世界各国の富裕層はこの十年コンテンポラリーアートのみならず、あらゆるアートに恋しているといえます。
時計の博覧会が行われているスイスのバーゼルで開催されている現代絵画の、アートフェアやヴェネチアビエンナーレの人気は相変わらずですが、クリスティーズやサザビーズのオークションハウスは、年々盛り上がっています。
世界でなぜこれほどアートフェアが盛り上がっているのでしょうか?
それらの作品はどう流通しているのか、どこで買えるのか、買えないのか、を確かめていきましょう。
世界で膨大な数のアート作品が飛ぶように売れていく
アートフェアに集う人々
世界レベルの富裕層が一同に会する様子を見たいなら、アートフェアに行くべきだと富裕層の誰もが言います。
F1でもミラノコレクションでもドバイでもなく、ニューヨークのアートフェアにプライベートジェットを飛ばして、若くして富を築いたIT企業のCEOから世界的ブランドオーナーまでが、こぞってアートフェアのパーティーに詰めかけているのです。
お目当てのアート
お目当てのアートは、それもオークションで人気の古典ではなくコンテンポラリーアートです。
熱心なコレクターである彼らは、一般公開前に有望株の新作を買おうと先を争っているのです。
アートフェアは厳しい審査を通ったギャラリーだけが参加できる
大規模なヨーロッパでのアートフェアは審査が厳しく、メイン会場に出店できるのは、世界中の800ギャラリーの応募から300ギャラリーが選出され、一度選ばれたからといって、次回も選ばれるわけではありません。
日本のギャラリーも毎年3,4ギャラリーは選ばれています。
日本では、なかなかかか買い手がつかない価格設定にしても、欧米では飛ぶように売れています。
売買が主目的のアートフェア
ここ数年世界のアートフェアは、大人気で香港、シンガポールなどアジアでも開催されれていますが、ギャラリー関係者も「とにかく売れる」だと断言しています。
実際3000万円の作品が、初日に売れていて、ここ数年出品した作品は完売状態だそうです。
良いギャラリーが選ばれていることもありますが、初日でほとんどのブースのギャラリーの作品が売却済みとなります。
世界のアートの値段はこうして決まる
セカンダリーマーケット
人気アーティストの作品を、コレクターたちはどのようにして手に入れるのでしょう?
誰々の名画が数億円で落札、といったニュースをよく耳にしますが、オークションや一般ギャラリーを経由した売却を、セカンダリーマーケットと呼ばれ、価格が人気に応じて大きく変動することが特徴です。
プライマリーマーケット
アーティストと直接契約しているギャラリーから新作を購入する経路も存在します。
これは、プライマリーマーケットと呼ばれ、作品に初めて値段が付けられる現場。
株式で言うところの初値ですから、比較的に低いので、世界共通の価格で購入できるのが利点です。
プライマリーギャラリー
しかし問題はブルーチップ(カジノで最も高いチップが青いことから、優良銘柄を指す投資用語)と称される有名作家の新作は、欲するコレクターの数に対してあまりにも数が少ないというのが事実なのです。
限られた者にしか出会えないアートがある
優良顧客と認められた者
新作は誰の手に渡るのでしょう?
それはプライマリーギャラリーから優良顧客と認められた者。
認められるにはいくつかの条件があります。
「継続的に購入できる人」「手放す可能性が低い人」などをクリアする必要が求められます。
したがって、いきなりギャラリーの門をたたいても、ブルーチップな作品をパプリックプライスで購入することはほぼ不可能。
世界的に注目されているアートの購入の難しさがここにあります。
アートは圧倒的な売り手市場
プライマリーマーケットで有望株の新作を売ってもらえるようになるために、ギャラリーから上顧客と認められる必要があると話ました。
ですが、残念なことですが、美術館や一部の企業を除けば、トップクラスのギャラリーに受け入れられている日本人は、ほとんどいないのが現状です。
なので、アートフェアに出ずに売りてが決まっていく人気作家の新作など、我々には鑑賞する機会すらないということになります。
美術館にコレクションを貸す人々
絵画売買のスピードが速い
現在アートの個人コレクターの数は増え続け、コレクション内容も美術館やギャラリーをしのぐ勢いです。
情報が速くなったことで、絵画の売買のスピードが増していると言えます。
個人コレクターの平均的所有数は35点ほどになり、個人で43点所有しているニューヨークのコレクターは、作品を公開するためによくパーティーを開くと言っています。
最新アートの所有者が注目されている
今世界市場が注目している作品は、世界中の美術館の作品貸し出しリストに登録され、美術館が個人コレクターから作品を借りることが多くなっています。
世界で企画される現代美術展の企画作品を集めるのに、コレクターの力が大きく働くのは、ブルーチップの作品所有者が良い作品を多く所有していることが関係していると考えられます。
まとめ
世界ではコンテンポラリーアートの人気が人々に新たな夢を与えていると言えます。
日本でも最近、企業のCEOが123億円の絵画を購入したと話題になっていました。
このようなニュースが入ってくることで、アートの世界も盛り上がっていくと思います。
日本はアートの世界では、遅れている国ですが、これからどんどん世界基準で、ギャラリーと美術業界が動いて日本のコレクターを増やしてほしいと期待しています。
日本はまず、国内でアートの活性化とアートを身近に感じられる社会にしていくことが、重要になると考えられるでしょう。
日本での国際アートフェアが開催される日が来ることを願っています。