今、アニメやイラストに興味がある人は、線の重要さに気づいているでしょうか?
鉛筆は絵の基本で、あらゆるものを紙に写すことが、簡単にできる便利な道具です。
線は画家の内面を表現しやすい道具で、あらゆるテクニックを使い分けることもできます。
ここでは、僕の子供の頃の初めてのデッサン体験を書いてみました。
僕もみんなと同じ普通の少年で、イラストが大好きな17歳でした。
なにげなく鉛筆デッサンに興味をもつ
17歳の僕は将来イラストレーター、デザインナー、アニメーションの仕事とか何になりたいか思い悩む時期でした。
もともと子供のころから漫画を描くのが好きだったのですが、両親はよくは思っていませんでした。
普段家で、Gペンか鉛筆で漫画イラストをまねて描くだけです。
基礎も何もあったものではありませんでしたが、自由で楽しく想像の世界を思い描いていました。
その状態で大学、専門学校に行けるわけもないのに・・・
具体的に、やりたいことも決まっていなかったし。

何から始めたらいいかわからないので、とりあえず気の向くまま鉛筆と画用紙を準備して基礎的なデッサンをしました。
そのとき仲のいい友達と二人で始めたのを覚えています。
まずは壺、古時計、鬼瓦、ビン、かもの置物、ギター、など静物画で練習していましたが、慣れてくると友達とお互いをスケッチしあったり、自分の手や顔なども描いていきました。
資料もデッサンの基礎本を何冊も買い集め勉強していました。
テレビでミケランジェロを知る
あれは文化の日でした。
テレビでイタリアのバチカンにあるシスティーナ礼拝堂の天井画を修復の記録を放送していたのです。
ルネサンス時代に、この作品を完成させたとき人々は(神のごときミケランジェロ)と感動の声をあげました。

修復に十年の歳月をかけてやっともとの美しい色彩を公開したのでした。
絵画の巨匠の知識はほとんどなかった僕は、あんなすごい作品がこの世にあるとは思ってもみなかったのです。
そして『アダムの創造』を見たぼくは、全身に鳥肌がたつくらい感動していました。
神様!!あれが神様か!!!
っていう感じです。(笑)
神ゼウスの姿は僕の想像をはるかに超えるスケールと美しさで描かれていました。
ゼウスの指から生まれたアダムの姿。
圧倒的に迫力のある造形とデッサンに見とれて感動しっぱなしの17歳のぼくは、そのあとすぐに書店でミケランジェロの画集を探していたのです。

天才のデッサンを模写
当時画集の資料は限られたものしかありませんでした。
しかもすごく高かった!
貯金があったので分厚い「世界美術の巨匠シリーズのミケランジェロ素描1」を一つ買うことができたのです。
すごく素晴らしい画集で今でも持っています。
あとは図書館に行って洋書の画集を借り、必要な絵や彫刻の資料をコピー機でコピーしていました。
全ての作品、彫刻、素描を鉛筆デッサンして勉強したのでした。

初心者におすすめする方法
このように17~18までまで独学で鉛筆デッサンを学んで、19歳からその延長で木炭デッサンに造形勉強のレベルアップをしました。(すべての人に木炭デッサンが必要ではありませんが、画家と彫刻家には必用です)
目標にする絵によっては鉛筆デッサンをマスターするだけで十分な人もいます。
なので、イラストや水彩画、色鉛筆、水墨、平面的絵画の人は素描を中心にしても問題ないと思います。
・ミケランジェロ素描を模写する理由を説明します。

この素描を見てくださいインクで描かれています。
これはハッチングという方法ですが、何回も線を重ねて立体をつくる方法です。

解剖学的デッサンですが、浮彫のように見えます。
下はアダムのイメージデッサンですね。
これはチョークで描かれています。
どれも作品のための下絵ですが、初心者はこの線の描き方をまねると必ず上達します。


なぜなら、すごくデッサンが苦手な人と、描ける人とでは物の見え方が違うからです。
しかも巨匠の作品ですので自分の作品よりは、はるかにいいものになるはずです。
最初は形がとれなくても、積み重ねていくうちに形がとれるようにもなってきます。


大事なのはミケランジェロの素描の線の方向や強弱、線から線まで一本の線までマネすることです。
へたでもぜんぜんかまわないので、正確に模写してください。

ミケランジェロはむやみに線を引いていません。
筋肉の流れを意識しています。
彼の線の方向は、彫刻刀で大理石にのみを入れる方向なのです。

それと解剖的に骨と筋肉を強調していますので、人物の勉強になります。
筆はH~6Bまで鉛使い分けていてください。
この色の強弱は初心者にはとてもいい勉強です。
大学の入試でも線の描き方造形、トーンの幅はチェックされます。

漫画家やイラストレーターは線が命なので線の強弱と線の流れる方向など参考になると思います。
シャープペンなどで均一な線と幅で描いてみるのもいいかもしれません。
自分のペースで思考錯誤してみるのも大事なことです。

練習を重ねることで上達が早くなるでしょう。
レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロのデッサンも勉強になります。
まとめ
鉛筆デッサンやペン画などは、基本的に絵を描く人に必要なスキルです。
自分で漫画を描いているだけでは、なかなか上達はできないでしょう。
漫画やイラストの世界ほど、線を重要視するので画家と同じくデッサン力は必用です。
また、画家と彫刻家には基本的に必要で、ルネサンス時代の素描から18世紀の新古典主義までのデッサンをマスターすると、あらゆる分野の仕事の基本に役立ちます。
