現在ヨーロッパの企業は、自分たちの歴史ある素晴らしいアートに注目し、学び直しています。
企業がこれまで直感的、感覚的な判断を拒んでいた時代は、もう終わりを見せているのです。
これまで、個人的に絵画を所有する喜びを、さらに大きな喜びに変える出来事が!!
スイスのグローバル企業を中心に新たな、動きがありました。

誰もが絵画を所有する時代
ヨーロッパでは、誰もが絵画を所有する習慣が古代から根付いています。
ヨーロッパの人達は、絵画に対する愛着は深く生活の一部になっています。
アートを所有する喜びを知る彼らの夢は、巨匠の作品をいつも鑑賞することと、所有することです。

(昔ピカソのモデルをしていた婦人と当時のデッサン)
ですが、そのような名画は、一般の市民にはとても手が届かない金額で取引されているので、夢のまた夢となっていましたが・・・
ですが、そのような夢を持つ多くの人達が力を合わせて新たな行動に出たのです。
その素晴らしい出来事は、スイスのジェネーブでおこりました。
「共同所有を提案した企業」スイス・ジェネーブの奇跡
スイスのジェネーブといえば、アートが盛んな都市バーゼルと肩を並べてアートに力を入れていることで有名ですね。
時計の博覧会の世界の新作時計フェアと、車のジェネーブショーなどでも人気の街。

世界中のセレブや著名人が集うこの街で、ある素晴らしい企画が実現しました。
スイスのインターネット会社ですが、普段は旅行カバンや格安航空券を販売していたのですが、あるユーザーの希望を実現する企画を打ち出したのです。

2万5000人がピカソ絵画の共同所有者に!!
「私たちは何でもやります、すべてのお客様のために」と、ほかでもない20世紀の天才画家ピカソの絵画を売りに出たのです!!
「マケット銃士の半身像」と題された1968年のこの絵画は、2億2000万円(200万スイスフラン)で売りに出されました。

ここで素晴らしいのは、多くのユーザーの思いを実現していることろなのです!
世界で初めて、巨匠の名画を個人ではなく、共同所有を目指したところにあります。
1口50スイスフラン(約5500円)の出資という形でインターネットで売りに出されたピカソの絵画は、3日で2万5000人が4万口を購入したといいます。

その2万5000人が共同所有者になりました!!!
2万5000人の所有者は、ピカソの絵画の展示場所を共同で決め、ジェネーブ近現代美術館に決定!!
各共同所有者には、個人番号と作品のカードが発行され、もちろん無料でジェネーブ近現代美術館を訪れ、このピカソの絵画をいつでも鑑賞できるという権利が約束されています。

この素晴らしく新しいアートの所有の形は、世界の絵画を愛する人たちに、新たな希望と期待、喜びを与えた素晴らしい企画だと、世界中のメディアで取り上がられました。
企業のトップは美意識を鍛えている・・・・?!
名門美術学校の上層客は意外にも、グローバル企業の幹部たちなのはご存知ですか?!
例えばイギリスのロイヤルカレッジオプアートは修士号、博士号を授与できる世界で唯一の美術系大学院大学です。

ここでグローバル企業の幹部トレーニングが行われ、どの企業も各社の将来を担う、幹部候補を参加させているのです。
先進的なグローバル企業では、MBAで学ぶような分析的なスキルよりも美術系大学院で学ぶような、コンセプチュアルスキルの重要性が高まっていると話題になっています。
これからアートが中心的な役割をする・・・?!
グローバル企業の幹部候補たちは、これまでの論理的、理性的スキルに加えて、直感的、感性的スキルを獲得することが期待されています。
世界のルーブル美術館、メトロポリタン美術館、テート・ギャラリーのような国を代表する大型美術館には、社会人向けのギャラリートークのプログラムがあり、多くの人が参加しています。
応募が多いので、キャンセル待ちになることもあるようです。

このプログラムは、作品の美術史上の意味合いや見どころ、制作にまつわる逸話を解説して芸術を学ぶプログラムです。
最近このプログラムの参加者のメンバーが、美術関係者によると大きく変わってきているといいます。

以前は学生と旅行者がほとんどでしたが、最近では、スーツ姿のを人が、会社出勤前にギャラリトークに参加して絵画芸術を学んでいるようです。
日本では考えられないことですね。

彼らは、趣味で芸術を学んでいるのではなく、分析と理論重視の意思決定では、現在のように複雑なビジネスに対応できないことに気づき、自分だけの利益の目的のために「美意識」を鍛えていることになります。
これからの未来は、自己実現的消費へ向かう
世界が同時に経済成長するにしたがい、自己実現欲求の市場で戦うためには、機能性や価格競争能力よりも、人々の欲求を刺激するような感性や美意識が重要になってきます。
先進国のビジネスがファッション化が進むことで、世界トップ企業とリーダーの「美意識」の水準が今後の企業の運命を大きく左右することになると考えられます。

現在、ネットの普及により、法律の整備が追い付いていないという社会問題が発生しています。
新たな犯罪問題や世界事情に対して、質の高い意思決定を継続的にするには、明確にしたルールや法律だけを頼りにせず、正しい判断力をするために「美意識」が求められることになります。
まとめ
アート業界に新たな光が見えてきている今、芸術家とコレクターや企業がそれぞれの力を発揮して、それまで考えられなかったことを現実化しています。
2万5000人のピカソ絵画の所有者は、第二次世界大戦にレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を守ったミラノ市民、ミケラミケンジェロの「マリア像」を守った兵士たちと同じような気持ちで、一枚の絵画に接しているのだと言えます。
グローバル企業が10年前から取り組んでいるコンセプチュアルスキルによって、これからの未来は、アートなしでは成り立たないくなってきています。
日本の企業も、十年遅れていますが最近企業とアート(インスタレーション作品)のコラボ企画が目立ってきていることで、日本にもスイスのような今までにない出来事が起きるのを期待したいですね。