展覧会に行ってもなかなか楽しめない人っていますよね。
付き合いで行ってみたけど、「何がいいのかわからない」と感じる人もいるようです。
別に好きでも嫌いでもなく、「たまたま見る機会があって見る人」と、「評判なので期待して見る人」もいます。
絵画は、人によって「見方」や「見え方」、「感じ方」「捉え方」がそれぞれ異なる。
絵が人によって素晴らしく見えたり、ガラクタのように感じたりするのはなぜでしょう?
人と絵画の関係性とはどのようなものなのか。
絵画と人の関係性
新石器時代から人が描く絵画は、文字の代わりに伝達方法の一つとして伝わっていきました。
それは人が思い描く夢と希望、そして現実を絵筆と色彩によって表現してきたのです。。
絵は人に何かを伝える手段でしたが、それを見た人の心境や捉え方は人それぞれでした。
そこで、いろんな論議がなされることもあり、時代が進むにつれその絵画論争は深まっていきます。
現代では多様なニーズに合わせて、絵画の分野も広がり自分の好みで「好きな絵」を選べる時代になってきましたが、
こうなってくると、どうしても人は自分と関係性を感じる絵画にのみに、心が動く傾向が目立つようになっていきます。
人間は進化していますが、古代人より大きな感覚で絵画に接することがだんだん無くなってきています。
今では個人的に小さな感覚で絵画芸術に接しているのが現代人の特徴です。
見る人によって大きく異なる絵画
人は住む場所や生活環境、家庭環境、教育、人生観、個人的な思想、考え方、性格によって様々な種類に分類されます。
一枚の絵画を10人が見た場合でも、感じることは10人十色。
みんなそれぞれ思うことが違います。
日常の生活の中で絵画を見ることが少ない日本では当たり前のことですが、
今の自分の知識のレベルで見た絵を「感覚的に感じ取る」のが一般的と言えます。
人間の脳は見たものを、感覚的にすぐに捉えるようになっているので、そこでどう感じるかは「感性の問題」になってきます。
「知識があって感性がある人」と、「知識がなくて感性がある人」の場合だと感覚的な部分は似通っています。
「知識があって感性がない人」と「知識がなくて感性もない人」の場合も感覚的に似ています。
絵画は知識の量の問題はそれほど関係がなく、問題は「感覚的な感性がない」ということなのです。
崇高な美的精神と芸術の関係
芸術的感性というのは遺伝子的に「ある人」と「まったくない人」がいます。
古代人に比べて現代人の感覚は、そういう部分で少し薄れてきています。
崇高な美意識というのも、それを感じる人と感じられない人がいるように・・・
古代ギリシャの彫刻を見ると感じるのは「エロス」ではなく、「神々しい崇高な美しさ」です。
でも、現代の人の絵を見てもその感覚の違いは明白です。
同じ裸婦像を描いても、描く人によって見え方が違い、「女性の裸にエロチックに描きたい人」と、「崇高な美を目指す人」の二通りがあります。
また、見る人も感覚的に「裸婦をエロスの対象として捉える人」と、「絵画的な崇高な美として見る人」に分かれます。
どちらも人間の感覚としては普通のことですが、ここでも芸術的な美の感性という部分での違いを見ることができる。
絵画に関心がない人には、「きっかけが大事!」
人間にはいろんな人がいて、いろんな感覚と感性を持っている人が大勢います。
絵画のみでお話すると、「芸術的な分野に関心がない人たち」は、なにか楽しいきっかけが必要だと思います。
ほとんどの人は、家庭環境でそのような差があったり、子供の時の教育によって絵画が好きになるきっかけがあった人が多い。
大人になっても、人間関係の影響や社会性による影響などで、なにかがきっかけで好きな絵画に魅了される時期があったりします。
絵にそれほど関心がなくても、そのような絵画との出逢いで人生が変わったり、絵画に対する価値観を知ることになったりします。
人は何かのきっかけで、「自分の中の美意識が働く」ときがある。
その時がきっかけとなり、新たな才能が開花する場合も多くあります。
人の可能性というのは無限で、自分も知らない能力が動くことで、新たな人生もまた開いていきます。
まとめ
絵画というのは、見る人が感覚的に捉えることで、感じ方までまるで違います。
好きな絵や嫌いな絵があるように、人は今の自分の知識と感覚に忠実です。
今の自分に見えていない絵画が、永遠に見えないということはありません。
人間は成長していくにつれ、過去に嫌いだった絵でも人生経験によっていずれ深い部分が見えてきます。
知識があっても、今の自分が受け入れられない感覚や方法などがあるように、鑑賞でも好みが変わり後にそれを楽しむことができるのです。
人生は「何かのきっかけ」による「気づき」が、その人の「人生に影響する」ということを覚えておきましょう。
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