖さ
・愛や悲しみ
・友情や家族愛
など、自分自身を表現できるものを、何でもいいので組み合わせてみてください。
それをどのように表現するかは、あなたの感性と絵筆にかかっています。
じっくり研究して、独自のスタイルを創っていきましょう!
とにかく思ったイメージを素描をしてください。
そこから自分のスタイルが生まれますから。
あなたに描けないものはない
初めは誰でも初心者なので、自信がないのは当たり前です。
あきらめずに自信をもって、一つずつ前に進めばやがてあなたも立派な絵を描けるようになります。

(オンラインアートスクールの授業の一つ)
「継続力」と「学ぶ素直な姿勢」が変わらなければ、あなたはなんでも描ける画家になれるはずです。
大切なのは、絵に対する自分の信念を貫くことです。
そして、画家になるという決断をすることです!
「決断」とは、自分自身に惜しみなく投資できるかということ!
まとめ
油絵の描き方は、水性の絵の具に比べてハードルが高いと感じる人が多いみたいですが、そのような考え方は油絵の知識と魅力を知らないことが原因です。
古代から現代までの油絵を、たくさん見ることから始めなければなりません。
油絵の具はゆっくり作業もできますし、早く乾かして作業もできます。
知識がない人は勘違いをしているだけです。
各時代のメチエやマチエールを知ることで、油絵の表現の無限の可能性に気づくはずです。
「美」の「観察眼」を開花させることができれば、自分の「オリジナル絵画」は簡単に浮かんで描き続けることが可能です。
絵の具の魅力を体験し、同時に自分の「美意識」を磨くことで画家として成長していけます。
絵の悩みがある人は、「友達はスフィンクス」の無料のメールマガジンに登録してみてください。
いろんな情報をメールでお話ししているので、一人で悩んでいる人は軽く試してみてくださいね!
あなたの画家人生を心から応援しています!!
・絵が上手い人たちは、学んだことを時間をかけて実行している!!!
・「モナ・リザ」と「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の衝撃の真実!!