もし、あなたが絵画の購入を考えているのなら、描かれている作品の画材についての知識を、身につけておいた方がいいかもしれません。
一点物の独立した、板絵やキャンバスに描かれた絵を「タブロー」といいます。
このタブローには、いろんな種類の絵画があります。
画家が使う画材によって見た目もだいぶ違うので、そのことをよく理解して購入することをおすすめします。
画材の違いを知っていれば、自分の好みの絵肌や質感と、描かれている題材で自分の思い描く絵画を見つけやすくなります。
また、絵の違いが分かることで、専門的に調べやすいので購入意欲も増していきます。
ここではテンペラ画、油彩画、アクリル画、ミクストメディア、日本画、エンカウスティーク画、フレスコ画の7種類を紹介していきます。
テンペラ画
テンペラ画は、13世紀以前から存在していましたが、14世紀に油を加えた技法によってルネサンス初期に大きく発展しました。
ルネサンス期には、さまざまな技法が開発されています。
現在でもテンペラ画は世界的に人気がある画材で、卵を使った画法はとても美しいくツヤのある画面が特徴です。
テンペラ画には、金箔を使う画家が多く、装飾的な技法は、金細工のように手間のかかるものです。
★テンペラ画の魅力
・輝いて色あせない美しい色彩
・きっちりとした輪郭線
・金箔などの凝った装飾
・油絵とは少し違う質感
・つるっとした画面
・板に描かれている
テンペラ画は、ほとんどが板に描かれています。
※油彩画とテンペラの混合技法で描く画家もいます。
この場合は、キャンバスを使う人が多いようです。
油彩画
油絵は15世紀に本格的に普及した画材です。
16世紀のルネサンス後期に普及し、17世紀バロック期に大きな発展を遂げました。
油彩画は、技法によって作品の種類が多いのが特徴です。
油彩画は、キャンバスに描かれているものが多く、絵の具の力強さを生かすことで丈夫な画面を作りあげます。
油やニスの具合によって、または画風によってさまざまな技法で描く事が可能です。
耐久性に優れ、少々のことでは破損しません。
★油彩画の魅力
・力強い画面
・美しい油とニスによるマチエール
・美しい質感
・リアリズムが表現できる
・厚塗りが可能
・幅広い表現が可能
・優れた耐久性
・空間表現が可能
油彩画と一言で言っても、作家によって描き方にいちばん違いが出るのが油彩画です。
描くテーマによって、絵の具の使い方も何十種類にも分けることができます。
油彩画の購入には、まずはいろんな種類の作品を見てから、自分の好みの表現や描き方を見つけましょう。
アクリル画
アクリル画はこの最近、20年間のあいだに普及した人気画材です。
油彩画との違いは、油を使わない水性絵の具ですので、子供から大人まで幅広く使えるところです。
薄描きから厚塗りまで幅広い表現ができます。
画面表現にもいろんなメディウムによって、ツヤの調節やエッジのきいた画面などが可能です。
人工樹脂を使うので、現代的な表現が可能です。
★アクリル画の魅力
・人工樹脂によるビニールっぽい絵肌
・水性的な表現ができる
・油彩に近い表現が可能
・いろんな表現に使える
・便利で扱いやすい
・値段が手ごろ
・素材を選ばずにどこにでも描ける
アクリル画は描くスピードを調節しにくいですが、制作を早くしたい人にはおすすめの画材です。
最近は、画家の半分画アクリルを使っています。
アクリル画は、購入しやすいところがいいかもしれません。
ミクストメディア
ミクストメディアとは、いろんな素材を組み合わせて描く方法で描かれた絵画です。
例えばアクリル絵具に砂をまぜたり、日本画の顔料を使って油彩と並行して描いたり、鉛筆や和紙、テンペラと油絵の具を使ったりと、自分独自のオリジナル絵画を意味します。
作家によっては、自然素材をそのまま使ったり、ボンドやペンキなどを使う方法から蝋を使ったりとさまざまな表現で、見たこともない世界を作りあげる人もいます。
★ミクストメディアの魅力
・見たこともない存在感
・何を使って描かれているのかわからない
・例外な美しさ
・独創性を感じやすい
・表現が自由
・常識とは無縁の世界を表現している
・いびつな形を使う
ミクストメディアの作品は、画廊にはなかなか展示していませんが、現代美術を扱うギャラリーで見ることができます。
アメリカや韓国でも盛んに描かれています。
日本画
日本画は、日本古来からの伝統的な岩絵の具を使って描かれています。
岩絵の具の美しさは、天然石を砕いた天然顔料、現代の人工顔料を膠を使って描いています。
日本画は、日本で多くの人達がコエクションしていることから人気があります。
またその美しいマチエールに魅了される人も多いようです。
日本画にも、薄塗リと厚塗りがあり、具象的なテーマがほとんどなので、とても分かりやすい分野だといえます。
★日本画の魅力
・線が命
・顔料が美しい
・ぼかしの技法が特徴
・半平面的な東洋の美
・色彩で遠近を表現する
・和式の部屋に合う
日本画はわりと売れていますので、価格面では高価になるかもしれません。
落ち着いた雰囲気を望む人におすすめします。
エンカウスティーク
エンカウスティークは古代エジプト、ギリシャ、ローマ時代まで使われてきた、蜜蝋と顔料を合わせて描く絵画です。
その絵画は、油を少し使うので、古代の油絵ともいえますが、蝋で固めることから蝋画と言われています。
日本では描いている人は少ないと思いますが、アメリカやヨーロッパでは、専用の画材が販売されています。
タコ焼き機のような丸い穴がたくさんあるパレットに、色が入った蝋の塊を入れて絵の具として使います。
保温パレットは低温の温かいパレットで、電気が必用す。
日本ではまだ販売されていません。
この絵画は、イタリアなどでよく販売されていますので、海外での購入になります。
とても頑丈な作品は、古代のミイラの棺の絵柄や肖像画にも使われています。
是非海外で購入してほしい絵画の一つです。
アメリカ人画家、ジャスパー・ジョーンズはエンカウスティークの技法を使っています。
★エンカウスティークの魅力
・蜜蝋の絵肌は油彩のように盛り上がりの面白さがある。
・蝋とオイルによるツヤのあるマチエール
・単色で描かれた独特の絵画
・手間がかかる方法だけに仕上りが美しい
・柔らかさを感じさせる蝋の美しさ
・普通には手に入らない絵画
フレスコ
フレスコ画も古代ギリシャの時代から存在しています。
砂と石灰をまぜて作る漆喰を何層も塗り、漆喰が乾かないうちに仕上げる技法で描かれています。
漆喰とともに乾く絵の具はとても美しく、パステルカラーのような色調になります。
現代でもこの技法を応用した方法と、乾いた漆喰の上から描く方法の2種類があります。
キャンバスに描く技法があり、タブローとして描く画家もいます。
日本でもフレスコ画を描いている画家がいるので、購入は可能だと思います。
またイタリアが本場なので、イタリアでの購入をおすすめします。
★フレスコ画の魅力
・岩絵の具のような美しい色彩
・土壁のような画面
・あっさりとしたタッチ
・深みを感じるマチエール
・丈夫な画面
・最も古代的な表現
・シンプルでも重圧感がある絵画
まとめ
以上がタブローとして額縁に入れて、自分の部屋に飾れる絵画の種類を紹介させていただきました。
購入が難しいのは、エンカウスティーク絵画、フレスコ画の二つですが、イタリアやヨーロッパに行けば、手に入るチャンスはありますので、旅行に行くことがあれば是非画廊などに立ち寄ってみてください。
そのほかの絵画は日本で販売されているので、自分の夢や趣味がぴったりの作品を見つけてみましょう。
「タブロー」の種類が分かれば、絵画を購入する手がかりになり、好きな作家を見つけることができるかもしれませんよ。
是非参考にして、美しい作品を手に入れてください。
・絵が上手い人たちは、学んだことを時間をかけて実行している!!!