人間はそれぞれの「美的感覚」を持っている生き物です。
物を見て何かを感じるということは、みんなにある能力です。
今世界で注目されているアート教育で、「観察眼」を鍛えて美意識の向上を目指す人たちが増えてきています。
日常の中での「美」を感じて追及できる「美学」を磨くことが、これからの新しい社会のスタイルに大きな役割をすることになるでしょう。
ここでは一般の人達の見え方から、「名画」を見る方法と大人のパターン認識について書きました。
世界の人々がなぜ「名画」を見て「観察眼」を鍛えているのかを見てみましょう。
「名画」を見る力を鍛えるには
素人はわかりやすい絵から見るほうがいい
一般の絵を見ない人に現代美術や抽象絵画を見せて、何を感じるとか質問しても何も見えていないので、「何も感じない」という答えが返ってくると思います。
これから絵を見て「美学」を勉強する人たちは、やはりわかりやすい絵から見る方がいいでしょう。

ストーリーのある絵か日常を描いたものが、気持ちに入っていきやすいと思います。
それと自分んが興味を持っている画家や、作品から見ることも絵を勉強するには早い方法です。
「名画」は見て何かを感じることで「観察眼」が鍛えられる
「名画」を見て感動することは、「観察眼」を鍛える第一歩になります。
人は作品に感動すると、作品と一対一の対話が始まり、見る眼が細部におよび、見えていないものが見えてきます。

そして、絵画の深い意味まで追求することになるのです。
あらゆる「名画」を見ることで、さらに「見る力」がついて日常生活においても、その力を発揮することになります。
美術館の「名画」の説明自体が難しいと不評
名画にはシンプルな説明が必要
最近日本でも多くの展覧会が開催されていますが、一般の人達も名画を一目見ようと美術館に足を運んでいるという嬉しいお話を聞く事が増えてきています。
ですが、ここでちょっと残念な意見を耳にしました。

名画を見て、その絵の内容が分からないので説明文を読むと、「さらに意味が分からない」ということだそうです。
時代背景と宗教的なお話は、想像がつくようなカタカナと年代の連発で読むだけで大変だと感じます。
美術館の関係者や学芸員たちはこのようなことを考えて、絵の説明文を書いているのか僕も疑問に思うことはありました。

確かに、もっと素人が楽しく名画を見る方法があると思うのですが・・・
日本の美術館が誘導式なのも不思議な感じがします。

見て何かを感じることが大切
美術館では、名画の説明をじっくり聞きたい人のために説明を聞きながら鑑賞できるイヤホンを、貸し出しているサービスがあります。
この方法は一般の素人には一番わかりやすい方法ですが、これを使うことで、絵の前に多くの列が増えてしまうことで、じっくり作品を眺めたい人には邪魔になってしまうのです。

そしてイヤホンをしていると、説明に誘導されるので、じっくりと近くで絵を見る人はほとんどいません。
残念なのは、自分の感覚と「観察眼」を使っていないことです。
何でもいいから自分の目で見て、何かを感じて何かを思うことで、絵の何かを知ることにつながると思うのです。

このことを繰り返すことで、自分の中の自分自身を見つけることになるわけですが・・・・
問題なのは、絵との対話をしていないことなのです。
見ることの難しさはパターン認識が問題
子供と大人の見え方の違い
子供と違い、大人は基本的に入ってくる情報や見えるものに決まった意味付けをして解釈します。
大人は知識や文字、言葉の意味を抽象的な概念としてとらえるので、多くの人が見えたままではなく自分の知識のパターンにおちいるのです。

子供は、文字を「読む」ことや知識もないので、正確に純粋に「見えたまま」を言葉にします。
子供には大人に見えていないものは単純に見えているのです。

大人になると「見る能力」を失う
大人は見る前に文字があるとすぐに読んで理解しようとします。
いかなる文字でも、見分けて同じ文字として読むことができてしまうので、大人の高度なパターン認識能力が、「見る」という能力を妨げているのだといえます。

このパターン認識の能力が、人間の「美意識」という芸術的な感覚すべての妨げになっているのです。
世界的にパターン認識を持っていない天才と呼ばれている人達は、美術と芸術鑑賞に力を注いでいたからだと証明されています。
・アルバート・アインシュタイン ・スティーブン・スピルバーグ ・スティーブ・ジョブス ・シルベスター・スタローン
「観察眼」を鍛えることで「洞察力」が身につく
人と人とのコミュニケーションは人間だけのもの
2001年、エール大学の研究者グループは、アートを見ることによって観察力が向上することを証明しました。
判断能力が56%、観察能力、細部に気づく能力が10%向上したという結果が出ています。
現在多くの分野で人工知能と人間の仕事の奪い合いが論議になっていて、人の代わりにいろんな仕事をするかもしれないと予想しています。

ですが人間の「観察眼」はちょっとした人のヒントから洞察を得て、的確な判断をしますが、人工知能にはそのような「観察眼」は持っていません。
まして、医療に携わることになると、人の生活感や習慣などを見落とすことになりかねないので、人工知能には確実に判断できないと考えられます。
「見る力」を鍛えることで見えないものが見えてくる
今世界のアートスクールでは「見る力」うを鍛えるために徹底的に、作品を「見て、感じて、言葉にする」ことを求める教育をしています。
絵画を見て、具体的には、次のような質問をして「観察眼」を鍛えます。
・何が描かれているのか?
・絵の中の出来事の流れは?
・自分の中での感覚と感情の気分は?
ここで生徒たちの意外な思いや考えを聞いた、ほかの生徒たちは意外な反応をします。

みんなが、自分では想像もつかない見え方と、思いや感じ方と判断に驚かされるからです。
どのようにすれば、より豊かな気づきが得られるのか、どのように見るのか、という空気で生徒たちは次々に自分の感じたことをほんの数分ほどで発言していくことになります。
絵画鑑賞など、ほとんどすることのない一般の会社員たちから多くの意見が出てきます。

ここでは宗教画、神話画などのドラマ性がある「名画」がいい勉強材料になっています。
うまく絵画の内容に誘導できれば、見えないものも見えるようになっていくわけです。
今ヨーロッパ中の一般の人々はこのようなプログラムを受けることで美術的な知識と見る「観察眼」を鍛えているのです。
「物の見方」を鍛えて「美意識」を復権する
ルネサンスのヒューマニズム
文化停滞時代の中世から14世紀のイタリアから始まったルネサスでは、ヨーロッパ全土を支配していたキリスト教文明に新たに新プラン主義が登場し、古代ギリシャ、ローマの神話がキリスト教文化に自由と理想を生み出す「ヒューマニズム」(人間性、人間中心的美)の時代の回帰運動が起きました。

その代表的な偉大な芸術家ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロがいなければこの時代は100年遅れていたといわれています。
ルネサンスのヒューマニズムにより、これまで神にゆだねていた「真実による純善な美」は科学、哲学、芸術になり自分たち人間が担うようになったのです。
新しいルネサンスの時代
現在の「美意識」の復権による社会の動きは、今後新たに進み多くの組織や個人によって取り組まれています。
今芸術家を除いた、多くのエリートたちが誰よりも先にその「観察眼」を持ち、「芸術的なものの見方」を自分のものにするための力を注いでいます。

今からは「生産性」と「効率性」ではなく、「美の力」にメリットを得るシステムの改善を目指していることで、21世紀に新たなルネサンス運動が世界中で起きるかもしれません。
まとめ
今世界では、我々が意識していないこの時間にも、多くの人達が「美学」について大切な事に気づいて学んでいます。
最近の海外での日本文化のブームは、その「美学」が浸透している証拠です。
外国人たちは、日本文化の細かいところまで見えてきているのです。
これは、一昔前の時代だと一部の人にしか興味を持たなかったことですが、最近の「美的感覚の向上」は多くの人が「観察眼」を鍛えて、「美」を見る力を身に着けたことを証明しています。
日本でもこのような「美的感覚の向上」を目指して、「美術」を「名画」からどんどん学んでいってほしいと思います。
・絵が上手い人たちは、学んだことを時間をかけて実行している!!!