絵具はどのようにつくられるのか?

油絵具は顔料と展色剤としての油、若干の助剤を煉り合わせて出来たもの。

顔料とは色をもった粉状の物質を顔料の粒子を結合させ、

キャンバスに接着させるのが展色剤。

つまり顔料だけでは、ものに付着することができないということです。

絵具に必要不可欠なもう一つの要素が練り剤で、これと顔料とを合わせて使用する。

展色剤、固着剤とも呼ばれ、画面へくっつけるという働きと共に、

筆の運びをよくし、より広範に伸ばすという役割を果たす。

この顔料、展色剤、練り剤を合わせて現在の油絵具は製造されている。

 

練り剤の種類

練り剤には膠、アラビアゴム、卵などの水性のものと、リンシードオイルなどの油性のものがあり、

この違いによってさまざまな種類の絵具ができる。

そしておもしろいのは、同じ顔料であっても練り剤によって色みが異なるということだ。

例えばテールベルト(緑土)は卵を練り剤とするテンペラ画で人物を描く際、

肌色の下塗り用としてよく用いられた顔料だが、

これを油と混ぜるとほとんど無色透明となってしまう。

これは発色のメカニズムが顔料と練り剤の組み合わせによって異なるためです。

つまり、膠などの水性の練り剤を使用した絵具は乾燥した後の顔料が露出するが、

乾性油を練り剤とした場合は顔料がそれでしっかり包み込まれる。

その結果、一方は光がすべて表面で反射し、他方は内部に進入して複雑に屈折するために、

透明感が際だったり、不透明に見えたりする。

 

油絵具の主成分と種類

・天然無機顔料

鉱石や土などを原料とする顔料で、一般的に粒子が大きく粗い。

光によって変化しにくい。

 

・合成無機顔料

カドミウムやコバルト、鉄などの金属類から、化学的に合成してつくった顔料のこと。

一緒に、光によって変色や退色をしない。

 

・体質顔料

顔料は白色であるが、乾性油で練ると透明に近くなる性質をもつ。

顔料の増量剤として使われるほか、レーキ顔料をつくる媒体となる。

 

 

・有機顔料

有機物を色の成分とする顔料を有機顔料といい、

レーキ顔料とは、染料の色の体質顔料に染めつけたものであり、

染料が天然であれば天然レーキ、合成品であれば合成レーキという。

レーキは色が鮮かで、透明度が高い。

しかし、原料に染料を使っているために光によって退色したり、

ブリードを起こすことがある。

不溶性有機色素とは、染料を染めつけるのではなく、

化学反応で不溶性(水に溶けない)の構造にしたもの。

近年、大きな進歩をとげ、多方面で使われている。

色も鮮明で着色力も大きく、粒子も細かくい。

レーキとは異なり耐光性もある。

 

絵具の顔料と固着剤

展色剤と固着剤で工夫

絵具は色を発色させる顔料、それを画面に固着させる練り剤、

そして両者の働きを助ける助剤の三要素から構成される。

同じ顔料であっても練り剤がリンシードなどの食物性の乾性油を中心としたものであれば油絵具となり、蝋を中心としたものであればクレヨンになるなど、練り剤の果たす役割は大きい。

油絵具、水彩絵の具、パステル、色鉛筆など。。

今日これらの絵具は当たり前のように我々の身の回りにあるが、

その背景には、絵具に対するあくなき研究、開発があったことを忘れてはならないと思う。

顔料とそれを取り巻く練り剤(展色剤、固着剤)への工夫が積み重ねられることで、

今のような姿となったからだ。

例えば油絵具は15世紀にフランドルの画家たちによって確立された油絵の魅力は、

一言でいえば「透明感」にある。

これは、それ以前の絵具にはなかった特徴だ。

しかし油絵具のもう一つの特徴である盛り上げ、

筆のタッチを大胆に生かした表現は最初から可能だったわけではない。

 

 

油絵具の革命

15世紀のものは非常にゆるく柔らかく、現在のペンキ程度の硬さしかなかった。

そのため少しでも色を厚めに塗れば流れて画面からはみ出してしまう。

だから画家たちは一回あたりの塗りを薄くして、根気よく丹念に色を塗り重ねるしかなかった。

盛り上げ表現はその後、練り剤の研究が進んだことにより可能となる。

そのプロセスでのエピソードを1つ紹介すると、18世紀初頭に発見されたポンペイの壁画がある。

この壁画は油絵ではなかったものの、随所に盛り上げ表現がなされていた。

古文献の調査の結果、蜜蝋を利用したものであることが分かると、

早速それが油絵具の成分にも取り入れられ、

筆やナイフのタッチを生かした表現が自由にできるようになる。

やがて産業革命が起こると油絵具も工業製品の仲間入りを果たし、安価で便利なものが大量に生産されるようになる。

その結果、画家は自ら絵具を煉る必要はなくなり、必要な色は手間ひまかけずとも手に入れられるようになった。

そして絵具の進歩は単に便利性だけでなく、新たな表現を生み出す契機となっていく。

扱いが容易であるということは、絵を描くのに専念できるということです。

チューブ入りの粘りのある絵具は、自然が見せる微妙な変化をすぐさまとらえてキャンバスに描くことを可能にし、フランス印象派の誕生にも少なからぬ貢献をはたすこととなった。

 

まとめ

絵具の歴史を振り返ってみれば、

このように時代と共に新しい材料が発明され、

顔料と練り剤の最適な組み合わせが画家たちの試行錯誤の末に発見される中で、

その表現の幅が広がってきたといえるだろう。

 

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画家活動をしています。西洋絵画を専門としていますが、東洋美術や歴史、文化が大好きです。 現在は、独学で絵を学ぶ人と、絵画コレクター、絵画と芸術を愛する人のためのブログを書いています。 頑張ってブログ更新していますので、「友達はスフィンクス」をよろしくお願いします。