線で描く絵画

線で描く絵画は、基本を学ぶ上でとても大切です。

なぜならこの線について知っていないと絵画的表現を

自由に行う事ができないからです。

デッサンから油彩画まで線の表現はあらゆる場面で必要になります。

線による表現から、鑑賞者は画家の感情を感じとることができる。

 

面と面を区切る輪郭線

もののシルエットに沿った線を輪郭線といいます。

しかしこれは目に見える線はなく、ある視点から形を見たときの面の境にすぎない。

色の面と違って、もともと線というものは、現実的には象徴的なものなのです。

 

表現を目的とする線

一気に引いた線、ゆっくりと力を入れて引いた線、

細かいタッチを重ねた線など、描き方により線の表情はさまざまです。

長短や太細だけでなく、方向や速度、力などの変化を線に与えることで、

動きや表情を伴った表現となる。

輪郭線にもこうした表現を加えることで、外形の決定だけでなく、

量感や構造を同時に表現する線となります。

 

 

線で明暗の効果をつくる

一本の線でも、線の中に濃淡やかすれがあると、明暗を感じます。

いろいろな線の集合は、さらに複雑な陰影をつくり出します。

このように、線の太さや間隔で立体感を表現することができ、

その線の集合をハッチング(線条)という。

色は必ずしも線で区切られることはありません。

 

描法による線の種類

1・描線

ナイフのエッジや、筆などを使い、絵具を塗ることで描いた線。

2・色と色の境い目の線

面として塗った色の外郭や、ふたつの色が重なり、せめぎ合う境い目の線。

3・マイナスの線

絵具の層を削った線、色を線上に塗り残してつくる線。

 

荒々しく激しい線は、ときにぶつかり、とびはねて画家の感情のすべてを表現します。

画家の個性と表現の違いによって、同じテーマを描いたとしても変化の違いを見ることになる。

 

西洋とは光と影、東洋は線と濃淡で形を捉える

水墨画の原則に、「太い幹は薄墨で、細い枝は濃い墨で描く」というものがあります。

吸収性の高い和紙の性質からみて、必然的な描法ともいえます。

墨の濃淡やかすれ、にじみを最大限に生かして、一本の線で、そのものの全体の量感、動勢を表現する。

これは、東洋の伝統的な表現精神と言えます。

それい対して、西洋の絵画は、遠近法により空間を表現し、光による明暗で対象を捉えてきました。

西洋絵画において、いわゆるタッチではなく、線自体が独立して、

動きや表情を伴った表現として扱われるようになったのは、近代以降のことです。

 

線で形を捉えるハッチング

ハッチングは線条という意味です。

細い線や太い線、平行線、曲線などの太さと間隔で、立体感を描くことができます。

線と線を交差させたものをクロス・ハッチングといい、より複雑で立体的な表現が可能になる。

とくにデッサンやスケッチで用いられるが、油絵でも色の線によるハッチングで、

立体感や明暗を描くことができます。

直線はシャープで固く、曲線は柔らかい影をつくりやすい。

 

まとめ

ここで書いてらることを覚えておくと、ほとんどの絵は描けるでしょう。

線の使い方や意味まで細かく理解しておくことはとても大切です。

自由に線を使い分けて、何でも描けるようになれば、

線の強弱だけでも立体を出すことができるようになります。

毎日線を綺麗に描く訓練をてください。

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ABOUTこの記事をかいた人

画家活動をしています。西洋絵画を専門としていますが、東洋美術や歴史、文化が大好きです。 現在は、独学で絵を学ぶ人と、絵画コレクター、絵画と芸術を愛する人のためのブログを書いています。 頑張ってブログ更新していますので、「友達はスフィンクス」をよろしくお願いします。