展覧会に行ってもなかなか楽しめない、またはもっと画家の考えを知りたいと考えている人も多いかもしれませんね。
そこで誰にでも理解できる「名画の鑑賞のポイント」をご紹介してみようと思います。
ここでは、ブリューゲル、マネ、マンティーニャの作品を紹介!
作品を選んで少しずつ説明していこうと考えていますので、参考にして絵画鑑賞を楽しんでください。
「名画の鑑賞のポイント」 精密な地誌描写
- ブリューゲル
- 「バベルの塔」
- 1563年
- 112×155㎝
- ウイーン美術史美術館蔵
「バベルの塔」はきわめて象徴的意味に富んだ作品です。
「バベルの塔」の建設は聖書にも書かれているように、昔から自尊心の象徴でしたが、ブリューゲルにとってもそれは人間の見栄を意味しました。
ブリューゲルは塔を16世紀の背景におくことによって、テーマの同時代性を強調しています。
また、ブリューゲルが風景の歴史性を重視したことの現れでもあり、まわりの状景を地誌学的に描きだしました。
ここの風景と都市は創造の産物ではなく、ブリューゲルが周囲の土地を入念に観察した結果にもとずいています。
画面右にはネーデルランドの町の門と塔が描かれ、その外には、低地帯の平らな牧草地が北海へと伸びています。
画面左にはより広い間と街の景色が見え、縦に細長い家々が穏やかな運河に面して立ち並び、教会の小塔がアクセントをつけています。
構図は現実の場所を指し示しては居ませんが、事実にもとづいて典型的なネーデルランドの景観を生み出しているのは確かです。
この広々とした景観は、ブリューゲルが細かくスケッチしたネーデルランドの風景を、事細かく正確に描き込んだ歴史的な記録だともいえるでしょう。
「名画の鑑賞のポイント」 マネの自然光
- マネ
- 「アルシャントゥーユ」
- 1874年
- 147.5×132㎝
- トゥルネ美術館蔵
野外の自然の光の中では、事物はアトリエの人口照明のもとで見るのとかなり違って見えます。
特に太陽光の光をいっぱいに浴びると、色彩はきつく輪郭がシャープになり、対象に柔らかさと丸みをもたせる光と影の微妙なグラデーションが消えてしまうのです。
マネはおもにアトリエで制作しましたが、戸外で描く場合には、光の効果を見たまま正確に表現しようとしました。
「アルジャントゥーユ」は太陽光のきらめく効果をとらえるために、明るい色を平行に並べ置き、中間色はほとんど用いていません。
全体の印象はかなりきつく、女性の顔の肌色と帽子の黒とのはっきりとしたコントラストは、水色に輝くリボンによって強調されています。
顔の肉付けも、マネは従来の室内照明のもとでの、平坦な陰影方法ではなくシャープでむらのある影をつけています。
「名画の鑑賞のポイント」 古代遺物の断片
- マンティーニャ
- 「聖セバスチャン」
- 1480年
- 275×142㎝
- ルーブル美術館蔵
マンティーニャは古典絵画の遺物に真剣な関心をもった最初のイタリア人芸術家でした。
彼の古代美術に対する情熱と考古学知識は、彼の多くに作品に見られる古典建築や彫刻の断片にはっきりと繁栄されています。
「聖セバスチャン」では、セバスチャンは崩れた建造物の一部をなす大きな古典的な柱に縛りつけられ、その前景には見捨てられた彫刻や建築の破片がちらばり、背景には準古典的な建造物が見られ、古代の都市の印象を生み出している。
マンティーニャの作品にみられる古典的なフォルムは細かく描かれていますが、それはイタリアの多くの町に点在する遺跡への注意深い観察にもとづくものでした。
これらは一般的に文字通りコピーではなく、多くの場合、そのコピーが何を写しているかを突き止めることはできません。
たとえば、成人の頭上にある装飾された柱頭は、さまざまなものからとったモチーフを見事な創造力によって組み合わせたものです。
そして、背景の建造物も、具体的な建造物を再現したものではありません。
このように古典的遺物を用いることによって、マンティーニャは全体として古典世界の印象を作り出すと同時に、彼の観察力と創意を示すことができました。
また、彼は、生命をもたない大理石のフォルムと、人間の肉体の柔らかさや生命力とを対比させることによって、そのみごとな腕前を示し、絵のなかで視覚ゲームを楽しんでいます。
まとめ
時代が違いますが、3人の画家たちはそれぞれ観察と研究を重ね名画を誕生させました。
鑑賞者には見えない苦労と努力が名画の中にはあります。
名画を見る方も観察して見てみると、さらに絵の中から奥深いものを感じて、よりいっそう楽しめると思います。
・「名画の鑑賞ポイント」を紹介!NO2(フラ・アンジェリコ、アングル、ピカソ、ホルバイン)