絵画の質感表現とは・・・

具象絵画は基本的に、「質感表現で違いを描き分ける」ということをします。

質感表現は、なぜそれが必要なのか?

どのようにして質感を描き分けるのか?

どんな見方があり、どんな方法があるのか?

など、制作で何を基準にしていくのかを簡単に紹介していきます。

まだ質感表現が出来ない人は参考に読んでください。

質感の追求は、絵に緊張感を増す

質感には、絵全体のマチエールが醸し出すものと、

物質そのものの材質感を表現するものがあります。

絵自体の質感は、画家の個性やテーマ、色彩、マチエールなどの統合によって生まれる。

材質感の表現とは、スベスベした陶器、石の壁というような感覚的なものを、

視覚的に絵の上に移し変えれることです。

質感を表現することで、絵は緊張感と存在感を増す。

 

材質感のない絵は無気味な世界

材質感の表現を抜きにしては、絵は成り立たない。

とくに具象絵画の場合、石の建物が煙のような表現だったり、

花びらが重たく鉄のような表現だったりしたら不自然です。

一枚の絵の中で、人間や動物などのいろいろなモチーフが、すべて同じ質感で描かれていたら、

実在感の稀薄な、無気味な世界が出来上がるでしょう。

だがそれを画風として描くのは、また別の話になる。

 

光と陰で質感を捉える

ものにあたる光と、陰の描写で立体感は強調されたり弱められたりするし、

質感もこれと同じことが言える。

立体感を感じにくいフラットな光(全光)では、質感を捉えにくい。

このようなときはモチーフそのものだけでなく、

それらを取り囲む背景や空気の明暗をよく観察することです。

ものの形、立体感をつかんでから、質感を描き込んでいきましょう。

最初に質感ばかりに気をとられると、ものの表面ばかりにこだわりがちになってしまいます。

 

マチエールのためのマチエールにしない

実物の感触にとらわれすぎて、むやみに絵具を盛り上げても、

質感を表現したことにはならない。

たとえばゴツゴツした岩を描くのに、分厚くゴツゴツと絵具を厚塗りしても、必ずしも表現できるとは限らない。

マチエールのためのマチエールにしないためには、必要以上に絵具を使い過ぎないことです。

少ない絵具と、効果的なタッチで表現しきることも可能です。

 

構図を考えて、質を配置する

オランダの画家フェルメールの「窓辺で手紙を読む娘」を例に、

構図と質感について考えてみましょう。

開いた窓から入る明るい光線は、窓辺で手紙を読む娘と室内に薄明るく注いでいる。

手前の緑がかった黄色のカーテン、分厚い布の敷かれたテーブル、人物。

これらはつぎつぎに重なり合って、奥行きのある画面をつくっています。

ひとつひとつの質感は、一方から射し込む光に浮かび上がり、克明に描写されています。

モチーフの多さは、さまざまな質感の重なりあいであるが、

それらは背後の広い壁面の静かな明暗の諧調で受けとめられて、また、ひき立てられている。

このように、構図を考えるうえでは、モチーフの形や色の面白さだけではなく、

質の配置とバランスも重要なポイントです。

 

自然に学ぶ

構図と質の配置については、自然を観察することがいちばんよい。

山、海、道、木々、石・・・自然の風景のどこを切りとってみても、

豊富な素材があふれています。

しかもそれらは実に巧みい配置されている。

大地の安定感、山の量感、海の広大さ、木々ののびやかさ、空気の透明感。

テーマが静物や人物であっても、基本的に風景画と同じです。

自然の中から、物と物との力関係、配置の妙を学ぶことも大切です。

 

質感を描きわける

軽さと重さ

ひとつの画面のなかには、いろいろなタッチがあります。

たとえば、鳥を描くとすると、体を覆う羽毛は軽く、

風になびくが、それはあくまでも鳥の本体を包んでいる表面です。

生きて動く鳥の量感を、繊細な羽毛の奥に感じさせるような表現が必要になってくる。

 

 

温かさと冷たさ

厚くぼってりした塗り方と、薄く滑らかに塗ったのとでは印象がまったく違ってきます。

たとえば、土器の量感と温かみを描くとき、均一な薄塗りで描き込んでみる。

土器というよりは、磁器の冷たさ、密度の高さに近づいてくるでしょう。

 

 

ハードとソフト

硬い筆やナイフでタッチを残した面と、軟かい筆で軽く塗ったり、

布や指で絵の具をする込んだりした面とでは、マチエールの感触は異なる。

硬い絵具で強く描写すれば、ハードな表現になる。

反対に、軟らかい描具で滑らかなタッチを生かせば、ソフトになる。

絵画表現において、ものを観察する眼や色彩感覚は重要です。

しかし、まず筆やナイフ、指、布といったいろいろな描具を使いこなすことが第一条件になる。

そして、常に全体と部分との関係を捉えて描く。

壺なら壺の存在感を意識しながら、細部の質感を追う。

同時に、画面全体の効果を考慮に入れることが必要です。

 

 

透明感の表現

油絵具は、どんな色でも薄く溶けば透明に近くなる。

しかし、透明度の高い絵具を使えば、透明感が表現できというものではない。

たとえば、白い壁の前にあるガラスのコップを描こうとすると、

ガラスを透けて見える壁は、白ではない、わずかに灰色がかったり、青味がかったりしている。

その微妙な色の違いをまず描きわけることです。

ガラスの密度は、コップの淵やハイライト、回り込む輪郭線の描写で表現する。

 

細部表現と省略、強調

細密な描き込みは、絵に深みと奥行きを与える。

おおざっぱな描写は、やはり大味な印象になります。

しかし、ゆき過ぎた描き込みは、細密のための細密になる。

絵全体のバランス、絵画上の必要性(画家が対象から感じとった美しさの表現)

に応じた表現でなければならない。

そのためには、モチーフの念入りな観察の上に成りたった描き込みと省略、強調が必要になる。

あまり細部(表面的な変化)にばかりこだわってしまうと、単なる対象の説明になってしまいます。

これは、形や色だけでなく、マチエールの表現にも同じことが言える。

 

まとめ

絵の質感表現に必要なことを大まかにまとめてみました。

このポイントをもとに質感に対しての考えを意識してみてください。

絵画表現の勉強は基本的に造形と質感から始まります。

鉛筆デッサンだけでもそれを表現できるように訓練していくと、

制作でその実力を発揮することに繋がるでしょう。

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taesun

画家活動をしています。西洋絵画を専門としていますが、東洋美術や歴史、文化が大好きです。 現在は、独学で絵を学ぶ人と、絵画コレクター、絵画と芸術を愛する人のためのブログを書いています。 頑張ってブログ更新していますので、「友達はスフィンクス」をよろしくお願いします。