人はなぜ絵を買うのか?!

レストランや他人の家にお邪魔すると、必ず絵が飾っている。

僕はいつも、なぜこの人はこの絵を買ったのだろう?

と、考えるくせがあり、いろんなことを思うのです。

絵の質や内容によって、その人の趣味や性格、人柄を想像してしまう。

その絵を買った人の心理というのは、どのようなものなのでしょうか。

 

お金持ちだけが絵を買うのではない

お金がなくても絵を買う人たち

意外に思うかもしれませんが、絵を買う人は成功者や、お金持ちだけではありません。

コレクターや絵を愛する人達には、それほど裕福ではない普通の人たちも大勢いるのです。

最近では、20代の若者でも絵を買っているという記事をよく見かけます。

テレビでも若い芸能人が、20万円以内の絵画を最近買ったと話のネタになっていました。

それほど今の時代、芸術に価値を見いだしている人が増えているといえます。

 

資金を貯めて絵を買う

絵を買うというと、大きな買い物と考えてしまいます。

フリーターやサラリーマンにはキツイ買い物のように思いますが・・・

若者や一般のサラリーマンがどのようにして、絵を買っているのか?

・好きな版画が決まっていてそれを目標に貯金する人(3~30万)

・若手作家の小さな作品をギャラリーで探す人(5~8万円)

・いつか絵を買うと決めて貯金する人(20~200万)

・すでに画家のファンでコレクションしていて、分割払いで購入している人(15~60万)

・ボーナスで買う人(20~40万)

・カードローン(10~30万)

と、このような感じで絵が大好きな人たちは作品購入に成功しています。

 

その人にとっての価値観

絵の価値感ですが、絵画市場にもクラス別に分けることが出来ます。

絵の種類から、ブランド化された高級な作品、国内の有名作家、新人やアマチュア画家とそれによって、値段も価値観も変わってくるのです。

 

・ブランド化されている絵画

ブランド化という言葉を使ったのは、世界的に認められている作家のことで、○百万から○○億円という一般人には手が届かない作品のことです。

完全にブランド化されているので、安心して買えることと、売買するにも値下がりはほとんどありません。

逆に作品次第では、値上がりも期待できます。

 

・国内有名画家の作品

国内で画商や画廊が売り出している作家のことです。

百貨店などで展示販売していることも多く、公募団体の委員から新人作家まで幅広く取り扱っています。

あくまで、画廊側の考えで企画されていますので、後に絵の価値がどのような結果になるのかはわかりません。

画家が亡くなって、絵の価値が上がる人もいれば、下がる人もいます。

 

・新人、アマチュア画家の作品

新人やアマチュア画家の作品は、画廊やギャラリーなどで購入できます。

ギャラリーでは、個展やグループ展の時だけの購入になるので、買える機会はそう多くありません。

画廊でも、企画展などを狙うか、常設で展示されている作品に限ります。

これらの作家の作品は、一般人にも買いやすい価格設定になっていますので、ほとんどの人は新人の画家の作品を購入しています。

新人やアマチュア画家の作品でも、素晴らしい作品はたくさんあり、今後の活躍を期待する楽しみも増えます。

 

絵を買う理由

何のために絵を買うのか

絵を買う人は、素直な気持ちで好きだから買うのですが、一般の人たちには不思議に思うかもしれませんね。

絵画は、美を表した空間世界ですが、人の心を癒す効果もあります。

人によって選ぶ作品は違いますが、その人の人生に必要な要素が込められているのだと思います。

美の感性は人それぞれなので、ファッションのような感覚でもあります。

 

絵に求めるものとは?

絵画鑑賞を愛する人は、絵画の中の世界に憧れの一部分を見ているのです。

自分にある部分と、自分が得たいものや、何か心理的な作家との共通点を、感じ取っているのでしょう。

絵は人間の遺伝子的レベルの、情報を得る手段の一つでした。

絵画美は、絵の具のメチエの美、描かれている主題表の美、画家の思いや表現の美など、見る人はそれをすべての感覚でとらえることで、なんとも言えない世界に誘われます。

絵を購入する人の心理はさまざまであり、本人の絵を見て感じた感情によって違います。

ただ、言えるのは、自分を現実から離れた場所に、連れて行ってくれる癒しとも思えます。

絵を見ている時間は、一瞬時が止まっているような感覚を味わうのです。

 

値段以上の価値に気づけるか

絵を購入する人のほとんどは、自分が見て素直に欲しいと感じるから購入します。

高級時計や高級バックを買うのと同じような感覚です。

ですが、画家が描いた油絵は、この世に1点のみです。

1点物の価値は、画家の人気と共に上がることもあります。

絵を買う人は、回数を重ねたり絵を見る目が出来てくると、値段以上の価値に気づくようになってきます。

たとえ世間の評価は低い画家の絵であっても、今後この画家はいい作家になると思うと、何点もの作品を購入して画家を応援します。

よほど気に入った場合はファンとなり、コレクションする人もいて、個人のギャラリー喫茶を始めている人までいます。

 

絵を買う理由は、車やブランド品を買うのと同じ感覚

車を買う人と絵を買う人

300万の絵が百貨店で買い手がついている印を目にすることがありますが、よく考えると自動車1台分と同じです。

車を買う人にしたら、絵を300万で買うなんてもったいないと思うかもしれませんが、300万の車を買うくらいなら、お墨付きの絵画を買った方がいいと言う人もいます。

確かに生活には車がある方が便利ですが、維持費がかかります。

また、車は、買った瞬間価値が下がる。

絵画は、維持費は要りませんし、価値がある作品は、値上がりします。

どちらにしても、物の価値というのはその人の趣味であり、どちらがいいというものでもないように思います。

ただ、アート作品は情報がないとその価値が分かりずらいという感じで、スーパーカーのエンジンとデザインの価値を知らないのとよく似ています。

わからない人には、どうでもいい物なんです。

(燃やされたミケランジェロ作品の模写)

昔、フランスの王妃が、先祖代々受け継がれてきたレオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロの神話画を見て、絵の意味も理解できなかったために、裸体画がハレンチだと言い燃やしてしまったという実話があります。

まさに、いい例なのですが、価値を知らない人には現在の値段で換算したら、1000億を超える値段でも焼いてしまうのですから・・・

この夫人が絵を焼いていなければ、もしかすると我々も見ることが出来たかもしれませんね。

 

ブランド品を買う人

ブランド品はまだ安いといえますが、よく考えると高い買い物でバックが20万や30万というのもありますよね。

ちょうど絵画もこの20万から30万のあいだが実は、いちばん売れているのです。

庶民の感覚の相場です。

ヨーロッパでもよく似た感じで、サラリーマンの平均月収くらいに作品の価格を、合わせる傾向が昔からありました。

作品のサイズも6号から20号以内という感じでしょうか。

日本の家には、これぐらいがいちばん飾りやすいという感じですね。

 

絵を買う人

車やブランド品を買うのには、お金がなくても買う傾向は昔からあります。

それは、その車やブランド品には、それなりの美の力がそそがれているからです。

革製品や時計などでも、デザイナーの細やかな芸術性を感じることが出来ます。

それに、現代人は心を奪われる。

仕方ないことです。

デザインもアートから来ている部分ですから。

人はそこに「美を感じている」という、単純な理由があるだけなんです。

ただ、絵を買う人の感覚というのは、その数倍の美意識が働いているということです。

特にそのような人の感性は、30人に1人もいないと思います。

特別な感性を持っている人が多く、他分野でも能力を発揮できる可能性があります。

 

これからの絵画市場

百貨店での絵画を買う人が増える

これから絵画市場も、いろいろとスタイルが変わっていくと思います。

今までの日本の絵画市場は、少し閉鎖的な感じで、一般人にはわかりにくいところがありました。

ですが、スマートフォンの普及で社会の仕組みがだんだん変わってきています。

これからは、百貨店が先頭になり、この市場を最初に変えていくのではないでしょうか。

 

昭和時代の絵画ブームが起きる

1970年代の絵画ブームからバブル期まで、日本は絵画ブームがありました。

特に今では信じられないことに、70年代初めには百貨店の美術画廊は朝から長蛇の列で、絵が全て完売していたという時代がありました。

昭和の画家たちは大人気で、庶民の憧れだったのです。

そのブームがまた起きるかもしれません。

日本でも徐々にですが、今の若者たちがブームを起こすのではないでしょうか。

 

海外のコレクターも日本で絵を買う時代

現在海外の人達はアジアに注目しています。

特に、日本の文化について詳しい情報が、SNSを通して伝えられていることで、人々はもっと日本文化を知りたいと感じている人が増え続けています。

この事は、アジアでも同じで中国や韓国、台湾、香港と東南アジアの人たちにも共通しています。

絵画の世界でも同じく、日本の画家の作品を欲しがるコレクターが少数ですが、買い付けに来るようになってきています。

 

絵を欲しがる人が増えると、さらに広がるアートの市場

日本の絵画市場は、バブル崩壊、リーマンショック以後低迷していました。

ですが、最近ようやく絵画市場にも元気が出始めています。

ネットによる情報量が増えたことが、大きいのではないでしょうか。

日本は、美術雑誌の数が少なく、読む人も少ないのか、なかなか美術部門の遅れが海外に比べて目立ちます。

絵画の販売雑誌なども出始めると、絵画市場は変化出来ると僕は感じています。

新しい変化があれば、どんどん絵画市場は自然に広がることになるでしょう。

 

素人の絵画市場が出来る

徐々にでしょうが、これからの絵画市場も一般の素人やコレクターなど、素人も絵画市場に入ってくる可能性があります。

今までの常識では考えられない方法が、生まれても不思議ではありません。

新たなビジネス展開が予想できます。

 

ネットでの売買が盛んに行われる

はじめに個人的に行われるのは、ネットでの売買になると思います。

コレクターか、作家を取り扱う人、作家個人が、お客さんと直接取引することになるかもしれません。

プロではなく、素人から、アマチュア画家が、そのような行動に出てもおかしくありません。

 

さらに素人画家や日曜画家が増える

90年代から続く日曜画家ブーム。

多くのご老人や、主婦のあいだで根強め人気があるカルチャー教室。

アートブームが来ると、次には必ず自分でも油絵を描いてみたいという人たちが増えます。

90年代の印象派ブームのように、多くの人達が絵を描くという夢を実現してきました。

意外な事ですが、日本でプロから一般の素人まで合わせると絵を描いている人は、EU全土の画家の数と同じくらいいました。

現在でも、各分野が増えイラストからエアブラシと水彩画など幅は広がっています。

日本で画材が売れることで、海外からの輸入は絶えません。

 

まとめ

絵を買う人の理由はさまざまですが、ほとんどの場合、生活の一部にそえる花のような存在です。

20代の人達が、何らかの海外の影響を受け始めるのは、欧米の若者たちと同じような感覚になってきているのだと感じます。

これからは、お互いの文化がうまく影響を与えて、国や人種を超えるようになる。

絵画もそのように、世界中で自由に取引されれば、絵を買う人の夢はさらに広がることでしょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

画家活動をしています。西洋絵画を専門としていますが、東洋美術や歴史、文化が大好きです。 現在は、独学で絵を学ぶ人と、絵画コレクター、絵画と芸術を愛する人のためのブログを書いています。 頑張ってブログ更新していますので、「友達はスフィンクス」をよろしくお願いします。