一般的に名画をみたり、有名な作品を見るとほとんどが油絵ですよね!
なぜか、僕は子供の頃からの常識的に油絵が、世界最高の絵画道具のような印象を受けていました。
東洋の水墨画や日本画もとても美しいですが、西洋絵画は日本ではなかなか見れないということで、憧れのような目で見てしまうのでしょう。
油絵の何とも言えない力強いマチエールと、光沢のある美しい画面。
もし画家を目指しているのなら、是非油絵の魅力を感じて欲しいと思います。
油絵への憧れ
美術の代表油絵
美術,芸術というと皆が思い浮かべるのは油絵です。
油絵は今から500年以上前に生まれましたが、それ以前古代エジプト、ギリシャ、ローマの時代には蝋画₍エンカウススティック)という蝋を使った絵を描いていました。
この絵を描く方法は蝋を溶かして、顔料と混ぜ、鉄板のような温かいパレットの上で、蝋に絵の具をまぜて熱いうちに板に塗りつけて定着させる焼きつけ画でした。
またテンペラ画(卵を使ったメディウムを顔料に混ぜて使う)の上に蝋やワックスを塗り、溶かして光沢を与えた絵などが、人類の歴史で最も頑丈で、色あせないタブローを作ることができた方法だったのです。
その後、中世の時代に職人たちが油を蒸留する技術を発明し、油絵の基本になる溶剤を開発します。
そして職人たちの度重なる改良により、15世紀に今の基礎になる油絵が誕生したのでした。
油絵の美しいマチィエールと存在感
油絵の魅力は、時代の様式によって違いがあります。
僕は15世紀から17世紀の作品が非常に魅力を感じています。
・15世紀は、下地が白を使っていて溶剤の樹脂の分量が多いのとパートをはっきり分けて塗り重ねる方法で今でも色彩は宝石のような美しい絵肌です。
・16世紀になると下地も茶色い色になり、絵の具も練り合わせ剤の開発により薄い絵具から今の油絵具の形をつくりあげました。
そして板絵からキャンバスに代わっていきます。
・17世紀には揮発性油と油の量が増え樹脂を使う画家が減っていきます。
これは絵の具を厚塗りできるようになったのと、絵具の乾きを速めるためでした。
またキャンバスに描けるようになり作品が大きくなったためでもあります。
油絵は豊かさの象徴?!
「油絵があの友達の家に飾ってあった」とか「あの人油絵を3点所有している」など子供のころよく話題になったのを覚えています。
なぜか少しいい暮らしをしている友達の家にお邪魔すると、有名画家の油絵が飾ってあいります。
風景画、花の絵など、静物画が多かった記憶があるのです。
(僕の絵・20代の作品)
やはり少し余裕ができたり、豊かな暮らしを目指している人達は、油絵を所有するのが人生の夢なのでしょうか。
そして、その絵の内容に近い未来に近づいていく・・・
欧米では成功者が最終的に手に入れたい物は、巨匠の作品を所有することだといいます。
油絵具とアクリル絵具との違い
油絵の絵肌は最近人気のアクリル絵の具と質感がだいぶ違います。
油絵具もつや消しなどの溶剤もありますが、アクリル絵の具のような質感ではありません。
アクリル絵具の絵肌はビニールのような質感で、少々高級感もなく軽い感じの絵肌で、僕も扱っていましたが、あまり好きになれず油絵に戻りました。
(僕の絵)
また、アクリル絵の具は早く乾くのが長所なのですが、油絵の伝統的な技法を使えません。
油絵具は古代の人たちの悩みから開発されています。
実はテンペラ絵の具が速く乾くので、乾かないうちに描くには細密な表現に限界があったため、乾きの遅い油絵具を開発することにより、リアルで美しい表現が可能になったのです。
今の時代と逆の発想せすね。
自分の油絵を部屋に飾りたい人
部屋に油絵を飾ると気分が変わる
絵が好きならどんな人でも自分の部屋に、自分が描いた絵を飾りたいと思うはずです。
自分の描いた油絵ですから思い入れがあり、いつも自問自答するように感じるものです。
自分の描いた絵は、どんな形や表現でも自分の理想と美学が入っていますから、他人から見て興味がないとか下手だとか言われても、描いた本人にしか見えない美があるので本人には全く問題にもなりません。
なので自分の絵を部屋に飾ると、精神的にいいことの方が多いようです。
(僕の絵・20代の作品)
具現化した自分の心が絵具のかたまりになる
作品は本人の具現化した自分の心の一部です。
他人には見えない、または見ることのできない心の奥底と作家の考えが形や色となり、姿を変えて絵として現れて見えているのです。
要するに、花瓶や梨を描くとすれば、描いた花瓶と梨の絵具のかたまりが自分自身になっているということになります。
絵は一筆一筆が自分の魂の一部なのです。
油絵を描きはじめると、自分の美学と哲学を持つことになる
伝統のある油絵具を学び描き続けるうちに、画家は自分の哲学もしくは思想を描き続けるようになっていきます。
油絵具の歴史や巨匠の仕事から、自分の興味のある項目から美を探しだします。
そして、自分自身の性格や考え方を名画に照らし合わせることで、あなたの目が出来上がるのです。
伝統と歴史は、あなたの道の案内人にすぎません。
そこから自分の哲学を持ち、自分の見える世界を描いていきます。
ある人はスーラのように点描に見える、ある人にはモネのように黒のない世界が見えていくように。
どんなふうにでも描けるようになれます。
油絵の魅力
樹脂による重圧な光沢のある画面
油絵の魅力の一つは、樹脂と乾性油による丈夫な光沢のある画面です。
印象派以降の作品には、この樹脂を使わずチューブ絵具に少し入ったオイルや、少量のアルキド樹脂だけで、画家たちは東洋画の影響もあり、光沢と丈夫な画面を作る描画用ニスを使うのをやめてしまっています。
この樹脂類を少しでも使うことで、色あせない美しい画面を維持できるのです。
現代のどのようなスタイルの絵画でも、オイルの調合次第でそれは可能になります。
油絵具の美しい色彩
古代から天然の顔料は、とても美しく500年前の色彩でも色あせていません。
この天然顔料は宝石のごとく輝き、多くの人々の心を、いやし続けてきました。
油絵具の色彩または画面は、自然の力そのものなのです。
顔料は天然石、土類、植物などから採取され、オイルも、松脂、植物性油など天然のものだけで出来ているのです。
油絵は自然物からできた、この世で最も素晴らしい画材なのです。
今は人工顔料の発達で、さらに新しい色彩も生まれています。
油絵とメチエの魅力
メチエとは職人の技術や技などの意味になります。
日本でも人気がある代表的な画家、17世紀の巨匠フェルメールなどが有名ですが、彼も当時の職人の一人にすぎない存在でした。
フェルメールのメチエは17世紀の油絵の技法の数々を最大限に引き出した画家なのです。
現在でもフェルメールの美しいメチエを目指す人たちが後を絶ちません。
油絵の技法の数々
絵具の使い方
絵具の使い方はさまざまで、100人100色と言っても過言ではありません。
薄描きの人から厚塗りの人まで画家によって、表現は自由です。
(僕の絵・20代の作品)
油絵はどんな方法でも対応できます。
グレーズ、プリマ、スカンブル、グラデーション、インパスト、ハッチングなどの技法を使えば、風景画、人物画、静物画、動物画とあらゆるものを描く事が可能になります。
油絵は描く絵によって溶剤を選ぶ
絵によって使う溶剤の種類も違ってきます。
印象派やモダンアートのような画家たちは、割と乾きが早くさらりとした画溶液を望んでいました。
ですがその画溶液は接着力が弱くひび割れ、今では当時のチューブから出した絵の具の輝きや美しい色彩は失われています。
どんな作品を描くにしても、溶剤について学び選ばなければなりません。
(僕の調合オイル)
僕はこの20年間で、だれでも使える素晴らしい配合を見つけました。
15年前の作品を今見ても、絵肌と色彩は当時のままです。
油絵と世界観の構築
自分の思う夢を描くには、まず世界観を構築していかなければなりません。
なんとなく思い浮かべるだけでなく、あなたの世界のストリーを描けるほどの形を自分の中で作り上げていくことが重要だと言われています。
でも、別に説明的である必要はありません。
(僕の絵・20代の作品)
その世界観は、絵を描き続けていれば、自然にあなたの絵筆から出てきます。
それが実現するのはいつになるかわかりませんが、自分が止まらずに前に進み夢の中の世界を描き続けていけば、自然にその時期が来ます。
画家として技術の向上を目指す
世界観の構築と同時に、絵の技術向上を目指してどんどん絵を描く訓練と努力、研究を怠ってはいけません。
画家は目に見えるものと、目に見えないものの両方を描けなければいい画家とは言えないとダ・ヴィンチは言っています。
デッサンや油絵のテクニックはもちろん大事で、それはあなたをいずれ助けてくれる大切な技術になります。
もし全てを失ったとしても、自分の技術があなたを助けてくれるはずです。
油絵誕生600年の歴史を自分の物にできる時代
今現在僕たちは、西洋文明の最大の発明油絵を描ける環境になり、日本の文化を西洋人が学んで僕たちと文化を分け合っている時期に来ています。
これから世界の文化は、みんなの大切なものになっていくに違いありません。
600年の油絵の歴史は今世界に広がり、その素晴らしい技術を分かち合う喜びに遭遇していることに、あなたも気づいているはずです。
油絵の世界は、アートの重要性を認識している一人一人が伝承者のようなものです。
今は誰でも、アーティストになっていい時代の入り口に入っていくときなのです。
(僕の絵部分)
油絵で自分のスタイルを作り上げる
絵で自分のスタイルを作り上げるのは大変なことのようですが・・・
この自分のスタイルが決まっている人は、自分の世界観をはじめから認識できている人です。
あとは技術の向上と、世界を広げていくだけです。
でも、まだスタイルが決まっていない人が、無理にスタイルを作るのはいいとは思えません。
無理にスタイルを作って同じものばかり描くのではなく、あらゆるものを描いて行き、自分の気持ちや、心が自然に動くものを取り上げてみてほしいのです。
(僕の絵)
その方が自分の心が自然に流れていくので、無理なく制作を進めていけると思います。
無理に作ったスタイルは自分の心と少しずれているので、長続きしないどころか道に迷うことになるからです。
自分の心に自然に合った作品を、いくつか組み合わせてみるのが一番いい方法の一つです。
作品を制作していて次の展開が想像できてきたら、あとは心配いりません。
描き続けていけば、自分自身の作品スタイルを確立できるようになります。
まとめ
油絵の歴史から、油絵の魅力を書いてみました。
いかがでしたか?
制作する意欲や自分の目標を、絵画芸術につぎ込む準備はできたでしょうか?!
これから油絵を始める人は、楽しみで仕方ない反面、不安感もあるかもしれませんが、名画が好きならこれから楽しみながら学んで行ってください。
この「友達はスフィンクス」はあなたの絵の悩みや、名画の秘密など絵の勉強になる情報を提供しています。
是非これからも、このブログを利用してください。
きっとあなたも、素晴らしい絵が描けるようになれるはずです。
・「油絵の描き方」を知れば独自の「スタイル」を作り上げることができる