バロック以後ロココ時代になり、上流階級たちの華やかな時代に変わり、絵画も次第に軽やかなものになっていきます。
この時代,詩や音楽、オペラなどが人々の娯楽で、絵画もその影響を受けています。
フランス革命以後ナポレオンの出現により、新古典主義の新たな運動が盛んになっていきます。
古代への回帰がスローガンとなり、激しい論争も生まれます。
後に産業革命と共に民衆が、発言力を持ち、画家の中にも新しい動きが出始めます。
また東洋の文化がヨーロッパに紹介され、絵画にも多くの影響を与えます。
そして現代になり、現実を超えたリアリズムへと表現が変化していきます。
造形表現で絵を描いた巨匠その1
ロココ時代から新古典主義など、現代までの画家の造形の変化を見ていきましょう。
マッスの表現から明るく軽やかな表現を重視した絵画へと変わるロココ時代、、古代ローマ、ギリシャの理想美の回帰を目指した新古典主義時代の画家たちの様式の変化に注目しましょう。
ティエポロ、ブーシェ、ライト・オブ・ダービー、フラゴナール、シャルダン、ゴヤ、ダヴィッド、アングル、プリュードンを紹介します。
ティエポロ
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ティエポロはヴェネツィア出身のがかで、フレスコ画を得意としていました。
彼はベロネーゼの影響を受け、空間遠近法を天井画にまで発展させました。
彼の絵は、ヨーロッパ中から注文が殺到するほど、魅力があり、エキゾチックな要素を秘めています。
ブーシェ
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ブーシェは、華麗で官能的な画風を得意とした、フランスで王侯貴族たちの人気画家でした。
彼の描く婦人は華やかで美しく、この軽やかさはロココ時代の文化水準の高さを見せてくれます。
モデルはルイ15世の愛人ポンパドゥール夫人です。
ブーシェはバロックのルーベンスのように、神話画を得意とした画家でもあります。
ライト・オブ・ダービー
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ライト・オブ・ダービーはイギリスの画家です。
この作品は、1768年「空気ポンプの実験」を描いています。
探求心あふれる眼差しで描いたこの作品は、18世紀を代表する名画となりました。
科学実験を描いたこの絵のリアリズムと緊張感は、何とも言えないドラマチックな美しさがあります。
フラゴナール
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この時代詩や小説が盛んに愛され、絵画も夢の世界を描くのですが、メルヘンな世界が多く描かれていました。
なので、男性より女性好みの作風が多いのは、うなずけます。
新大陸への好奇心と理想的な想像による、絵画が多く出回ったことでしょう。
貴族たちの優雅な日常を、恋愛をテーマに描いた連作の一つです。
色彩も明るく伸びやかな筆のタッチがフラゴナールの特徴です。
シャルダン
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シャルダンはフラゴナールと同時代の画家ですが、かれは、一般の市民の生活に目を向けた画家でした。
彼の絵は構図がとてもすばらしく、色彩とタッチの優しさが、鑑賞者を穏やかな気分にさせてくれます。
その静けさは不動の名声を彼に与えるのでした。
ゴヤ
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この「裸のマハ」はゴヤの一番幸せな頃の作品です。
彼は絵具の自在な使い手で、あらゆる表現を絵にできる才能がありました。
この裸婦は自分だけのために描いた絵だと思います。
女性もリラックスしていて、窓の光を受けてとても幸せなのが伝わってきます。
肌の色とかすかに光るグリーンとホワイトがなんとも美しい。
この絵は見れば見るほど奥が深い名作です。
ダヴィット
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「ソクラテスの死」を描いたこの絵は、ダヴィットが英雄的理想主義で彼が古代ギリシャ、ローマの英雄たちからインスピレーションを得ていたことが分かります。
彼は素晴らしいデッサン力と造形感覚を持ち、ルネサンス後期の画家たちから多くを学んでいます。
アングル
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ダヴィットの弟子のアングルは、素描の天才でした。
彼はローマで古代ギリシャ、ローマ、ルネサンス美術を研究し、自然を超える美を追求した画家です。
不自然な造形美とリアリズムを合わせ持つアングルの絵画は、ときにスキャンダルを巻き起こしました。
プリュードン
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プリュードンはフランスの画家でフランスでは人気のある画家でした。
彼はレオナルド・ダ・ヴィンチとコレッジオの影響を受け、ロマン派の画家たちから評価されていました。
彼の絵の特徴は、暗闇の中に浮かび上がる色彩の効果を利用し、人物を写実的に描く方法を用いています。
肖像画の中に詩的な要素を取り入れていると言えます。
造形表現で絵を描いた巨匠その2
19世紀になり、世界を紹介する万国博覧会が開催され、アジアの美術が流行します。
写実主義の傾向から野外制作が流行し、印象派へと流れていきます。
特に日本の美術はジャポニズムと言われ、ヨーロッパで人気を博しました。
それと同時に古代美術を崇拝する画家と、東洋の線を用いた新しい動き、また印象派の運動から次々と新しい美術が生み出されていきます。
その中でも造形とリアリズムを、重視した表現の絵を描いた画家を紹介します。
アルマ・タデマ、ミレー、ウォーターハウス、クールベ、マネ、ピカソ、ダリ、バルチュスなどが代表的です。
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アルマ・タデマはイギリスで人気の大天才画家です。
彼の描くギリシャ、ローマ、エジプトの生活風景と人物は、考古学知識を最大限に発揮し、後のハリウッド映画の参考資料になりました。
「ベンハー」「十戒」など、ハリウッドの大スペクタル映画のセットは、アルマ・タデマの絵をヒントに作り上げリアルな再現を実現しました。
ミレー
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バルビゾン派を生み出したミレーの「落ち葉拾い」は日本でも大人気の絵です。
画家の目線が農村の暮らしに目を向け、リアルに現実をとらえています。
現実的なリアリズムの始まりでもあります。
ウォーターハウス
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ウォーターハウスはアルマ・タデマ、レイトンの影響を受け、神話的題材やルネサンス時代の小説を参考に作品を制作しています。
彼の作品は、写真的リアリティがあり、15世紀のフランドル絵画のようなリアリティも取り入れています。
映像的リアリズムで、現代の細密画家たちに影響を与えています。
クールベ
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クールべは、自分の見たものしか描かないリアリストでした。
彼は現場主事で、自分が見たもののリアリズムを追及することに執念を持っていました。
画面からは、画家の目で見た現実の時間を感じることができます。
マネ
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マネにより印象派の時代を感じるようになります。
この絵は、今目の前でスケッチされたような生々しさを感じます。
色彩はかつてないほど明るく、筆のタッチはあっさりしています。
この時代はチューブ絵具が販売されたことで、それまでよりも早い制作が可能になりました。
ピカソ
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パリでこの絵を見た僕は、圧倒されてその場を少しの間動けなかったのを思い出します。
ピカソのダイナミックにデフォルメされたこの作品は、古代ギリシャ彫刻とアングルの作品からヒントを得たと言われています。
この作品は大きく100号ほどはあると思われます。
ダリ
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ダリはスペインを代表するピカソと並ぶ巨匠です。
「セックスアピールの亡霊」と題されるこの作品はダリの夢の中で見たことを描いたと言います。
大きなオブジェのそばにいる子供は幼い日のダリです。
この造形的で、美しい色彩は印象派や、点描派の技法で描かれています。
作品は、とても小さく非常に繊細です。
バルチュス
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バルチュスは20世紀最後の巨匠です。
彼の絵は重圧な作品が多く、イタリアのシエナ派の影響が大きいと言えます。
作品には、ほとんど子供が多く、また早熟のエロスを描いたものもあります。
日常の中に見る神秘について描いているのでしょう。
造形は初期ルネサンスを意識したもので、ゴシックにも関心があったのだと思います。
まとめ
ロココ時代から20世紀まで、幅広く造形とリアリズムを描いた巨匠を紹介しましたが、ここでの画家たちの対象の捉え方と表現の変化に大きな意味があります。
我々も自分の生きている時代背景に必要である絵画を、生み出していきましょう!
まだまだ造形もリアリズムも変わっていくと思います。
どれも正しい表現なので、自分で学び模索してみましょう。
あなたが描く絵が、新しい時代を作ることを期待しています!
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