絵はどのような人が買うのか?
僕の絵を買ってくれた人を参考に、印象的だった購入者について書いてみました。
僕の絵を買ってくれた人たちは、絵をコレクションしている人と、初めて購入した人の両方でした。
意外とみんな絵が好きでも、なかなか自分の気に入る作品に出会えないと言っていたのを思い出します。
絵が好きな人は結構いる
絵に興味はあるが予算もある
展覧会でいろんなお客様が僕の絵を見に来てくれましたが、絵が好きでギャラリーまわりを楽しんでいる人がいます。
そのような人は自分の趣味で絵をコレクションしている人が多いようです。
18年前ほどになると思いますが、グループ展に参加した僕の風景画にすごく興味を持った男性がいました。
その作品は50号(116.8×97.0)の作品で額縁をつけていたので一回り大きいサイズになります。
この作品は山につながる道を描いた作品でしたが、写真を探しても出てこないのでありません。(僕は昔から写真を撮る習慣がなかったので、売れた作品の記録が少ないことから今では後悔しています)
ある会社の社長さんでしたが山の絵を大変気に入り20分ほど鑑賞していました。
僕のいない時にこの絵を3人の男性が欲しがっていたようです。
男性たちは「男のロマン」だと語っていたそうです。
「この絵いくら?」と画廊オーナーに聞いたところ「70万です」と答えると「やっぱりそれぐらいはするか・・・」といい残念そうに帰ってしまいました。
男性は大きなリビングに飾る絵を欲しがりますが、大きいサイズになると値段も大きくなるので予算に合わなかったようです。
結局この作品は母と娘の親子が購入しました。
絵を買う人の平均金額は・・・
現在絵を描く人と絵を買う人は増え続けています。
これは世界共通です。
SNSの力もあるのですが、一人暮らしの人が多いのも関係しているようです。
スマートフォンでの情報が多いため、昔に比べると絵の情報や知識を得る機会が増えているのです。
一人暮らしになると、自分の趣味の方向に心が動くようで、ゲームやアニメ、イラスト、現代アート、写真などの作品を購入、またはコレクションしている人が増えてきています。
特にゲームキャラクターのイラストやアニメイラストの版画などは若い学生から大人まで幅広い人気があります。
イラスト版画の購入金額は、9万~26万円が良く売れていて、ローンで購入する若者が多いようです。
現代アートは最近素人からプロの作品までよく売れる値段は3000円か~120万円で幅が広いのですが、素人の学生画家でも絵が売れているのです。
売れているといっても3000円からなので友達が買ってくれる値段ですが、それでも購入して家に飾っているということの方が素晴らしいことだと思います。
なかなかこのようなことは、僕が子供の頃からの日本の社会ではあり得なかったことです。
このようなアートを自分で購入していく行動は、欧米人の習慣なのですが、日本の若者にもこのようなアートに関心が芽生えてきているようです。
あと一番人気の現代版画は、1万~36万と技法によって違ってきます。
サラリーマンの平均購入金額は7万~30万円の間の作品が一番人気。
わりと6号(40.9×31.8)~10号(53.0×45.5)までが買いやすく家に飾りやすい大きさのようです。
やはり、家に絵があるだけで1ランク上の生活をしている気分になれるという意見が多い。
個展やグループ展で絵が売れる
家にテレビがない人が絵を購入
僕の個展会場で飲食業の社長さん家族が来店して、風景画を見てとても気に入ったようでした。
社長さんはテレビが嫌いな方で、ラジオと新聞をよく見るといっていました。
テレビがないので壁のスペースに絵画を飾りたいので、8号(45.5×37.9)のグリーン色の山の絵を購入しました。
僕は家にテレビがないことに少し驚いたのですが、この人は絵を大切にしてくれる人だと感じたのです。
夫婦のコレクター
絵が好きな夫婦が展覧会場で作品購入を二人で決めている姿はとても楽しそうで、お互いの意見が一致した時に決まるのですが、時には意見の食い違いで合わない時があると購入までの時間が長引くばかりか、購入をやめてしまいます。
僕の静物画アンモナイトとサクランボウを描いた小さい作品は、会場に入るとすぐに購入が決まりご夫婦のお気に入りコレクションになりました。
(この絵の写真と山の写真は、あると思うのですが行方不明で探し中です)
絵の依頼
お店に飾る絵を依頼される
知り合いのお店に飾っていた静物画を見た常連のお客さんが、僕に絵を依頼したいと連絡がありました。
その依頼人は、60歳くらいの男性でいろんな仕事をしている人でした。
依頼の内容を聞くと、少し変わったピエロの絵(明るくてかわいい)を描いてほしいとのことで、ある喫茶店のオーナーへのプレゼントというお話でした。
サイズは10号(53.0×45.5)で36万円で引き受けました。
依頼される絵は依頼者の想像と違うものになる
受け渡しのお相手が女性だったので、僕もかわいい女性のピエロを描く事にしました。
僕の絵のスタイルで、このような絵はあまり合わないと思いつつ、このスタイルの絵でいいと思い依頼してきているので気にしませんでした。
引き渡し当日、依頼者の男性は、自分の想像するピエロと違うので僕の作品は気に入らない様子でした。
彼の想像するピエロは昭和の画家たちが描くピエロだったようです。
そのことは僕も気づいていましたが、女性のオーナーと娘さんが経営する喫茶店には合わないと思い、フランス人女性のピエロを描く事にしました。
女性オーナー家族は僕のピエロの作品に大満足してくれたので、僕は一安心で自分は正しかったと思えたのです。
もし気に入ってもらえなかったらと考えると、依頼も選ばなければならないと考えを改めました。
プレゼントされる絵画
新築を建てた記念に絵画を買う
日本では新築祝いに絵画をプレゼントする人と自分で購入する人が多いようです。
特に新築祝いは女性の購入者が8割。
欧米でもこれは同じようです。
あとは自分たちで新築の家に合う作品を購入する新築オーナーの数は年々増え続けているようです。
僕もそのような光景をよく見てきたのですが、自分が好きな作品をプレゼントするのは相手にとって迷惑な場合もあるのです。
例えば知り合いの女性がパステルで描いたヌードの絵をプレゼントして、相手が困った話です。
プレゼントされた家族の反応が良くなかったのは、芸術の知識がないという問題ではなく、いくらいい作品でも家族には裸絵はいやらしいものにしか見えていませんでした。
もちろんこのヌードの絵を新築祝いに渡すのは間違いです。
その作品はあとで送り返されたようです。
送る作品は相手の好みに合わせなければなりません。
子供ができたので子供の部屋に飾る絵を購入する
あるとき子供が生まれて、子供の部屋に飾る絵と廊下に飾る絵を依頼されました。
小さいサイズ3点です。
子供が鳥が大好きなので鳥の絵と果物の静物画でした。
この三点はわりとやりやすい依頼でした。
子供のための絵なので自然そのもので十分表現できて、わりと楽しんで制作できたと思います。
子供たちは鳥の絵を大変気に入り、今その絵はオーストラリアにあるようです。
まとめ
印象的な購入者のお話をしてみました。
いかがでしたか?
絵を売るのは、なかなか難しいですがファンが増えれば絵も売れ始めます。
僕の場合は、静物画と風景画、動物系などの絵がよく売れました。
最近は、人物が良く売れています。
皆さん、それぞれの趣味があり、注文されることもあるのですが、これがほんといい絵にするのが難しい。
やはり、自分の気持ちと違うモチーフになると、気持ちは入りにくいのが正直なところです。
コレクターが増えると、画家もやる気が出る!!
また、参考になりそうな話があれば次の機会にお話したいと思います。