五週目の今回最終仕上げになります。

動画を見ると長く感じますが、描くとそれほどでもありません。

長くても、2週間で仕上げられます。

バックの処理を最初の段階で決まっていれば、もっと早く描けるでしょう。

ここまでの流れを理解できている人は、バックから描いたり、同時に描いて行く制作方法に切り替えてもらってもかまいません。

問題は、画面をうまくコントロールすることと、自分の気持ちが「これでいい」という納得感があるかというところです。

 

仕上げ

仕上げの最後の「まとめ」が重要です。

絵をまとめるのは、本当に難しいと思います。

単純にまとめることができる絵と、そうではない絵があるので、自分の感性が合う絵を選ばなければならないでしょう。

今回の制作の目的は、短時間で「レベルの高い絵を描く事」なので、初心者でも練習すれば習得できる早道を学んでいると思ってください。

もちろん、何回も描いて経験をつまなくてはいけませんが。

方法論を知っているので、他の人の何十倍も早く習得できるはずです。

絵は、初めと終わりがいちばん大切です。

自分で終わりを決めなければ、一人前の画家にはなれないでしょう。

仕上げは、自分の心で確認することです。

「これでいい」、「仕上がった」と感じたら終わっていいでしょう。

それが今の自分の実力と自覚してください。

※作品は、何か月後にアイデアが出た場合描き足してもかまいません。

描き足して、さらなる展開が生まれることもある。

 

制作のポイント

制作のポイントは、前回の静物画と同じく最終チェックです。

バックの仕上げと、静物の全体の見栄えをよくするために、絵としての静物を仕上げます。

見ないで絵として必要なところを作るのが、最終仕上げに必要です。

ほんの少しのことですが、絵としての魅力を引き出せるようにしましょう。

 

95・仕上げ

もう一度、強調したい部分に手を入れる。

僕は、指で絵の具を刷り込ませています。

微妙な色を残すためです。

 

96・仕上げ

影にもヴェネチアンレット、ウルトラマリンを使った中間色を入れています。

この絵は、2つの静物しかないので、影が1つの魅力を作るポイントだといえます。

 

97・仕上げ

デザインを少し変えてみます。

白が多いのが気になってきました。

 

98・仕上げ

ここで少々、チタニウムホワイトとウルトラマリンを使い角に乗ってみました。

グラデーションを目指して描き込んでいますが、筆をたたく感じで塗りこんでいくとうまくいきます。

 

99・仕上げ

この画面では、小さい筆を使っていますが、好みで大きめの筆を使っていただいても結構です。

土壁のイメージなので、細かい点描の後のマチエールを残すためと、色彩の幅を持たすのが目的だからです。

もう少し大きめの筆でしたら、楽かもしれませんね。

 

100・仕上げ

見ないで頭で考えて描くのは、なかなか最初は大変かもしれませんが、

この経験を重ねるごとに新しい自分だけの方法を生み出すきっかけになるので、

いろんなバージョンの絵を描いて行きましょう。

 

101・仕上げ

貝殻に必要な光を描き込んでいます。

画面全体が明るくなったこともあり、少し加筆をしました。

 

102・仕上げ

チタニウムホワイトにネープルズイエローを少し加えて、ハイライトを入れていきます。

強くて細かい光なので慎重に入れます。

 

103・仕上げ

絵として物足りない部分に加筆を行います。

作業的には、前回と同じなので、飛ばしていただいても結構です。

 

104・仕上げ

全体的に光を意識した、明るい色彩にしてみましたが、少し気に入らない。

少し白くし過ぎた感じがします。

 

105・仕上げ

もう一度、壊してやり直すことにしました。

大変なように見えますが、それほどではありません。

納得がいくまでやり直すことができます。

 

106・仕上げ

静物のハイライトを入れて、これでいいかチェックしています。

細部の細かい光と、バックの調整も何度も整えましょう。

 

107・仕上げ

消えてしまっていた部分を描き込み、鉄の厚みを強調して、質感を確実にします。

気になる部分に手をいれました。

 

108・仕上げ

ヴェネチアンレットを使い、赤いレンガ色に戻しました。

またイメージを作りなおします。

 

109・仕上げ

壁か石の皿のような雰囲気を目指します。

最初のイメージに戻しました。

 

110・仕上り

イメージが浮かび、漆喰がとけて流れるというイメージにします。

絵のイメージに合う気がしたので、描いてみました。

 

111・仕上げ

幻想的な雰囲気になって来たので、画面を調整していきます。

過去に自分がした仕事の技術や経験が役に立っています。

自分の経験は、どこで使えるかわかりませんね。

 

112・仕上げ

バックが決まったところで、くすんだ部分を描き足ししました。

そうしても、バックを描くと輪郭がぼけてしまうのと、今回はルツーセを使っていないので、

ツヤが薄いことで気になってしまいます。

 

113・仕上げ

くすんだ影を描き起こします。

うっすら色が欲しいくらいなので、軽く色をのせるだけです。

 

114・仕上げ

なんとなくベリー色に近い青が欲しくなり、軽く入れてみました。

軽く透明色に近い色です。

 

115・仕上げ

ここでも軽く透明色をうっすら入れていきます。

透明色の方がこの絵の仕上げには合っていました。

ラピットメディウムを薄めて使うと仕事が速いですね。

 

116・仕上げ

ラストもベリー色にホワイトを少し足したものを全体に薄く塗って雰囲気を調節しました。

後は影との境目をぼかすことで全体のバランスが整いました。

これで完成です。

 

制作を終えて

長い時間お疲れさまでした。

最後は、自分のイメージに合った画面になり、上手くまとまりました。

この絵は、わりと短時間で仕上げましたが、途中の段階で修正をくり返すことが多かった方です。

見てもらうと勉強になると思い、修正部分も見てもらいましたが、絵作りというものは、このようにいつもすんなりいくものではありません。

このことを、肝に銘じて制作に励んでください!

次回からは、人物画の授業になります。