絵画のコレクターについての情報は少なく、一般的にあまり聞くことはないと思います。
コレクターが絵を買う基準とは、いったいどのようなところを見るのでしょうか?
自分がいつ名画に出会うのかはわかりませんが、コレクターの絵を購入する基準を知っていると、名画に出会うチャンスが訪れたとき見分けることができます。
プロが見分ける絵画の選び方を紹介します。
コレクターは絵のクオリティーを見る
コレクターは絵を買うときに、まず絵の「クオリティー」要するに特質や、品質を重視して絵を選びます。
なぜかというと、あまりにも品質が悪い場合、20年後に売れるとしても、品質が悪ければ売るに売れないようなこともあるからです。
またクオリティーの高い絵になるほど、売れやすいのも事実なのです。
彼らはプロの画商ではないので、特に日本人はこのあたりを気にします。
(去年描いた絵)
コレクターは絵の独創性を見る
コレクターによりますが、一部の人は独特な表現に期待しています。
まだ誰も見たことのないような表現を、見つけ出したいと考えているのです。
独創的な絵に期待を持ちますが、それが未来に受け入れられるか、受け入れられないかは誰にもわかりません。
独像性というのは吉と凶どちらに出るか?!
コレクターのギャンブルになります。
たまに大当たりすることもあるので、やめられないのです。
(椅子を描いた絵、ミクストメディア)
コレクターは絵の表現方法を見る
新たな表現方法を確立した絵画には、批評家の評価に準じてコレクターも集まります。
この表現方法とは独創性とは別のもので、絵の表現方法が進むにつれて、やがて自分だけの独創的な表現になると考えられます。
急激な独創性とは、別の絵になります。
このような独自の表現ができる画家に人気が集まる傾向があるのは、見えない未来ではなく確実に期待できる予測ができているからです。
何十年後ではなく、何年後に期待しやすい分競争率が高いので、作品の購入は難しくなります。
(ミクストメディア)
コレクターは絵画技法を見る
コレクターは抽象、具象、版画、イラストのどの作品でも、絵の技法を観察します。
絵の技法は、画材や作品のテーマや内容によって違いますが、コレクターは画材の使い方や技術面でも注目します。
ミクストメディアの作品などは、あらゆる材料をミックスした独自の技法なので、注目されます。
また伝統的な技法もどれほど上手く再現されているのか、版画やイラストもどんな工程で制作されているのかを、画家の制作説明に耳を傾けます。
(20代の時のグループ展の作品)
コレクターは絵の色彩を見る
コレクターは自分の感覚で絵の色彩を重視します。
これは人によって色彩感覚が違うのですが、統計的に青が多く使われている絵が一番売れています。
最近見つかってオークションで市場最高額の510億円のレオナルド・ダ・ヴィンチの作品も青いラピスラズリで描かれていました。
日本でも人気のフェルメールもラピスラズリをよく使う画家です。
コレクターはラピスラズリの青に憧れをもっているのでしょうか?!
(レオナルド・ダ・ヴィンチ 救世主)
コレクターは画家の方向性や人柄を見る
コレクターは絵だけでなく、画家との関係を深めたいと考えています。
画家の絵に惚れ込んでファンになっていい作品を誰よりも、早く購入したいと考えています。
なので画家のこれからの方向性に関心があり、どのような夢を持って描いて行きたいのかというところに注目し選んでいます。
また画家の性格と人柄を見て、ファンになるべきか判断します。
誠実であることと、自分と性格が合う人を選ぶのです。
画家には気難しい人や、いい加減な性格の人もいるのでその辺は、画商ではないコレクターは注意したいところでしょう。
コレクターは絵と画家の10年後を見ている
コレクターは自分が選んで購入した作品の価値が上がることに期待します。
別に売る目的ではなく、ただ自分の趣味や絵を見る眼がどれほどのレベルなのか楽しむ部分なのです。
10年を超えて有名になる画家もいますが、できれば10年以内で何か変化があった方が、購入意欲も増しますし、コレクターも身近に楽しめるからでしょう。
(去年描いた絵)
初心者のコレクターは絵のファンにすぎません。
楽しみがなければコレクションする意欲も下がります。
ベテランのコレクターは、長年の経験で美術界の今後の傾向や新しい流れなどに敏感です。
常に10年後をベースにその後も考えて、いろんな作品に目を向けて選んでコレクションしています。
出来れば純粋に絵が好きで、毎日そばに置いて楽しむ人が、画家にとっての最高のコレクターではないでしょうか?!
古代のコレクターが純粋に絵画を愛したように・・・・
まとめ
コレクターと言っても色んな人たちがいますが、専門的にコレクションしている人と、一般的に身近な画家の作品を購入する人に分かれます。
絵画コレクションは、時の流れとともに流行があり、アイドルを追いかけているような部分もありますが、本当に自分が一目惚れして買っている人は、ほぼ一生手放さない人が多いと思います。
絵画も持ち主に愛されて、持ち主がかわると独り歩きしていきます。
画家のどの作品が、最後までこの世にのこるのかは誰にもわかりませんので、購入した作品は大切にしてほしいですね。