「今からでは遅すぎる」、「画家になるのは無理」とあきらめてしまうのが絵の世界。
ほとんどの人達は初めに第一歩で挫折してしまいます。
ここで紹介するお話は、そんなみんなと変わらない人が二十年絵を描き続けたことで、大成功をおさめたお話です。
43歳から画家を目指して、人生の再スタートを始めた人のお話です。
一度諦めた夢をあきらめきれずに、すべてを捨てて一から絵を学び始めた彼は、現在60代で幸せな画家生活を歩んで世界で活躍しています。
43歳から画家を目指してデッサンを学ぶ
あれは僕が二十歳のころ、美術研究所(プロ養成所)で石膏の木炭デッサンを始めたときのことでした。
そこで、僕よりはるかに年上の男性Hさんと出会いました。
半年遅れくらいで入所してきた彼は会社を辞めて、若いときの自分の夢を実現するため43歳から絵を描く人生を選びました
研究生の年齢はバラバラで、僕のような20代前半から定年退職されたご老人まで、幅広い男女が学んでいました。
生活のために、若い時の自分の夢を叶えたいと、定年退職して絵を描いている人が、とても大勢いることに若い僕は驚いていました。
出入りは自由ですが、先生方はヒントを与えるくらいでそれほど教えてくれないので、自分で研究するシステムで厳しいところでした。

僕は若かったので、のみこみが早かった方でした。
木炭デッサンは鉛筆と違い粒子を扱います。
造形と色のトーンのグラデーション、質感、量感、光と陰影などを表現するにふさわしい道具なのです。
そのぶん扱いもむずかい道具で、木炭紙も凹凸がありそこに粒子を押さえてのせていく作業は、慣れるまで結構時間がかかります。

完成までの日数は平均6日です。
この勉強は形と造形、面と光と陰の色の幅、量感と質感をすべて白黒の画面に表現することでした。
苦難の日々
その研究所で学び始めたHさんは、絵のために会社を辞めて奥さんとも離婚、二人の子供を連れてご両親と同居する生活が始めまいた。
Hさんは昼間は研究所でデッサンをし、夕方からはお茶の配達のバイトと貯金を崩しての苦しい生活をしていました。
ほんとに大変だったと思います。
研究所では、年に6回コンクールがあり、そこで1番の成績で上のクラスに昇格できるシステム・・・
僕の知る限り年に4人ほどしか入賞できない厳しいところだったので、リタイアする若者が続出していた記憶があります。
僕の友達も1年で2人やめてしまいました。

造形を理解できず、木炭の扱いに慣れないことで、考えすぎてノイローゼ気味だったのです。
僕もHさんによくアドバイスを求められたことを覚えています。
どうやれば造形を理解できるのかと・・・・
みんな必死で、あれこれいつもみんなで議論していました。
グループ活動
同期の仲間は現在はバラバラになって会うこともないのですが、当時は毎週コーヒーを飲みながら絵の話から将来の夢について議論していたことが懐かしく思いだします。
みんな何年かたつと、それぞれ昇格していて、僕も全ての過程を終了していました。
みんな絵がやっと描けるレベルになっていたので、グループ展を何度もして楽しい思い出とともにそれぞれの道を歩みはじめ、仲間はバラバラに散ってしまいました。

(グループ展会場)
Hさんはこのころ知り合いの画商さんと手を組み、値段の安い売り絵の仕事に携わっていたのを覚えています。

考えて見れば彼は、誰よりも早くインターネットで絵を売っていた・・
10年ぶりに再会
海外画家との交流
僕たちがばらばらになった後みんな理由があり、ほとんどの人が絵の道をあきらめていたそうです。
後にHさんは研究所で知り合った、Nさんと結婚されてふたりで力を合わせてどうにか絵で生活してきました。

彼は英語が得意でよく海外の音楽を聴いていたのを覚えています。

Hさんの趣味はギター演奏でした。
その英語のスキルを利用して海外の画家とコンタクトをとり、世界のグループ展に参加していてのです。
ヨーロッパとアメリカなどに作品だけ送り、展覧会に出品していました。

絵画教室の成功
あれから10年ほど僕はHさんに会うことはなかったのですが、個展とグループ展の案内状が送られてきたのです。
久しぶりに会うともう60代になっていたことに驚きました。(時が過ぎるのは早すぎる~)

以前彼の作品は具象絵画で風景画が多かったのですが、今は色彩豊かな抽象画になっていました。
のちに彼の自宅に案内されていくと、家の半分が教室になっていたのです。
この自宅での絵画教室は近所でも評判で、子供から大人まで自由に好きなものを、簡単に描いて楽しむシステムで運営し、大人気で今は順番待ちです。

ベルギー王女が作品を購入
スマートフォンの普及でインターネットも誰でも見るようになってきた現在。
Hさんの作品は世界の画家たちが作品を購入することから、Hさんの作品はヨーロッパやアメリカに知れ渡り、今では一般のコレクターにも人気になっています。

セレブたちにも人気で、購入者は多く、自宅だけでなくヨットにまで絵を飾っています。
また本の挿絵にも使われたりしています。

そんななかある時ベルギーから20枚購入したいと女性からメールが来たそうです。
Hさん夫婦は驚いて何回も見直したそうです。

住所はベルギー王室・・・・・
依頼人は・・・
ベルギー王女だったのです!!!
えええええ~
マジで~!!!!
継続することは最大の力
この話を聞いたとき僕は度肝をぬかれました。
15年ほど前はそれほどうまいとも、へたともいえないレベルのHさんの絵でしたが、いまでは毎日描いてネットに出すと世界の誰かが絵を買ってくれて、それで生活でき、自分の夢をかなえてしまいました。

人間は夢を諦めないで努力し継続すればそれが最大の力であることを証明してくれたのです。
彼は継続することで、自分の画風とタッチ、絵具、テーマと思想を上手く組み合わせた表現にたどりついたのです。
「頑張っていれば誰かが見てくれている」と僕たちの先生はおっしゃっていました。
夢は決してあきらめないこと!!ですね。
まとめ
このお話の人物は今、ある島で自然に囲まれたところで自由に絵を描いて生活しています。
Hさんは、すべての夢を20年かけて実現した素晴らしい人です。
この成功例を励みに僕もカムバックを果たしました!
これから絵を始める人は、夢を大きく持って自分の力を信じて生きていってください!!
諦めなければ必ずいつか夢はかないます。
その時期は、人によって違うだけです。
一緒に頑張って前に進みましょう!!!