オランダとイギリスによる気候を描いた絵画は雲が中心になっています。

今回はイギリスの風景を選んだ理由はそこにある。

ただ単に雲がないグラデーションだけの空は、誰でも描けます。

雲を用いたのは、もう一段階レベルを上げることで、空間を自由に操れるようになれるからです。

そして、天候によって風景は様々な様子を見ることができます。

雲が多いオランダとイギリスは、雨がよく降る国でもある。

気候が、変動が大きく光と闇の色彩を帯びています。

雲を描き分けることで、遠近法を作ることと、色彩で前後の変化を出すこともできます。

雲の動きは画面に流れを作り、鑑賞者の目を楽しませることにもつながる。

絵画的に見ても、魅力を増すことは言うまでもありません。

 

中景を描き込む

今回の授業では、画面中心の木と建築物に集中します。

中景にも前後関係があり、奥から描いていきます。

ここで大切なのは、空との関係です。

空の遠近や色彩に合わせて描くことです。

写真を使うことで平面的、または、薄っぺらい絵になりがちですが、

それを避けるように奥の木も何度も絵具を重ねて描く。

ベテランになれば、厚みある絵具で描きますが、筆遣いと手テクニックが必要なので、

今回も塗り重ねの方法で描きます。

絵具の厚みは、建造物に集中させる。

 

制作のポイント

風景画は、空間が広く、前後左右を分けて描く必要があります。

複雑な空間を描いて行くには、それなりに描く部分を分けて考えるようにする必要があります。

 

9分割のマス目に分けて考える

頭の中で、確実に風景を把握しておくには、まず9つのブロックに分けて考える。

上段、中断、下段に分けて、それをまた三分割にして見ていきましょう。

また、縦で考えて、右、真ん中、左と掛け軸のように見ることもできます。

そうすることで、縦と横を正確に把握して、どの部分を見ても絵になっているかを確認できる。

各ブロックを描き分けて、遠くから全体を見て制作の流れをつかみましょう。

 

 

211・油彩中描き

細部描写をしていきます。

暗い部分を先に描き込んでおきましょう。

細い筆で形を整える。

 

212・油彩中描き

そのまま全体の輪郭をはっきりさせる。

水面は水との境目として石の丈夫さを表す。

細部のデッサンをする感じで描いて行きましょう。

 

213・油彩中描き

少しずつ明るい色彩を塗りますが、ランダムに絵具をのせます。

細部を意識しながら細かい光をいれてください。

目安としての、明るさを入れると考えます。

 

214・油彩中描き

細かくデッサンをする感じで描いて行きます。

反射部分にも明るい色を塗ってみましょう。

暗い中での色彩を把握しておくと、リアル感が増します。

 

215・油彩中描き

細かい石の影を線で描きます。

少し明るめの絵具をつけて、様子を見ましょう。

色彩が合うのか合わないのか、自分の感覚で色を決めてください。

 

216・油彩中描き

赤っぽい色を使い、影の部分を塗ります。

ローアンバー、ウルトラマリン、ライトレットをまぜて影に使います。

中間色としての下地に使い、この上から明るいい色を重ねる。

 

217・油彩中描き

徐々に石の塊感を出しいていきます。

細部の目立つ光と影を描いて行きましょう。

見た通りで描くのは無理がありますので、

省略して自分の感覚で描いてください。

石で積み重ねた塔だとわかればいいので。

 

218・油彩中描き

ここから少し細かく描いてください。

目安となる細かい部分の光を、線で塗っていきます。

 

219・油彩中描き

水面に映る塔を描いてみましょう。

同じような色で、ぼかすように色を塗ってください。

建物との境目はきつくしておくこと。

 

220・油彩中描き

塔と隣の建物との空間を作ります。

光と影を捉えて色彩の空間を作ってください。

空間作りは建物だけでなく、水面に映っている部分も利用できます。

 

221・油彩中描き

レンガや石造りをイメージさせるように、細かい部分に筆を入れていきます。

まずは、横線を入れていきます。

細かく見過ぎるのは無理があるので、ある程度だけ見ていきましょう。

 

 

222・油彩中描き

間隔を見て、石を表現していく。

影の部分を先に描きこみ、水面にも同じ色を塗ってください。

水面との区切りを決めて分け、左右との空間を作りながら作業を進める。

 

223・油彩中描き

屋根をライトレットとブラックで影色を塗る。

マースオレンジにホワイトをまぜて、屋根のいちばん明るい部分から描き加えます。

 

224・油彩中描き

細かい屋根の瓦の光を描きます。

レリーフ部分も細い筆を使い、丸みを作ってください。

暗い部分が暗すぎる場合、ホワイトを加えた色をのせてみてください。

 

225・油彩中描き

奥の部分にも厚みをつけるように、絵の具を塗りましょう。

平べったい壁ですが、厚みを感じさせる必要があります。

 

226・油彩中描き

光を少しずつ入れていきましょう。

単純な三角ですが、写真では平板なので、理屈で作ってみてください。

少し右側を明るくしておきましょう。

後ろの大きな屋根も、同じように下地を塗っておきます。

 

227・油彩中描き

レンガ造りの建物のイメージで、ライトレッドとホワイトを中心に描き加えます。

単純な平面ですが、所々に赤みがあり、古さの為、白い漆喰が光っています。

 

228・油彩中描き

茶系でも、レンガの感じを出していきましょう。

割れ目の部分もよく見ながら描きますが、このような部分は歩調して作ってもかまいません。

絵画的に見て、自分の好みでデフォルメすることもできます。

 

229・油彩中描き

細部も細かくよく見ましょう。

遠近を出すためにカットと面をよく見てください。

水面の距離なども影響しますので、それにあわせて描きましょう。

 

230・油彩中描き

水面に映る塔をぼかして描く。

水面は映っているものと、表面の水の光の両方を同時に描きます。

風によって影や光が薄っすら感じ取ることで水面を表します。

 

231・油彩中描き

壁の突き出た部分を下塗りしておきます。

ここでも壁のレンガを表すたっめに、細かい色の配分を行います。

 

232・油彩中描き

ここから細かい作業をしていきます。

暗い色を下に塗っておくと、上から明るい色で石を表現しやすい。

建物は塔よりも奥にあり、遠近的に省略する必要があります。

 

233・油彩中描き

細かい石の光や色点を点描で描きます。

細い筆を使いあらゆる部分を、そのまま描き込みましょう。

できるだけ絵の具を使い、ボリュームをだしてください。

 

234・油彩中描き

いろんな色を使い、建物の古びた壁を表現していきましょう。

レンガ造りですが、全て描かなくても石造りの建物だと感じさせるだけでいい。

細かい描写より、建物の存在感を出すことを目指して描くように。

 

235・油彩中描き

一度描けるところまで、一気に描いてみましょう。

細かい作業ですが、色をよく見ておいていきましょう。

失敗しても気にせず描き続けてください。

色が飛び過ぎた場合、あとで修正できますので。

 

236・油彩中描き

絵具が薄い部分には、特に多めの絵具を塗ってください。

3つの窓の細かい部分の描写をしていきます。

今使っている色をそのまま利用してください。

軽く描いて、遠くから見た感じで描写しましょう。

 

237・油彩中描き

ローアンバーを使い、出窓の部分に着彩します。

明るい部分にはホワイトを多めに使い、立体感を出せるようにすること。

窓の周りの色彩は明るいので、色のトーンを合わせること。

 

238・油彩中描き

石垣の部分にそのまま絵具を塗っていきます。

建物より全面に出ているので、絵の具を多めに使ってください。

影に隠れた部分と、明るい陽射しを浴びている部分を描き分ける。

今まで使った色で行います。

 

239・油彩中描き

水面はあまり絵の具がのっていないので、粗くのせていきましょう。

建物の色を、そのまま大きく塗っていきます。

前景なので、中景から前に出ていることを頭に入れておきましょう。

建物に使った色にホワイトを多く入れて、光の部分を描きます。

 

240・油彩中描き

絵具を重ねて厚みを出していきましょう。

下地を少し残しながら描くと、石の積み重ねた感じになります。

見たままでは厚みのあるマチエールになりにくいので、筆の大きさとタッチで表現してください。

 

241・油彩中描き

奥と手前までの距離感を出すために、水面近くを描き込む。

明暗をはっきりさせて、前景に引き出す。

水面との関係を明確にして、水面との違いをはっきりさせましょう。

 

242・油彩中描き

ホワイトが入った色で、石の光を表し、石積みの段差を描きます。

大きく見て、よく見えると所をポイントにする。

そのまま、水面に映っている光も描く。

レリーフの光もとらえましょう。

 

243・油彩中描き

建物を描く場合、縦の線と、横の線をしっかり見てください。

遠くから離れて、この二つが構図上バランスがとれているのか見直しましょう。

 

244・油彩中描き

石の建物ですが、遠くから見て画面上で柔らかさが少しあるかチェックしておきましょう。

建物があまり硬すぎると、絵に動きを感じさせることができません。

人間の目の錯覚を利用して、風や空気を感じさせるきっかけを作ることも考えておきましょう。

 

245・油彩中描き

カドミウムオレンジを使い、大な屋根を描きましょう。

色がはがれ落ち、先端部分にオレンジが集中しています。

マースオレンジと組み合わせて、色調を整えてください。

 

246・油彩中描き

ホワイトも使い、さらに光を入れていきます。

この屋根は太陽の光を直接受けている。

画面では風景画の、大切なポイントになります。

同じく出窓の屋根にも着彩しておきましょう。

 

247・油彩中描き

屋根の光に合わせて、出窓の色彩も明るく入れていきましょう。

影の中の明るさなども意識してください。

 

248・油彩中描き

塔も明るい光を描き込みます。

この段階では、まだ目安としてとらえる。

大きな屋根を明るくしたことで、遠距離が出ました。

それを意識してさらに、塔を手前に引き出すことも考えましょう。

 

249・油彩中描き

テールベルト、パーマネントグリーンとカドミウムイエローなどを使い、

草木の明るく光る部分を塗っていきます。

色彩は自由に感覚で選んでください。

あとからまだ調節していきます。

色は深みを出すことを考えて塗っていきましょう。

 

250・油彩中描き

石垣の上の緑をホワイトを使って描く。

全面に出すためには後ろの緑より、色調が明るくする必要があります。

陰影を上手く描き込み、光をとらえましょう。

 

251・油彩中描き

暗い影の部分に、テールベルトやイエローなどを使い上から色彩を入れてみましょう。

色がとばないように、影色もまぜることもしてみてください。

ここからは、自分の感覚で描けるように、いろんな実験をしてみること。

遠近感も出さないといけないので、よく色調を見ていきましょう。

 

252・油彩中描き

面に出る部分ですから、絵の具を多めに塗りましょう。

建物より手前に出す工夫などをしてみてください。

奥の木をもう一段階色を落とします。

テールベルトと、ピーチブラックなどを使って、軽く色を塗っていく。

前後の遠近を見ることを忘れないようにして、作業を進めていきましょう。

 

253・油彩中描き

細い筆で遠くの木を描く。

自分の好みで描いてみましょう。

奥行きを出すようにして、手前との関係を持たせる。

そのまま周りの緑の影色を塗りこむ。

 

254・油彩中描き

木の枝を増やしていきます。

細い筆で、木の葉のイメージを作っていきましょう。

絵画的に面白い雰囲気を出していく。

 

255・油彩中描き

ビリジャンとアイボリーブラックを使って、いちばん奥を暗くしておきます。

水面との境界をグリーンで表す。

建物がある前景に明るい色を置き、奥になるにつれ、少しトーンを落とします。

 

256・油彩中描き

点描で、細かい木の色を入れていきます。

イエローオーカーなどを使い、少し黄色っぽい色を入れる。

右側は光を浴びているので、少し葉の色彩を変えるようにしてみましょう。

 

257・油彩中描き

さらにホワイトを使い、明るい色をのせていく。

陰影を意識しながら、木の前後の色彩を決めて色を塗ります。

 

258・油彩中描き

少し暗めの色を間に入れていきます。

影を入れることで、木の立体感を出すことになっていく。

ランダムに丸を作る感じで描き込む。

 

259・油彩中描き

また、カドミウムイエローをまぜた色を塗っていきます。

どんどん明るい色彩をちりばめます。

木の下の暗闇に草を描き込み、遠近を出しましょう。

 

260・油彩中描き

右端の木に明るい色を入れていく。

右側は影が大きくかかっているため、あまり見えない。

でも、木の塊になっているため、いろんな緑をぬっていきます。

もちろん立体を意識してください。

 

261・油彩中描き

イエローオーカーやカドミウムイエローとホワイト、グリーンなどを使って柳系の木を描きます。

明るい部分にホワイトを入れて、グリーン系となじませます。

髪の毛を描くように、ぬれている上から、明るい色を塗っていきましょう。

 

262・油彩中描き

イエロー系の色を、どんどん入れていきましょう。

アンバーなどを少し加えたグリーンで深みを出す。

 

263・油彩中描き

また細かいタッチで描き加えます。

下地となじませて、立体感を出していく。

ホワイトを多く使い、ハイライトを加えます。

 

264・油彩中描き

さらに描き加えますが、ここで茶系のグリーンで中間色を加える。

水面に緑が映るので、グリーンを入れておく。

 

265・油彩中描き

テールベルトとブラックで水面の影を一気に塗ります。

豚毛で大きく描く感じで塗る。

三色ほどの色を塗り、木の映っている色を

大きく塗ってしまいましょう。

 

266・油彩中描き

前景の建物に生えているグリーンを塗る。

手前にあるため、明るい色を使いましょう。

奥にある木の色と同じ色にならないように工夫します。

 

267・油彩中描き

イエローを入れたグリーンで明るくします。

いちばん手前なので、色彩は明確にしておきます。

遠近を考えて、色彩バランスをとりましょう。

 

268・油彩中描き

少し暗めの色彩を塗り、奥の木にボリュームを与えます。

手前との色彩のバランスを見て、トーンを作っていきましょう。

 

269・油彩中描き

絵具を入れて伸ばし、水面に映る色彩をぼかしましょう。

水面は縦と横の交互に描き、鏡のように描くが、

テーブルのように面でとらえる。

 

270・油彩中描き

木の葉が足りないので足していく。

牛の毛の筆で、毛先を利用して軽くのせますが、

このときラピットメディウムを使います。

細やかな、葉の感じを出すことができる。

 

271・油彩中描き

もう一度全体的に、透明感のある深い緑を入れていきます。

透明感があるので、下の色を透かすことにもなる。

木の細部は単調ではないので、細かいことをすると厚みが出て、奥行きも出すことにつながります。

 

272・油彩中描き

中間地点にあるこの木は、存在感を必要とします。

この木と建物、そして奥に見える木とのバランスを、この木でとる必要がある。

水面は厚みを出し、中景の重みを支える役割と考えましょう。

 

273・油彩中描き

左側のの木にも同じように、深い色をのせていきましょう。

軽く点描のように絵の具をつける。

手前も色をつなげていきます。

 

274・油彩中描き

塔の光の反射を入れます。

陰の中の色を描くと考えましょう。

影色を入れ、レリーフを浮き上がらせ、濃すぎる影をやわらげてみる。

 

275・油彩中描き

水面に映る影も描いて行きます。

暗い窓など、下のほうから描きます。

鏡のように描けばいいのですが、少し短縮して描いてください。

ここでも、縦と横の線を意識して絵の具を塗ります。

 

276・油彩中描き

水面を少し揺れているように描くと風を感じさせることや、動きを感じさせることができます。

ここら辺は作っていいので、どんどん自分の考えも入れていってください。

できるだけ、写真通りにならないようにしましょう。

その方が絵画的に面白いものになりますから。

 

277・油彩中描き

水面は建物との距離を出す必要があります。

前景として水面から建物までの遠近感を意識してください。

 

278・油彩中描き

画面では、適当に建物の色を伸ばしていますが、自分の見える通りに描いてください。

右手の建物の光をとらえて、白っぽい色を塗っていきます。

 

279・油彩中描き

中心の塔ですがまだ、造形ができていません。

光をとらえながら石の色を、まずは明るい色で表します。

豚毛で、感覚をとりながら、石の質感を色で表現していきましょう。

 

 

280・油彩中描き

細かい光を描いて、最初は、まばらに色をおきます。

ブラックとアンバー、ブルー、ライトレッドで色を作り、ホワイトで調節してください。

いろんなトーンの色を作っておきましょう。

 

まとめ

今回は、細かく長い動画でしたが、実際全体をマス目で9分割で分けて考えてください。

各パーツがあり、それをつなげるという作業です。

そして、今回、空の空間と、水面の遠近を描きました。

これにより、遠景、中景、前景とはっきりした、空間がつながってきましたね。

自然に遠近が出来て、画面が前に前に押し出されるという感じです。

次回は、メインの塔の描き込みを中心に、画面の描き込みに入ります。

お疲れさまでした。