油絵具のホワイトの種類はいろいろありますが、
何を基本に選べばよいのでしょう?!
ホワイトにはそれぞれ特徴があるので、混ぜる色による化学反応を
しっかりと理解して選ぶべきです。
基本、シルバーホワイト、ジンクホワイト、チタニウムホワイトがよく使われていますが、
現在ホワイトの種類はメーカーによって様々なホワイトが出ているので
3つのホワイトの特徴を理解しておくと、制作に必要なホワイトを選ぶ基準にできます。
●シルバーホワイト
シルバーホワイトの顔料である鉛白は、結晶が大きく、
青味があるので(冷たいホワイト)といわれている。
しかし、混色した場合は、ジンクホワイトに比べて、
温かい感じの色をつくります。
シルバーホワイト➡鉛白
ジンクホワイト➡亜鉛華
チタニウムホワイト➡チタン白
シルバーホワイトは乾燥が早く、丈夫な画面をつくる
シルバーホワイトは鉛白の結晶は大きいため、
展色材として練り合わせるポピーオイルの量が少ないのが特徴です。
主成分の鉛が乾燥剤として作用するので、乾燥が早くなる。
また、下塗りや下描きに用いても、絵具のつきが良く亀裂も入りにくい。
シルバーホワイトは冷暗所で黄変、硫黄性ガスで黒変する
シルバーホワイトのみで最後まで描いた絵を暗い所に置くと、数年後に黄変します。
また、大気中の流黄性ガスにあたると、鉛が科学変化を起こして黒変します。
制作後は、直射日光を避け、空気のきれいな所で乾かし、
6ヶ月以上経過してから、画面の保護用ワニスを塗るようにしましょう。
シルバーホワイトの混色制限の表示を守る
一般的に、このホワイトとカドミウム、ヴァーミリオン、
ウルトラマリンなどの硫黄系絵具との混色は避けるのがよい。
描いたときと違い、数年後に色彩は変色していることが多い。
これを混色制限といい絵具のチューブに表示されています。
シルバーホワイトは有毒である
鉛は、人体に有毒であるので傷口に絵具をつけたり、
口に入れたりすることは避けて制作後は必ず手を洗うようにしましょう。
少量では害はないが、大きな絵に大量に使用することは危険である。
●ジンクホワイト
ジンクホワイトは温かいホワイト
ジンクホワイトの顔料である亜鉛華(酸化亜鉛)は、
黄色味があり温かいホワイトといわれています。
また亜鉛華は透明性があり、美しいパステルトーンをつくるのが特徴です。
ジンクホワイトは混色が自由で、無毒
ジンクホワイトはどんな色と混ぜても変色を起こさず、
その色の持ち味をこわさずに薄められ、毒性もない。
しかし、シルバーホワイトに比べるて、冷たい感じになる。
ジンクホワイトは地塗りや下描きには不向き
ジンクホワイトや、この絵具との混合色を塗った上に、
ほかの絵具を塗ると、亀裂が生じ、剥離します。
原因は、絵具の中の乾性油が顔料と反応して、亜鉛セッケンを生成するためである。
この過程でジンクの混ざった絵具層全体が拡張膨張と収縮を起こし、上に塗った絵具に亀裂を生む。
また、亜鉛セッケンは絵具層の表面からできるため、重ねる絵具のつきを悪くして剥離の原因となる。
ジンクホワは隠ぺい力が弱い
ジンクホワイトは亀裂や剥離を避けるために、上描きのみに使用するのがよい。
しかし、隠ぺい力が弱いので、下の色を完全に消す場合には不向きである。
ジンクホワイトにチタニウムホワイトを少し混ぜると、隠ぺい力のカバーになります。
色彩を守りたい場合は、隠蔽したのちに上描きする方がよい。
●チタニウムホワイト
チタニウムホワイトは白色度、着色度が大きい
チタニウムホワイトの顔料であるチタン白は、
ホワイトの中では、最も小さい粒子です。
白色度が大きいので、薄塗の純白の表現によい。
着色力(混色したときの白の強さ)、隠ぺい力ともに最大です。
現在、この顔料は多くの種類があり、黄~青味まであるので、
メーカーが採用する顔料によって、ホワイトの色味が異なります。
たとえばパーマネントホワイトは、同じ顔料だが白の強さを弱めたもので
使いやすくつくられている。
チタニウムホワイトは混色が自由だが、使いすぎに注意
チタン白は乾性油と反応しないので、金属セッケンをつくらず、
ほかの色を塗り重ねても亀裂や剥離を起こさないのが特徴です。
また、チタニウムホワイトはどの色とも混色できる。
しかし、白色度、着色度ともに大きいので、多量に混色するとほかの色を殺してしまう。
まとめ
ホワイトの使い分けを頭に入れておくと、
自分に必要な絵具と技法も準備できます。
もっと特殊なホワイトを求める人もいると思いますが
最近ではセラミックホワイトやミックスホワイトという、
化学的に処理された新しいホワイトもあるので試してみてくださいね。