画家になるにはやはり運も必用です。
もちろん、努力している人に運はやってきますが・・・
環境的なところから優遇されて、運をつかんでいる人もいます。
絵を描くなんて考えられないような人が、ある日突然画家になる事だってあるのですから。
この世の中矛盾や不思議な出来事は山ほどあります。
絵が上手い人が画家になれなくて、絵が下手な人が画家になっていることがいちばん不思議ですよね。
でも、それも、その人の隠れた努力と運と才能なんです。
日本の社会と絵画市場
小さい市場がさらに小さく
僕のまわりでも、才能があっても画家にならない人は多い。
日本は世界的に見ても、絵画のマーケットが縮小している国です。
昔は、今より大きかったようですが、バブル崩壊やリーマンショック以後さらに縮小していった。
運のいい人たちは上手く切り盛りして、新人画家の絵を売っていました。
今では彼らが日本のアートをリードしています。
鴨居玲の絵
昔僕が小学生の頃、家に父親の知り合いが絵を買ってほしいと、一枚の老婆の絵を持ってきました。
10号ほどの大きさで100万で買ってほしいと。
そのおじさんは、「鴨居玲」のお弟子さんで先生の絵を売り歩いていました。
昭和の時代は、訪問販売が多くて、画材屋も画家の家に画材を売り込むことが普通にあったようです。
(僕の知り合いの画材屋の社長さんも、若いころ小磯良平に画材を売り込んで全部買ってもらっていたらしい。)
そのお弟子さんは、父に絵を預けたまま帰ってしまいました。
何カ月か預かって、気にいったら買ってほしいという事でした。
でも、母は老婆の薄暗い絵を見て、「暗いし、気持ち悪いから家には飾れない」と購入を反対し、父は「悪くないけど、家に飾るには・・・」と購入を悩んでいました。
数か月後、そのお弟子さんが慌てて作品を取り戻しに来た。
その理由が「先生が昨日亡くなられた」という事で、美術界の大きなニュースになっていたのです。
その絵は今、美術館のコレクションになっているかも。
あの時買っていれば10倍以上の価値でしたが・・・・
これも我が家の運ですね・・・・・。
知り合いに画商がいれば画家になれる話
昔はよくあった話ですが、知り合いに画商がいれば画家になれたという話です。
とある画廊の個展会場に、画商さんの知り合いの家族が来て話が盛り上がったところで、うちの娘も絵を描いているという話になり、写真を見せると少し描けるくらいのレベル。
でも、やはり知り合いなので「今度ここで個展をしてみませんか」と数枚の写真を見ただけで、個展を実現して画家になっている女性もいるんですよ。
もちろん画廊ですので、そこそこの実力が必用ですが。
聞くと気分が悪くなる人もいるかもしれませんが、このような事はよくあるようです。
親同士のお付き合いもありますが、このようなことは世界中の画廊でよくあります。
これもその人の運の一つだといえますね。
「運のいい画家」と「運が悪い画家」
昔も今も運のいい画家と悪い画家はいます。
人間ですからそれは仕方ないことですが・・・・
才能があってもダメな人、平凡な人でも晩年に成功している人とさまざまです。
●運が悪い画家
昔から多くの画家が、病気にかかり才能があっても早死にしています。
また、絵がまったく売れなかったり、金銭トラブルや殺人など様々な事件があったりします。
これは時代背景が関係していますが、やはりその人の性格や振る舞いなどが原因かもしれません。
カラヴァッジョなんて悲惨です。
それでも名作を残している画家も多い。
●運がいい画家
もちろん彼らは才能があるばかりか、たくさんの仕事をこなしてきました。
本当に才能があって運がいい画家は、若くして名声を得て長生きした画家。
今でもみんなに愛される作品を残して、人の心を癒しています。
パトロンやコレクターのファンが多く、何不自由しない画家生活を送りその名を残している。
代表的なのがティッティアーノやクラナッハ、ルーベンスなどですね。
運がいい人はあっさり画家になっている!
20年ほど前、知り合いの友人の話ですが、その男性は絵に夢中になり、イラストをたくさん描いていました。
彼はある日、旅行のため飛行機に乗っていました。
退屈なので機内でノートにイラストを描いていたその時、「いい絵を描きますね」となりに座っていたアメリカ人が話しかけてきたそうです。
彼は「最近絵を描き出したんです。自己流ですけど」と返しました。
アメリカ人は、なかなか感心した様子で彼の絵を見ていたようです。
2人は絵の話で盛り上がり、彼は「僕もいつかソーホーで個展をするのが夢なんです」と自分の将来の夢について熱く語りました。
すると驚いたことにそのアメリカ人は「実は私は、ソーホーで美術ギャラリーをしているんだ。もしよかったらうちで個展をしないかい」と信じられない言葉が返ってきたのです。
その時お互い口約束しましたが、それから半年後に彼はそのソーホーのギャラリーで本当に個展を実現してしまいました。
彼は1年でイラスト画家として、あっさりデビューしてしまったのです。
しかも作品はほぼ全部売れた。
まれな話ですが、彼の願いはすぐに実現してしまいました。
これは、運がいい人の特例ですね。
行動と努力で運をつかむ!
行動と努力で運をつかむ人は、自分の持ち味を前面に引き出すことができる人です。
技術的にまだ未熟でも、しっかりとした自分の思想や、世界を持っていることは大きな強みになります。
展覧会でインパクトがあり、人を引き付ける魅力ある作品を描ける人は、それを続けていくことで自然と活躍していきます。
それと同時に、技術面でも成果を上げていけば、絵としての商品価値も上がっていきます。
運をつかむのもタイミング!
運を上手くつかむ人は、自然に頑張っている人だと思います。
自分で努力しているという感覚はなく、ただ夢中になって学んでいる人でしょう。
先ほどのイラスト画家のお話も、彼は小さな作品しか描いたことがなく、個展用の大きな作品を一枚も描いていませんでした。
驚くことに、アクリル絵具すら使ったことがなかったといいますから・・・
でも、彼の夢は大きく、幅広く自分をアピールしていたことでチャンスをつかんでいる。
彼にしたら機内での落書きが、ただの暇つぶしだったことでも、海外の飛行機での行動はそれにつながったといえますよね。
彼の強い思いが引き寄せたいい「タイミング」だったという事ですね。
タイミングを意識して画家になる準備をしよう!
すべてのチャンスは、その時のタイミングで決まるように感じます。
自分が夢見た未来は、遠いところにあると感じるのが当たり前ですが、タイミングさえ合えば近くにもあるという事です。
自分の夢を明確にして準備すことで、そのチャンスは必ずめぐってきます。
76歳から油絵を描いたアメリカの女性画家がいますが、彼女は80歳で個展をして画家になりました。
しかも手はリュウマチで自由に動きません。
田舎町で暮らしていた彼女は、70代で自分の夢の絵を描き出し、近所で評判になっていきます。
ブリューゲルやルソーのよに細かくかわいい絵は、子供から大人まで幅広いファンができ、それはやがて世界に広がりました。
年齢は関係なく、素直に自分の夢を描き続けることで、独学でも多くの人たちの心を癒し素晴らしい作品を生み出しています。
彼女は101歳まで描き続け1600点の作品を残しています。
みんな彼女を、「モーゼスおばあちゃん」と呼んで多くの人達に愛されています。
楽しんで描いて行くことで運を得る
絵のレベル以前に大切なのは、「絵を楽しんで描けているか」というところ!
苦しんで描けているなら、方法や考え方、方向性を見直す必要があるのではないでしょうか。
苦しんで描いていても、チャンスも運も得ることはないように感じます。
僕も苦しんで描いていた時期は、何をやってもダメで、根性と努力で頑張っても少しの成果しか得られませんでした。
同じ時間と労力を使うなら、楽しんでできる方法の方が格段に成果も上がると思います。
まとめ
画家になるには運を得ることも大切。
これはみんなが憧れることですが、楽しみながら活動していくことで、何かチャンスを得たり話があったりするものです。
いろんな人たちを見てきましたが、運のいい人たちは、いつもなんだか楽しんでいてワクワク感を持っています。
楽しいことばかりではないと思いますが、それほど苦しんではいません。
必死になって描いているという感じです。
必死になっていると、変な苦しみは感じないですよね。
僕も見習って運をよくしていきたいと思います。
頑張っていれば、誰かが見てくれている!