世界的に見て現在のアートブームは、版画ではなく原画(タブロー)が中心に売れています。
20~30年ほど前に比べると、版画の人気が売り上げの半分ほどだったのが、今では版画(リトグラフ)はまったく売れていないようです。
なぜ、版画の普及が減ったのでしょうか。
そこには、絵を買う人たちの絵画に対する考え方や、情報量に関係があったのです。
アートブームによる市場の変化
SNSによって世界情勢やあらゆる情報が、すぐに知ることができるようになりました。
誰もが、知りたい情報を簡単に得ている時代。
この事で、若者から老人までの幅広い層の人達が、芸術や絵画の知識を得ることになったのです。
世界的にアートブームが盛んになり、あらゆる国の画家たちがオークションに参加できる時代になりました。
絵画転売のスピードは、一昔前では考えられないほど速くなっている。
そして、それは世界中のコレクターたちに、新たな絵画ブームを巻き起こしています。
版画やリトグラフが売れない時代
今までの絵画市場、特に日本では版画販売に力を入れてきました。
海外の画家や日本の有名作家の、版画やリトグラフを高く売り利益を得ていたのです。
日本人にとってリトグラフは、買いやすさと飾りやすいシンプルなところが人気でした。
原画になるとコレクター以外の人は手に入れるのが難しいし、一般の人には情報量が少なく、絵の良さが理解できなかったと考えられます。
一般人には、わかりやすい版画がいちばん買いやすかった。
原画にこそ魅力があると、みんな気づき始めている
この数十年で、リトグラフの価値は下がっています。
昔購入した人が売る時は、半分以下の値段になっている。
ネットで、いろんな情報を得た人たちは、これからは値段が下がる版画より、一点物の原画に価値があると気づいたのです。
価値が上がっている版画もなかにはありますが、百貨店で購入したものはほぼ下がっている。
最近の絵画ブームでは、原画の価値に魅力を感じて、絵にこだわって購入しています。
人によって、趣味は様々ですけど、高い絵から手ごろな作品まで、原画の良さを体験して惚れ込み、購入するという感じになってきました。
画廊やギャラリーの勧めではなく、自分の感覚で選んでいるというところに、日本のアートに対する考え方が変わってきていると感じます。
例外的にの売れている名画のデジタルコピー
フェルメール展など人気の西洋名画を見に行くと、必ず記念品のお土産品が販売されています。
ここで、一番の売り上げを上げているのが、ポストカードですが、その次に人気なのが、名画のデジタル版画です。
これは、小さくコピーした複製画ですが、このコピー版画の人気は凄まじい。
決して安くはないのですが、小さくて本物の色彩に近いコピーを家の壁に飾りたいという人が多いという事です。
リトグラフが売れない影にはデジタルコピー複製画があったのです。
この商品は1~2か月も予約待ちで、売り上げは伸びています。
各分野の価値に注目するコレクター
売れない絵があれば、売れる絵がある。
原画は一点物で、絵としての魅力を生で感じることができます。
今日本では、骨董や古代のコイン、仏像彫刻などが人気があります。
現代絵画は、一部の人たちが独占できる状態です。
絵に詳しい人は、海外に絵を転売する人も出てきている。
車と同じく東南アジアに売っています。
これは、今タイやベトナム、インドなどが発展しており、もう日本より売りやすくなっていることが原因です。
富裕層が増えているので、絵画市場もこれからどんどん活発になっていくと思います。
まとめ
今日本は、消費税のことで、いろんな問題に直面していて、絵画が購入しずらい時代になりつつある。
フランスが絵に高い税金がつくのと同じで、絵が売れても画家たちは苦しい環境になるかもしれません。
ですが、これから絵を売る人も買う人も、なんとかそのまま盛り上げていってほしいものです。
まずは、若い層のイラストなどの普及から期待したい。
そして、多くの海外からのコレクターが、日本の絵画に興味を示してほしいものです。