人物画を描く (P10) NO.4

人物画を描く場合人間の骨格や、筋肉、皮膚、細部の造形や質感などを研究する必要があります。

ルネサンス時代には、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロが解剖を自ら行い、人間の本質的な構造を理解するために努力してきました。

現在では、解剖学的な資料は山ほどあり、絵画で使う解剖書なども簡単に手に入ります。

骨格や筋肉の流れ血管などがどのようにつながり、動いているのかをよく観察してみることをおすすめします。

人物画を描く場合は、必ず知っておいて欲しので、是非勉強しておいてください。

 

はじめに

女性としての魅力は何処にあるのでしょうか。

人によってその魅力の表現方法は違います。

今回は、顔の細かい部分や髪の毛の流れ、バックとの関係などを考えながら制作していきます。

前回に続いて、まだ絵の具がのり足らない部分に絵の具をのせていきます。

色彩のバランスや配色にも気を配っていきたいところです。

 

制作のポイント

髪の毛と皮膚とのバランス、肩から腕にかけての陰影など、全体を見ながら部分制作していきます。

各パーツ別に撮影していますが、全体をよく見てつなげることを忘れないようにしてください。

筆の使い分けなども、実験してみるといいかもしれません。

ぼかしなども取り入れて、なめらかな表現にも挑戦してください。

細かい作業と大きく描いて行く作業がありますが、

筆の使い分けや塗り方などに注意しながら作業を進めていきましょう。

 

101・油彩中描き

ホワイトが多めの肌色を、明るい部分に入れていきます。

イエローオーカーとライトレッド、シルバーホワイトで色を作りますが、

あまりホワイトが多すぎると全体と色調が合わなくなるので注意してください。

 

102・油彩中描き

影の少しの反射を入れますいちばん暗い基本色に少し、

ライトレットを多めにしたものを加えてみましょう。

暗い色とのトーンを考えて色を選ぶことが大切です。

おでこから影の流れをよく見てください。

 

103・油彩中描き

ローアンバーとイエローオーカー、シルバーホワイトを

ませた色で、バックに明るい色を置いてみました。

顔の影色が見えやすくするのが目的です。

 

104・油彩中描き

髪の毛の後ろにも明るい色を塗ってみます。

ここから少し空間を意識していきます。

頭上は暗めにしました。

色は、ローアンバーとアイボリーブラックをまぜています。

 

105・油彩中描き

僕は小さい筆を使っていますが、もう少し大きな筆を使ってもかまいません。

ホワイトをうまく使って色彩のトーンを作っていきます。

このようなバックは、いい練習になると思います。

 

106・油彩中描き

髪の毛をローアンバー、バーントアンバー、ローシェンナーで基本色を作り全体に塗っていきます。

明るい部分にはバーントアンバーとマースオレンジを足して塗っていきます。

 

107・油彩中描き

顔に使っていた筆で、明るい部分に光を入れていきます。

ここではイエローオーカーとローシェンナーを多めにして、肌色にまぜました。

ホワイトで調節してもいいかもしれません。

 

108・油彩中描き

髪の毛のトーンを調節してみます。

絵の具がぬれている状態を利用して、明るい色調を入れていきます。

 

109・油彩中描き

髪の毛のハイライト色を塗ってみました。

今の段階では編み込みの形を把握するためにしています。

髪の毛の流れを考えながら明るい色を入れていきましょう。

 

110・油彩中描き

さきほどと同じように、髪の毛の部分に手を入れていきます。

ホワイトは少し、ローシェンナーと、バーントアンバー、

マースオレンジをうまく使い髪の毛の波を表現していきます。

ここではまだ下描きなので、大ざっぱに練習して流れを描いて行きましょう。

 

111・油彩中描き

ここではマングースの筆を使っています。

できるだけ軽いタッチで色をのせていきましょう。

髪の毛はできるだけ流れる感じと、軽い感じを出していきましょう。

 

112・油彩中描き

細部の明暗をはっきりさせます。

ここでは暗い部分に、ピーチブラックとバーントアンバー、ローアンバーをまぜています。

 

113・油彩中描き

慎重によく見て、明るい部分を強調していきます。

ここでは、少し明るすぎる感じがします。

もう少し色を落としてた方がいいでしょう。

 

114・油彩中描き

髪の毛のウェーブを作っていきます。

光の流れを追いかけていくことで、全体の流れをつかむことができます。

三色ほどのトーンを作って塗り分けていくといいでしょう。

 

115・油彩中描き

細い筆で光のあたる部分を描きます。

ローシェンナを中心に明るい色を作りますが、髪の毛のは明暗で流れを出していくので、部分的に色が違います。

髪の毛の色の変化に注目して、色を塗る作業をしていきましょう。

 

116・油彩中描き

今回の人物画のいちばんのポイントは髪の毛です。

長くウェーブした髪の毛が、この絵のいちばんの魅力になります。

いかに描けば美しく見えるのかを考えて描いて行きましょう。

 

117・油彩中描き

パレット上で作れない色は、画面の中で作っていきましょう。

ぬれている状態なので、画面のなかで溶け込ませることができます。

あまりやりすぎると、濁ってしまうので注意が必用です。

 

118・油彩中描き

同じ調子で、下の方まで描きく。

大きな流れを作ることを考えながら描き込みます。

あまり細部にこだわると、全体がまとまらないので注意しましょう。

 

119・油彩中描き

一番大切な部分は、首から肩にかけての部分です。

そこが絵の中心の見せ場の1つ。

 

120・油彩中描き

この段階では、まだ下描きなので間違っても大丈夫です。

絵の具がのっていない状態なら、何回でも描き直しが可能です。

下の部分は少し濃いめにしておきます。

 

121・油彩中描き

細部の輪郭をはっきりさせています。

塗りこむことで消えていきますから、輪郭は今の段階では消えないようにしてください。

 

122・油彩中描き

ハイライトが明るすぎたので、色を少し落とします。

ビニールの筆で輪郭を起こして、髪の毛の陰影をつけ直している。

 

123・油彩中描き

髪の毛を描き直していきます。

ここで大切なのは、おでこの部分から髪の毛の付け根までの部分です。

髪の毛の生えぎわのことを考えながら、その細部を描く事です。

柔らかい筆でぼかすことなどをして表現する。

 

124・油彩中描き

同じよな工程作業をしていきます。

この部分がいちばんややこしい部分です。

 

125・油彩中描き

頭部の描き方で立体の出方が違ってきます。

二つの方法があるのですが、実験しているところ。

 

126・油彩中描き

細部の光の調整をしています。

もう少しホワイトの量を減らしてもいいと思います。

 

127・油彩中描き

細かい髪の毛の影を描いて行きます。

耳の周りはいちばん影の多い場所ですから、ここをへこますつもりで立体を作っていきましょう。

そしてあみこまれた髪の毛は、立体的になるようにトーンを作ってください。

 

128・油彩中描き

ここでハイライトを調整して細部を表現します。

暗い色と、明るい色を交互に使い、髪の毛を表現していきます。

髪の毛が全体につながるよう意識しましょう。

 

129・油彩中描き

 

大ざっぱに色を置いていきました。

使う色は、マルスバイオレットと、ウルトラマリン、シルバーホワイト、アイボリーブラックです。

 

130・油彩中描き

肩から腕にかけてがいちばん手前に来るようにしていきます。

肩がポイントになるのでハイライトをつけてください。

描くときは、線と面と、色彩を同時に描いて行きましょう。

 

131・油彩中描き

肩から首の部分までの距離をつけましょう。

少しの遠近感ですが、難しい部分です。

 

132・油彩中描き

大きくとらえて、絵の具ものせています。

胸の部分はほぼ影なので塗りつぶしていますが、かすかな立体感は出しておきましょう。

面を考えて描くと、肩の立体感を出すことにつながります。

 

133・油彩中描き

肩にホワイトを多めにした色を置き腕のひだにつなげていきます。

全体を描き終わると柔らかい筆で、ならしてぼかしてみます。

これでひとまず、雰囲気は出ました。

服やバックを描くときは絵具を多めに使い、絵の具になれる練習をしましょう。

 

 

134・油彩中描き

バーントアンバー、バーントシェンナ、

アイボリーブラックで、バックの雰囲気を変えてみます。

ビニールの筆で軽く塗っています。

まだまだ構想段階です。

 

135・油彩中描き

この絵はバックの空間が広いので、バックの色彩で、絵の雰囲気がだいぶ変わります。

いかに空間を作るかが難しいところです。

 

136・油彩中描き

人物画のバックはなるべくシンプルな方がいいと思います。

いろんな方法がありますが、今回の目的は人物を

中心としていますので簡単にまとめたいと考えています。

 

137・油彩中描き

耳は髪の毛によって影の中に入り込んでいます。

首にかけて影があり、かすかな光を感じることができる。

肌と髪の毛との関係性をよく理解する必要があります。

 

138・油彩中描き

髪の毛の影色にヴァンダイクブラウンと、バーントアンバー、ローシェンナーをまぜて塗り込んでいます。

まわりとの色彩バランスやトーンの流れを意識しながら影色を塗りこむ。

 

139・油彩中描き

影色を下の方まで伸ばしていきます。

髪の毛のボリューム感を出すのは影色からのトーンです。

 

140・油彩中描き

試しに明るい色彩で雰囲気を下描きしてみます。

一気に描く方法もありますが、今回は下描きしました。

ホワイトを少し入れています。

 

まとめ

今回は絵の形がはっきりさせて、全体の雰囲気を出していくことに力を注いだと思います。

顔から髪の毛にかけての流れを作る作業と、全体の絵の具の塗りこみをしてバランスをとっていきました。

まだ中間地点の作業であり、絵としての魅力をいかにして表現するかが課題です。

筆使い方や絵具の色をよく見て、明暗の変化をどう描くのか実践してみてください。

お疲れ様でした。