画家の画風は時と共に、誰でも多少は変化するものです。
その変化というのも画家によって違います。
ある画家は、描く題材は同じでも描き方やタッチなどが変化する。
また、ある画家は、描く題材や画風までがらりと変えてしまいます。
抽象から具象、具象から抽象と、さまざまです。
その人の環境や才能によって、画家の人生の方向はそれぞれ全く同じではありません。
あなたはどちらの世界の画家でしょうか。
画家の画風は変化するものなのか?
画家の画風は、画家の生活や心境によって変化します。
安定的に進んでいく画家も確かにいますが、年齢を重ねるごとに描くものや技術的なところで違いが見えます。
生活環境によって、しかたなく変えざるおえないときもあれば、自分の心境の変化でガラリと絵のカラーや描く画題などを変えてしまう場合もあります。
どちらにしても画家の初期段階には、何度も試行錯誤を繰り返し、自分自身のオリジナリティを探すことになります。
そして、自分の思想を追求すればするほど新しいことをすることになる。
画家の気持ちが変われば絵も変わる
画家の気持ちが変われば、同じ絵を描いても違う絵になっていくでしょう。
心がそのまま絵筆を通して、キャンバスに描かれるのですから。
特に色彩や、筆のタッチなどはよく変わるでしょう。
人は年齢を重ねるごとに、体も変化していきます。
特に目などは、年齢を重ねるごとに悪くなるものですから、今まで見えていたものも見えなくなってきます。
そのため、古代から画家は晩年になればなるほど、筆のタッチは大きくなり省略する人が多いのです。
同じモチーフを描く画家
20世紀になると、古代の画家たちと違い、同じ題材やモチーフを生涯描き続ける傾向が増えてきました。
それは、そのときの画家の絵の題材が人気があったことも関係します。
花を描き続ける画家、女性を描き続ける画家、馬や鳥を描く画家など、いつもお決まりのモチーフをいろんなストーリーで描く。
これは、自分自身の分身として、表現しているようなものです。
アニメのキャラクターのような感じで、画家の絵の中に住んでいるという感じです。
画家が描けば描くほど、そのキャラクターは絵のなかで生きることができる。
その画家の世界を見たい人が、展覧会場に来て好きな場面を購入するという感じでしょうか。
決まった題材を持たない天才画家
古代は宗教画や神話画、肖像画、などがお決まりの題材でした。
そのなかで、自分が描きたいテーマを選んで描けるだけでした。
唯一、肖像画だけが現実を描ける絵で、ほとんどが宗教画と装飾的な仕事だったのです。
その中でもレオナルド・ダ・ヴィンチは「モナ・リザ」というまったく新しい絵を描いています。
これは、ただの肖像画の域をはるかに超えた絵画世界でした。
他にもティッティアーノ、レンブラント、モロー、クリムト、ルノワール、ダリ、マチスなどもそうですが、、、
20世紀になるともう一人の天才ピカソがいます。
彼が描く絵は何年かに一度はまったく別人の絵になっている。
画風は違ってもなぜか、すべてピカソらしい作風で統一感があります。
このように、まだまだ歴史の中には優れた天才画家たちがいる。
まとめ
画家の人生と世界観などで、描く対象が変わるように、絵の画風もそれに沿って変化していきます。
これは、人間の成長と同じで自然に変わっていくものです。
変わらないからいけないのではなく、思想や創造性に合わせて変える必要がある場合に行われていくもの。
特に、画家になってからの最初の時期は、いきなり固定したスタイルであるわけがなく、自然と自分のスタイルになっていく経過でもあります。
時を重ねるごとに、自分の世界がはっきりしていくと、いつかは自分の転換期というものを体験するようになる。
探求心が強い人は、何年かに一回は何かを変えていることもよくありますが、これが良いのか悪いのかはその人の才能によって結果は違うものになります。
・人物画を得意とした巨匠たち(ティッティアーノ、ベラスケス、グルーズ、ルブラン)