絵を完成させるのは画家自身です。

絵画的な仕上がりを目指して、制作を終えたのち、作品はあなたのもとから離れて旅立つかもしれません。

細心の神経を注いでおかないと、後で後悔しても描き直せない。

そのためにも自分の芸術性や、美学を絵に現れるように描く事が大切です。

一目で、あなたの作品だとわかる独自の個性を引き出せる画家を目指しましょう。

 

本描き2 完成へ向けて

今回は、作品の上塗りを行っていきます。

画面は、だんだん丈夫なマチエールになり、造形と空間が生まれて、絵としての見栄えが良くなってきました。

これから細部の描き込みを行っていこうと思います。

細かい部分を見ていくとどうしても、全体の造形が崩れていきます。

なので何回も造形を立て直すことになるので、同じような作業になります。

実際、自分で制作するとわかってきますが、見れば見るほど色彩は移り変わり色の幅が見え隠れします。

自分の理想の絵に近づくには、どのような色彩が必用なのかを、よく考えて描いて行ってください。

 

制作のポイント 「虚空間の絵として仕上げる」

ここからは最後の段階に入ります。

最終的な仕上がりをイメージして上塗りをして行くわけですが、絵としての仕上げを意識しなければなりません。

見たままでは、絵として十分ではないので絵画的に作っていくのです。

今回、この作品ではバックのグリーンの布は僕の想像だけで描いています。

実際は、白い壁ですが、この授業の目的としてわざとそのようにしました。

仕上げ前にバックを少し変えますが、この見本のように油絵制作では、方向転換が必要なときもあるということを、知ってもらいたいからです。

絵は、(たとえ写実であっても)見たままでは成り立ちません。

一般の鑑賞者は見たままだと思っていますが、実は絵画というものは、画家が作る世界だということを忘れないでください。

そこのところを踏まえて、今回の授業の動画を見てほしいと思います。

 

着彩・NO85

光の流れに合わせて明るい色を入れていきます。

なるべく色彩が前面に出ないように意識しながら描いてください。

 

着彩・NO86

バーントシェンナーとバーントアンバー、アイボリーブラックを使いうっすらグレーズします。

柔らかい筆を使ってください。

ラピットメディウムを使うのですぐに乾きます。

筆の伸びが悪い場合は、オイルを少し混ぜてください。

 

着彩・NO87

もう一度消えた細部を描きます。

ここでハイライトに、チタニウムホワイトを使います。

イエローとチタニウムを混ぜてハイライトを表現しました。

 

着彩・NO88

最後のまとめに入ります。

マースオレンジ、バーントシェンナー、プライムイエローを使いました。

 

着彩・NO89

下地の影色をうまく利用して描きます。

失敗してもふき取って、やり直しても大丈夫です。

色調を調節しましょう。

 

着彩・NO90

右のカボチャにも、チタニウムホワイトと、ローシェンナーでハイライトを入れてください。

同じく、左のカボチャにもハイライトを入れます。

 

着彩・NO91

ハイライトを入れると同時に、影色も着彩しました。

より、凹凸を鮮明にするためです。

いちばん細い筆で細部の影を強調させてリアリティを出していきます。

 

着彩・NO92

ここでは、美しい光を逃さないようによく見て描いてください。

カボチャの最終チェックです。

全体の魅力があるのか、造形的に重量感や存在感が出ているか、動きはあるかなどです。

これ以上は、今回は描き込みません。

今回の目的は達成されましたので、段階的に次回の授業に行っていきます。

 

着彩・NO93

少々暗いので明るい色を入れていきました。

バックの処理については、いろんな方法があります。

今回僕は、想像で描いているので、自由に描き込んでいます。

絵の全体に合わせて雰囲気を調整しています。

 

着彩・NO94

イエローオーカーとシルバーホワイト、パーマネントグリーンで描き込んでいます。

ここでは、絵にする方法を模索していると言ってもいいでしょう。

 

着彩・NO95

光の反射を想像して、明るい色を入れていきました。

ロマン主義の画家たちが使った方法ですね。

ドラクロワの手法の一つです。

 

着彩・NO96

バックを描き込んだので、前面の布に力をいれていきます。

前後の相対関係を意識してすすめることで、画面の狂いを無くします。

 

着彩・NO97

マルスバイオレットにカドミウムレット、シルバーホワイトを使い中間の色彩をのせてボリューム感を表現していきます。

今回見直しながら、少しずつ絵の具をのせています。

この方法は、まだ油絵の具に慣れていない人には一番いい方法です。

いきなり、絵の具をのせる方法では、形がくるっていた場合修正すると画面のマチエールが汚くなるからです。

他の方法は、経験をつめばいくらでも可能なので焦らないでください。

 

着彩・NO98

タッチを入れて自分の個性を表現していきます。

綺麗に描きすぎると、絵がおとなしくなってしまうので、今回はタッチを残す方法にしました。

 

着彩・NO99

おもいきって光の幅を広くすることにしました。

生徒さんは、このようなことをする必要はありませんが、今回は勉強として参考にして下さい。

油絵の具は何度でも絵の具をのせることが可能です。

制作というのは、このように作家の考えやひらめきで、方向転換をする時が多いのです。

それが現実的な、画家の制作の一部分でもあります。

 

着彩・NO100

手前の布の最終調整をします。

ここでも自分の感性が重要で、絵としてのまとまりや、静物としての役割を考えて仕上げます。

 

着彩・NO101

バックの雰囲気をおもいきって変えます。

もう少しおとなしくしたいと思ったからです。

手前の布を生かすためでもありました。

 

着彩・NO102

画面の半分にもう少し光が入るようにします。

今回、テーブルの奥行きが広かったので、いくらでも調節は可能でした。

意識しなければならない部分は、カボチャとの空間です。

 

 

着彩・NO103

中心に布の折り目をきつく入れてみました。

平らな画面を避けるためのものです。

 

着彩・NO104

ここでハイライトを入れました。

シルバーホワイトの代わりに、チタニウムホワイトを使います。

僕は、チタニウムホワイトをいちばん明るい部分にしか使いません。

チタニウムホワイトは古代の名画にはない色です。

全体に使うときつ過ぎるからです。

 

着彩・NO105

思い切って影の部分に明るい色をおきました。

バックがかわることで、絵の内容も少し変わります。

片目で見て、光の流れを読み取りましょう。

 

着彩・NO106

ハイライトを入れ、柔らかさを出します。

筆は、ナイロンのものを使いました。

 

着彩・NO107

さらに伸びのいい筆でタッチを使い表現して仕上げます。

この辺りは、感情を入れるという感じです。

最終段階なので、好みの仕上げを目指してください。

少しの色彩も逃さないようにすることで、絵は柔らかくのびやかになります。

 

着彩・NO108

画面のひきしめるため、テーブルの影を描き足しました。

今回は、ヴェネチアンレッド、ヴァン・ダイクブラウンを使いました。

 

着彩・NO109

さっきと同じ色彩で、最後の反射の色を少し入れました。

見たままではなく、ちょっとした色を入れることで少しの変化を得ることができます。

完成。

 

終わりに

お疲れ様でした。

わりと長く感じたと思いますが、自分で描いてみると時間を忘れて描き込んでしまうと思います。

今回は、動画用にすごく速描きで描いたので、実際はもっと時間がかかるでしょう。

見ての通り、制作はすんなりと行く場合とそうでない場合があります。

いつも順調に仕事がはかどるというものでもありません。

まだ初心者なので、ゆっくり時間をかけて、描いていくといいと思います。

理想は2週間くらいです。

もう少し大きなサイズだと、1か月はかかるかもしれませんが。

何回もいろんな静物に挑戦して、じっくり研究しながら油絵を理解していきましょう。

次回は、少しレベルを上げて、作品としての制作方法を紹介します。

自分のイマジネーションと静物を使って制作する勉強法です。