今年に入って久しぶりに美術館に足を運んでみると、
メトロポリタン美術館展が開催されていて大いににぎわっていました。
お客さんのお目当ては「カラヴァッジョ」、「フェルメール」、「レンブラント」、「ルノワール」でしょうか。。。
フェルメールの人気から始まった、西洋絵画ブームは今も続いています。
最近は美術ファンの方たちの眼が肥えてきているのか、20世紀絵画の部屋には人が少なかったのが印象的でした。
以前と違い、人々の関心も違うところにあるように思います。
カラヴァッジョをメインに西洋絵画の歴史を学ぶ
今回のメトロポリタン美術館展は、バロック絵画をメインに西洋絵画の歴史についてわかりやすく説明してる。
17世紀の前後の歴史を通して、15世紀のフラ・アンジェリコから20世紀のゴッホまでの油彩画を見ることで、鑑賞者に西洋絵画の歴史そのものをわかりやすく理解させることに成功していました。
キリスト教500年間の社会の変化と人々がいかにして生活してきたのかを見ることができた展覧会。
そして日本文化と西洋文化、歴史の違いと絵の違い、その役割も自然に理解できたのではないでしょうか。。
多くの日本人が油絵の歴史について学ぶことができた素晴らしい展覧会だったと思います。
日本人の西洋文化への関心はどこにあるのか?
今まで日本人は西洋文化の表面的な部分に関心があり、
必死で学んでは取り入れていき、自分たちの新しい文化を築いて来た。
現在ではそれは当たり前で、何の疑問も持たずに生活して発展しています。
発展してすべてが当たり前になってくると、次は内面的な見えないところに関心がいく。
当たり前のことですが、歴史というものは長くて奥も深いし複雑なものです。
表面的にはマネできても、内面的に理解するには西洋人と東洋人はまったく違う。
例えば、コロナで人にうつさないようにマスクをする日本人を、
アメリカ人は自分勝手な人種と捉えている。
日本人と考え方がまるで違います。
アメリカ人からすると「マスクを人様の前でするなんて、なんて失礼なんだ!」っという感じです。
我々からしてもアメリカ人の発言には理解に苦しみますよね。
ビジネスでもそのような常識や、考え方の違いは多いと聞きます。
西洋の人たちは東洋人の思想や文化に関心があるように、
東洋人も西洋の考え方や捉え方と、前向きな思想に関心があるのだと思います。
我々にはない角度からの「見方と考え方、感じ方」にです。
西洋の伝統ある古い油彩画の科学は、現在の我々にも何かを教えてくれています。
絵を買わない?絵が買えない?
現在の我々の生活スタイルで、自宅に絵を飾る人の割合は非常に少ない。
絵が自宅にあるという人は少ないが、絵が好きな人はわりと多い。
日本人の感覚では、イラストやアニメなども「絵」と見ているようです。
好きなイラストのポスター、プロマイドなどを大切にする方も多いですよね。
気軽に楽しめるポスターくらいは持っているとしても、
本格的な一点物の画家の作品となると、なかなか所有している人はいないのが普通だと思います。
美術関係者ではない一般の方が、現代作家の作品を見る機会ってどのくらいあるでしょうか?
絵が好きな方なら百貨店の美術画廊やよく行くギャラリーがあると思いますが、
知らない人はネットで見れる作品に限られています。
日本的と決めつけられた生活スタイルからの脱却
日本の生活スタイルは欧米スタイルとかなり違います。
日本の家は廊下と部屋が狭いこともあり、「洋画の幅の広い額縁に入った絵を飾ると部屋が狭く感じるので絵は飾りにくい」という意見があります。
それほど私は気になりませんが、日本の過半数の人はそう感じるみたいです。
飾っても選ぶ絵は掛軸か、薄い版画などになってしまう。
「油絵は好きで憧れるが家には合わない。。。」
そう思って洋画は購入しないのです。
あとは、「家の壁に穴をあけたくない」「シンプルでいい」という考え方です。
最近の若い人ほど洋画や現代美術に関心があって、ローンでも購入する人がいるのですが、
それはごく一部の新しい生活スタイルを目指している新コレクターです。
SNS(インターネット)で世界の素敵な生活スタイルから何かを感じて学んでいる人たちですね。
憧れの絵を美術館で見て感じたことを、自分たちの生活にも取り入れる。
今までは観て憧れだけで終わっていた人も、日本の古美術と同じように現代の新しい美術にも関心を持ってもらえると嬉しいですよね!
入門編としてはじめは、ネットの個人ショップで購入してみるというのが流行っているみたいです。
気軽に買えるところに魅力があるのかもしれません。
いろんな人が気軽に絵を買うようになっていくと、日本の文化も少し変わってみんな一つ上の暮らしを目指すようになっていくと思います。
まとめ
メトロポリタン美術館展への来場者の数には驚かされました。
これまで海外の美術館展には多くの来場者が来ていましたが、その人気は衰えるどころか増え続けています。
西洋文化への関心と洋画の人気は今年も続くでしょう。
ですが、現代の美術となるとそうではありません。
展覧会について知らない方が多いし、絵をどこで販売しているのかも知らない。
また、高価だという思い込みにより、関心を持てないという原因もあります。
日本での絵画評論家の地位は低く、社会的な芸術家への関心も残念ながら低すぎる。
今コロナ禍で人々は色んなことを思い、考えて、感じていると思います。
そんなときに行きつくのは「芸術の魅力」だったりもします。