キャンバスは16世紀に船の帆として使われていましたが、
丈夫に出来ていて丸くたためることで便利性があり、
絵の支特体は板からキャンバスに移行していきました。
ルネッサンス末期からキャンバスの普及によって、
油絵の可能性がさらに広がっていきます。
壁画として描かれていたフレスコ画は、当時イタリアでは人気がありましたが、
北方ヨーロッパでは湿気があることで、気候に合いませんでした。
湿気があると、制作途中にカビが出るのが原因だったのです。
ですがキャンバスの出現により、フレスコ画のような大作も描けるようになり、
油彩画の大型化が進みます。
17世紀には、キャンバスは一般的に使われるようになり、油絵の定番画布となり今日に至っています。
布のデコボコした凹凸は、絵の具を食いつける役割をし、耐久性もよく考えられています。
板絵のようにフラットな画面を目指す場合は、何層もの下地を塗り重ねて作ります。
制作方法は、画家によって違うのでお好みの方法を模索していきましょう。
制作経過について
前回は形をとり、大まかな色分けをしていきました。
今回も引き続き、形の造形を意識して、制作していきます。
ここまで描いて、オイルスケッチとの違いを実感されたと思います。
ですが、オイルスケッチで一度描いて色の使い方やパターンをある程度認識していると考えられるので、以前の経験を生かして制作していきましょう。
油彩の中描き
中描きはある程度の絵の具のモデリングが目的になります。
実際の色より少し、固有色に近い色で色わけしていく作業になります。
タッチは大まかでも大丈夫です。
なるべく絵具をのせる感じで描いてください。
映像では、私は速く筆を動かしていますが(動画の撮影のため)、
ゆっくり慎重に制作してください。
自分のペースでじっくり描いてくいきましょう。
制作のポイント
基本的な事が大切なので、まずは3つのことを守って制作していきましょう。
・明、中、暗の三段階の光をとらえながら描く。
・面を意識しながら色彩を置いて行く。
・空間の距離や遠近法を意識して描く。
この3つの決まりを意識しながらモデリングしていってください。
パレットの遣い方
パレットは小さい作品の場合、
私は適当に遣っていますが、
正しい使い方としては真ん中に空間を作り、
外側に絵の具を並べるのが本当の使い方です。
真ん中に海で絵の具を調合するという感じです。
今はまだ適当に使っていいのですが、作品が大きくなるにつれ正しく使う方が効率がいいと思います。
着彩・NO11
細部は細い筆を使っていきます。
まだ大きく見て面を意識しましょう。
バーントアンバーとマースオレンジで影色を作って
明るい部分はプライムイエローを使っています。
単色ではなく色を作ります。
ここではまだ豚毛でどんどん絵具をのせていきます。
着彩・NO12
細い筆で、明るい光をとらえて、絵の具をのせましょう。
インターロンのビニールの筆を使いました。
トーンを並べていくように色を塗っていきましょう。
ここでは、丸みも意識しています。
着彩・NO13
デコボコしているので、細かい影を描き込み凹凸を意識していきます。
はじめにの塗った影色をうまく利用します。
先端が複雑な形をしているので面を描き直しました。
着彩・NO14
カボチャの下の影を入れていきます。
テーブルを描きこんで、量感と遠近感を出していきます。
ここでもランダムに絵具を塗っていきましょう。
着彩・NO15
テーブルの光を入れていきます。
シルバーホワイトとウルトラマリン、バーントアンバー、アイボリーブラック、ローアンバーを使いこなします。
光の反射を入れることで、空間が生まれ物の存在感を引き出すことができました。
着彩・NO16
右のカボチャの影色をのせてより厚みを出します。
この作業で、絵が少しずつ存在感と造形観を明確にしていきます。
面を意識してボリュウームを出すようにしましょう。
着彩・NO17
明るい部分に絵の具をのせます。
ロージェンナーとシルバーホワイトとパーマネントイエローを使います。
さらに影色と混ぜて中間色を使います。
着彩・NO18
ハイライトを入れて明確にしてみます。
プライムイエローにカドミウムイエローアゾとシルバーホワイトを使います。
画面上で部分的に少し色を混ぜてみましょう。
着彩・NO19
もう一度テーブルの反射光を入れて色の幅を作ります。
色を重ねることで、深みのある色が生まれます。
いずれ消えると思う部分の多少の濁りは無視しても大丈夫です。
着彩・NO20
布のハイライトの明るい部分に色を入れていきます。
布は柔らかい質感なので、柔らかい筆で描きます。
馬やテンの毛の筆で描きました。
布とカボチャの影の濃さの対比をよく見て描いていきましょう。
着彩・NO21
少し明るい色を使い、全面を描き奥と手前をはっきりさせていきましょう。
まだまだ上に絵の具をのせていくので、間違っても気にしないで描いてください。
油絵は、いくらでもやり直すことができます。
着彩・NO22
ここでバックにパーマネントグリーン、シルバーホワイトを使って大まかな着彩を行います。
まずは明るい部分から塗っていきます。
次に、パーマネントグリーンにアイボリーブラックをまぜて影の色を作ります。
着彩・NO23
同じように大きく塗っていきましょう。
グリーンは乾きにくいので、ラピットメディウムを使うと速く乾きます。
着彩・NO24
右のカボチャの先端部分の着彩を行います。
明暗をはっきりさせて細部を見て描いて行きます。
着彩・NO25
さらに細かいタッチを重ねて光の範囲を意識して、流れを描き込んでいきます。
影の部分も同様に描き足します。
着彩・NO26
この作業を何回も重ねることで、色の幅が増してリアル感が出てきます。
よく観察しながら描いてください。
制作過程まとめ
中描き一段階目ここで終了です。
お疲れ様でした。
ここまではまだ全体の色合いを把握する段階です。
大きく捉えるように描くのがポイントです。
大きく全体を意識して固有色で描き、その後の本描きをするための下描きと考えてください。
まだまだ中描きは続きます。