油彩の豆知識を3つ+方付け方を紹介

油彩を初めて使う人達の悩みで一番多いのは、絵の具の乾燥速度を速めたい時の方法と、意外にも掃除の方法です。

確かにあまり紹介されていませんので、ここで2つの悩みを解決できる方法を紹介します。

考えてみると僕も油絵を始めたときに、溶剤のことを知らなかったので冬の寒い時期の制作が難航して、前に進めなかったことや方付け方を難しく考えていたことを思い出します。

なので、僕のような人がたくさんいるかもしれないので、おすすめの方法を書きます。

 

油彩の乾燥促進方法

油彩はもともとは、ゆっくり乾く性質を求めた古代の人達は、考えながら写実的な技法を使うために油絵の具を開発しました。

ですが、冬場の寒い時期はなかなか絵具が乾かないことで、制作が進まない時のためのオイルやメディウムも開発されています。

現在では、制作を速めた人が多いことで、さらに科学の力もあり、さらに便利なものも開発され市販されています。

ここでは、絵の具に直接混ぜるメディウムと乾燥促進剤、熱して鉛やマンガンを加えて作ったオイルを紹介します。

 

油彩の乾燥促進メディウム

おすすめラピットメディウム

ラピットメディウムはアルキド樹脂で作られたホルベインの商品です。

メディウムにはいろんな種類のものがあり、自分の制作と絵に合わせて使います。

ラピットメディウムはパレットにおいて、絵の具に直接混ぜます。

このメディウムの特徴は、描いているときは普通の絵の具を使っている感じで、ゆっくり制作できるところです。

盛り上げる時も大量に使えますし、色によりますがほぼあくる日には、乾燥して制作できます。

また画面への影響もなく、ホワイトも変色しませんし、ひび割れもしません。

僕はこのメディウムが一番使いやすく、スムーズに制作できています。

夏場はより乾燥が速いので、容量に注意が必要です。

容量で乾く速さが決まり、普通に毎日制作できるというところで満足できます。

このメディウムは、古代にはなかった人工樹脂のメディウムです。

古代の絵のメティエを目指す人にはおすすめしません。

初心者におすすめです~!!

 

ストロングメディウム

こちらのメディウムはいろんなメーカーでも名前違いで(速乾メディウムとか)、販売されています。

メーカーによって非常に速い速度で乾燥しますので、使い方には注意が必用です。

最近は、いろんな種類のメディウムがあり、間違って購入する人もいるので、お店の人に聞いて購入してください。

メーカーによって樹脂の調合によっては、使う量が決まっていることもあるので、使いすぎると画面に影響を及ぼす場合があります。

メディウムの中には、古典的に使われていたヴェネチアンメディウム(プロ用)とかもありますが、まったく違うメディウムなのでまちがわないようにしましょう。

ストロングメディウムは真冬の寒い時期に使うと効果的です。

 

フレミッシュメディウム

これは伝統的なメディウムです。

スタンドオイルとマスティック樹脂で作られたメディウムで、古代から使われていたプロ用のメディウムになります。

光沢と透明感があり、細かい技法に適しています。

またインパスト(盛り上げ)に使えます。

そのままか、オイルで薄めて使います。

プロ用ですので、初心者にはおすすめできません。

 

油彩の伝統的シッカチーフ

フラマンシッカチーフ

このフラマンシッカチーフはフランス・ルフラン&ブルジョワの商品です。

古代からよく使われているコーパル樹脂、一酸化鉛とパンドル、スタンドリンシードオイル、テレピンで調合して作られています。

乾燥促進だけでなく丈夫な画面を作り七宝のような光沢のある画面になります。

そのままテレピンで薄めて使えますが、黒いオイルなので、絵の出来も少し暗くなります。

おすすめの使い方は、調合したオイルに少量を加えて使う方がいいと思います。

リンシードやポピーオイルとテレピンで調合して使うといいでしょう。

調合で使うオイルは、画家によってみんな違います。

自分の使いやすいオイルを作りましょう。

(入れすぎると、べとつき描きにくい画面になるので注意!!)

 

ハーレムシッカチーフ

ハーレムシッカチーフは画面の光沢調整で使えます。

乾燥速度はフラマンより、少し遅いといえます。

最近のハーレムシッカチーフはいフェノール樹脂を使っています。

ボタンとかに使う樹脂を改良して油絵用に使っています。

プロたちにはあまり使われていませんが、科学的には絵具の変色がおきないことと、丈夫で光沢のある絵に仕上がるとされています。

画面がツルピカになります。(ルフラン)

メーカーによって作られかたや、使う容量は違います。

説明書をよく読んで使いましょう。

・「メーヘレン」のフェルメール贋作とフェノール樹脂

ホワイトシッカチーフ

無色のシッカチーフで、鉛や亜鉛で作られています。

内部からの乾燥が協力であり、絵の具のツヤを無くします。

使う容量は、ペンティングオイルに対して10%くらいまでです。

無色透明なので、どのような絵の具にもつかえます。

変色することはほぼありません。

使いすぎると絵の具のひび割れ、ひどい時は画面が欠落する恐れがあります。

一般的に愛用されているシッカチーフです。

 

油彩の乾燥が速いオイル

ボイルドリンシードオイル

リンシードオイルに乾燥促進剤を加えて加熱して作られています。

普通のリンシードオイルより乾燥が速く、光沢のある画面になります。

大量に使うい絵具を厚塗りすると「ちりめんじわ」になるのと黄ばむおそれがあります。

使い方は、できれば単独より半分ポピーオイルとリンシードオイルを混ぜて使うといいでしょう。

粘りはありませんので、バルサムかスタンドオイルを混ぜると粘りが出ます。

ボイルドポピーは逆に乾燥が遅いのとべたつきがあるのでおすすめしません。

巨匠では、ヴァン・ダイクが好んで愛用していました。

・「ヴァン・ダイク」華麗なる肖像画家

 

サンシックンドリンシードオイル

伝統的なオイルで、長期間日光に照らして空気と水のさようで作り上げることでハチミツのような粘りがあります。

粘りがよく、普通のリンシードオイルよりも乾燥が速いのが特徴で、筆後がない画面も作れます。

やや光沢があり、テンペラ用のメディウムとしても使います。

巨匠のレンブラントも愛用していたオイルで有名です。

メーカーによって色の濃さは製法によって違います。

メーカーによっては乾燥速度も変わってきますので、注意して選びましょう。

 

ブラックオイル

ブラックオイルは加工乾性油で、プロ用になります。

元はウォールナットオイル(クルミ油)で作られていましたが、ウォールナットオイルはイタリアで使われているオイルです。

多分このおいるはルネサンス後期に使われていた可能性が大きいと思います。

このウォールナットオイルで作ったブラックオイルは変色しません。

17世紀にはオランダでリンシードオイルで作られ、レンブラントをはじめとした画家たちが愛用していました。

伸びもよくいろんな技法に使えます。

ですが、ブラックオイルは日本で、「クサカベ」でしかこのオイルを市販していません。

黒いオイルでもあり、リンシードによるブラックオイルは、画面を少し暗くする恐れがあります。

使うなら、イタリアのマイメリのウォールナットオイル使用のブラックオイルがおすすめです。

今現在市販されているかは不明ですが・・・

フランス・ルフランのブラックオイルは廃盤になりました。

・初心者が知っておきたい画溶液の種類

・「油絵」を初めて描くのに必要な色

・油絵のおすすめメーカー絵具紹介

油彩の最後の方付け方

油彩の方付け方はブラッシュクリーナーで簡単にできます。

手順としては簡単ですが人によって道具の使い方は違うので、ここでは僕が日ごろ行っている方法で説明していきます。

パレットを掃除する

ブラッシュクリーナー(洗浄液)は各メーカーで取り扱っています。

メーカーによって値段が違いますが、安いもので十分です。

ほとんど変わりません。

まずは容器にブラッシュクリーナーを入れて使います。

この容器に入れることで、臭いをシャットダウンすることが可能です。

アルミの軽いものもありますが、こちらの方をおすすめします。

まずは、パレットの要らない絵具を削り取ります。

まだ綺麗な絵の具はそのまま置いて使うのが一般的ですが、僕はその方法が好きではないので、すべて綺麗な状態にかたずけます。

もし、綺麗な絵の具が残った場合は、新聞紙かほかのパレットに移してラップで覆って、空気が入らないように保管して次の日に使います。

ナイフとった不要な絵の具は、新聞紙に塗りつけて処分します。

木製パレットでも同じようにします。

絵の具を全部とり終えたら、ぼろ布かキッチンペーパー、ティッシュなどでふき取ります。

今回僕は、ティッシュでふき取りました。

少しブラッシュクリーナーをつけてふき取ります。

この作業は筆を洗う前に行ってください。

筆を先に洗うと洗浄液が濁るので、パレットから掃除しましょう。

ぼろ布に濡らして新しい洗浄液を使う方法もありますが、ブラッシュクリーナーが早くなくなってしまうのでこの方法の方がいいと思います。

いつもきれいにすることで、描くとき新しい気持ちで制作できます。

 

筆を洗う

まずは、新聞紙に筆についた絵具をこすり取ります。

なるべくきれいにとってしまいます。

そしてブラッシュクリーナーが入っている、容器ですすぎます。

はじめに少量の液体を筆先つけて、新聞紙に絵の具絵を吸収させます。

ある程度筆の絵具が落ちると、筆を洗います。

すすぎ終わるとこのように絵具がとけてなくなります。

そして洗った筆を新聞紙にこすりつけ水分を取り除きます。

ここで、ぺトロールで濡らして、もう一度綺麗に筆を洗う人もいます。

僕はやっていませんが、高い筆を使う人にはおすすめします。

筆が長持ちします。

この後洗面所でお湯か水で石けんかハンドソープを手のひらにつけて筆をこすり取ります。

できれば温いお湯がいいでしょう。

油が落ちやすいので綺麗に洗えます。

水でも大丈夫ですが時間がかかってしまいます。

ブラッシュクリーナーをこの方法で、掃除に使うと容器の中のクリーナーは自然に減ってきます。

ここに新しいクリーナーを入れると綺麗になるので使い続けることができます。

ブラッシュクリーナーは時間がたてば底に絵の具がたまる仕組みになっています。

掃除をして、新しくしたいときに、ブラッシュクリーナーを固めるエコロイルというものがあります。

(これは、油を固めるパウダーで画材屋に売っています。)

掃除を終えた新聞紙と布やティッシュは袋に入れてゴミ袋で処分してください。

・油絵の具のパレットの種類

 

油絵の具の臭いについて

よくある質問で、油絵の具やブラッシュクリーナの臭いが気になって眠れないという人がいます。

できれば、絵を描く部屋を別にしてください。

もしくは、描いた絵をベランダか他の部屋に移して、部屋の換気をして寝てください。

油絵の具は、空気と油の結合によって乾きますので、眠っているあいだに害があるかもしれません。

無臭の油絵の具「ゼファ」がクサカベから発売されていますが、それでも同じことです。

(オイルの臭いが苦手な人はこの絵の具がおすすめです。専用の無臭オイルもあります。)

 

まとめ

今回は、油絵の制作を左右する乾燥促進剤について書きました。

僕が愛用している油剤ですが、わからないことは画材屋さんで聞いて自分の望むものを選んで使ってください。

何事も経験をつむことで、自分に合う溶剤を選べるようになります。

初心者は初めは簡単なものから使ってみましょう。

制作はできるだけ、寝る部屋と別にするか絵を移動させてください。

また、換気を忘れずに!

・「石膏による水性の下地」のつくり方

・油彩の薄塗りとスフマート

・ナイフで描く油絵

・「ヴェラトゥーラ」と「フロッティ」2つの技法を解説!

・バロックのデッサン

・「絵の評価が高い人」のタイプの要素は5つある

・画家は絵の道具にこだわるべき?

・絵が上手い人たちは、学んだことを時間をかけて実行している!!!

・油絵を始めるために、知っておきたい大切なこと

・風景画の基礎知識

・「メーヘレン」のフェルメール贋作とフェノール樹脂

・油彩のおすすめオイルを紹介!!

・油絵初心者が知っておきたい画溶液の種類

ABOUTこの記事をかいた人

画家活動をしています。西洋絵画を専門としていますが、東洋美術や歴史、文化が大好きです。 現在は、独学で絵を学ぶ人と、絵画コレクター、絵画と芸術を愛する人のためのブログを書いています。 頑張ってブログ更新していますので、「友達はスフィンクス」をよろしくお願いします。