絵の中で色彩は大切な要素のひとつです。
作品の色彩は、絵のテーマの鑑賞者の感情の部分を刺激する。
絵を描く場合、最初はその色彩に敏感な人と、そうでない人がいます。
僕は色彩について関心が薄い若者だったようですが、あなたはどうですか?
色彩感覚に優れている人は、絵を楽しんで描ける人だと思います。
白黒デッサンばかりしてると色が使えない
基礎勉強は辛いもの
まだ僕が20歳ごろ、デッサンを必死に学んでいた時のことでした。
毎日研究所でデッサンを、朝9時ごろから夕方4時ごろまで描き続けて、終わってアルバイトに行くという日々を過ごしていました。
はっきり言ってデッサン漬けの毎日はとてもつらい日々で、僕は早く色を使って描いてみたいなと思っていたのです。
絵の具をどのように使うのかわからない
そんな時美術研究所展が年に一度開催されることを知り、なんでもいいので作品を描かなければならなくなりました。
色彩を使って描いたことがほとんどなかった僕は、まず水彩で描いてみましたがひどい作品で、まったく人に見せれるものではありませんでした。
毎日木炭ばかり使っているので、絵の具をどのように使えばいいのか全くわからなかったのです。
画材が悪いのだと思い油絵具を購入してバラを描いてみたのですが、画材の使い方をまったく知らなかったので、ただ絵の具をべた塗していました。
形がとれていても色彩がひどければ、モノトーンの方がましかも
形はとれていても色彩はひどいものでした。
今思うとグリザイユ(白と黒)かカマイユ(こげ茶と白)のモノトーンの方がましだと思います。
初めて描いたバラの絵は、アイボリーブラック、ローズマダー、サップグリーン、ジンクホワイトなどで描いたと思います。
このとき、絵の具の選び方は適当で、不透明と透明色の意味を知らずに使っていました。
なので、透明色のローズマダーで色をのせてもなかなか色も出ないし、盛り上げでることができない・・・・
サップグリーンも透明色で、薄くグレーズする絵具なので下描きには向きません。
このように僕の初めての油絵は大失敗に終わったのでした。
いつも白黒の色しか扱っていない僕には、色を混ぜて作ることができず、勉強不足と経験不足の為にその年の研究所の出品は諦めました。
油絵がすごく難しいと感じて、挫折感をあじわったのです。
みんなはじめは初心者であたりまえ・・
搬入の日ただのお手伝いだった僕。
それが僕だけと思いきや、同期の女の子も全く同じことをしていたという・・・
作品を出せなかった僕とOちゃん。
「絵具も色もまったく使えないよね。何でだろ?」
「紙とキャンバスじゃぜんぜん違って、うまくいかなかったよ・・」
「私もそうなの。絵の具上手く使えないよね~!」
「油絵の具の使い方全く分からないの。」
と、二人で話していたニガイ思い出になりました。
まずはグラデーションをしてみる。
色を使いこなすにはまず、色鉛筆を思い出してください。
子供のころクーピーペンシルとか使った経験はあると思いますが、色がグラデーション式に並んでいるとおもいます。
虹色にも見えますね。
その色を順番に塗っていってみると赤でもいろんな赤が見えると思います。
真っ赤な色の隣にオレンジ黄色を表現していくと、その色と色の中間にできた色を観察して色の変化を遊びながらでも理解することができます。
あと青から白までの色のグラデーションなど、いろんな色で遊びながら学ぶのもコツの一つです。
自分の好きな色で色彩のトーンを意識して描いてみましょう。
うまく色を使えるようになると、素敵な色鉛筆作家にもなれますよ。
昔研究所に女性のかわいい絵を描く、色鉛筆画家がいたのを思い出します。
最近では、水性色鉛筆も販売されていて、水に溶けるようになっているので二つの表現が楽しめますよ。
普通に色鉛筆で色を塗り、筆に水をつけて塗ると色が解けてにじみ水彩になるので、簡単に面白い表現ができます。
アクリル絵具や油絵の具を使いこなすには、画材の知識が重要になります。
パレットの上に絵の具を出してパレットナイフで色と色を練り混ぜて、どんな色を作れるか試してなにか描いてみてください。
まずは自分が使いやすい絵具で、薄塗から厚塗りまで色を塗ってみましょう。
ある程度デッサンが描けるようになったら、絵も描いていっていいと思います。
デッサンと絵の制作は基礎ができていれば、平行して描く事を僕はおすすめします。
色彩感覚は心の中が変われば色も変わる
僕の色ブラウン
僕はもともと、ルネサンスからバロック絵画にあこがれて絵を学んでいたせいか、「テソンくんはよく茶色を使うのね!」とあるお姉さんに言われたことがありました。
自分では気がつかなかったので、自分の好きな色は土色系なのかな?
と、あらためて考えさせられました。
僕はコーヒーとチョコレートの色が好きなのを考えるとやはり、バーントアンバー、バーントシェンナー、ヴァンダイクブラウンをよく使っている。
なぜ?と聞かれると、なんとなく心が落ち着くというか・・・
と、少し地味な感じで嫌な気分でしたが、
お姉さんに「ブラウンが好きな人は心がおだやかで、優しい人が多いのよ。」と言われて、なぜか少し恥ずかしくもあり、救われた気持ちになりました。
恋をしたら恋の色になる
僕よりだいぶ先輩で、彫刻と絵画をしていたOさんという人がいました。
毎日忙しそうで、その時はあらゆる公募展で活躍していましたが、作品は現代美術系で抽象画でした。
大きい作品で上手いのですが、とにかく色彩が暗くてあまり好きな作品ではなかったのです。
ある時僕が友達と帰り道を歩いていると、女性と楽しそうにおしゃべりしながら歩いているOさんを見かけたのです。
それから数週間後、ある公募展を友達とOさんの作品を見にいったのですが、驚いたことに準大賞だったのです。
その作品が今までとはぜんぜん違う、色彩に僕たちは驚きました。
今までの作品では考えられない明るい色が使われていたのです。
カドミウムイエロー、シルバーホワイト、コバルトブルー、バーミリオン、カドミウムグリーン、カドミウムレッド、シルバー
この色たちが画面いっぱいにちりばめられたような作品でした。
女性たちはOさんの「この作品の色彩大好き!!」と女性に評判が良かったのを覚えています。
女性の友達たちは「Oさん恋愛してるんじゃない?!」と鋭い意見が多かったので、僕は「なぜわかったんだろう?」と心の中で密かに思っていたのでした・・・・・・・
女性たちが言うには「恋をすれば恋の色になる」と名言を残しました。
今の心の色が、自然と描いている絵の色になるということですね。
このお話を読んでくれている、今のあなたの心の色は何色ですか??
まとめ
画家の色彩感覚は人によってまったく違います。
自分の好きな色や使いたい色は、100人100色とよく言いますが、それがその人の個性になります。
原色や、明るい色彩を使える才能があれば、それは素晴らしいことですが、
白も、黒も立派な色なので、この二色だけでも表現は可能です。
絵は、作家の表現と、色彩が合っていればまったく問題ありません。
使える色が少なくても、問題は絵の内容や画面にどのように表現できるかなので、あまり気にしないでいいかもしれません。
ゆっくり学んで行きましょう。
・「頭で考える」より「心で感じる」方を選んでみよう!!