イギリスの風景といえば、ターナーやカンスタブルなどが有名です。
特にカンスタブルの風景画は現代の風景画より、大胆で力強い作品を残しています。
彼の作品は大作が多く、日本では考えられない大きな風景を描いています。
そのため、タッチは大胆で、絵の具は厚塗りされています。
彼はナイフを使い、厚みのある木の表現をしています。
色彩に関しても、現実に自分の目で見た印象をもとに描いているため、
鋭い原色やホワイト、イギリスのオレンジ色の土色など、その土地の特徴をよく表しています。
我々は、昔の画家たちと違い、田舎の広大な風景を描ける環境ではありません。
授業では、実際にその場で描いていないため、写真的な印象を受けています。
写真だけで絵を描くと少し表現力が乏しくなりますが、
基本を覚えて実際に自分の脚で現場スケッチをして、
制作に取り掛かれるように腕を磨いてください。
制作のポイント
今回も空に合わせて、奥から木を描いて行きます。
奥から描くのは変わりませんが、建物を中心に周りから描き込んで行きます。
建物を含めたすべての部分のモデリング作業をして、奥から手前に押し出すように遠近を測ってください。
奥にある木を細かい色彩を施していき、手前は大きく捉えることに専念します。
空の後景に合わせて、中景も遠近をつけていきましょう。
必要な色
今回必要な色彩はある程度、今まで使ってきたものが多いのですが、緑が多く使われます。
そして、そらそらにはチタニウムホワイトを使います。
★今回必要な色
・シルバーホワイト
・チタニウムホワイト
・ウルトラマリン
・コバルトブルー
・ローシェンナ
・ローアンバー
・バーントアンバー
・アイボリーブラック
・ピーチブラック
・ライトレット
・テールベルト
・パーマネントグリーンライト
・サップグリーン
・ビリジャン
・イエローオーカー
・カドミウムイエローアゾ
・レモンイエロー
・マースオレンジ
少し多いですが、グリーンはテールベルトとパーマネントグリーンライトがあれば、混色していろんな色を作ることができます。
151・油彩中描き
アンバーにブラックを入れ窓を塗ります。
家の壁に色をのせていき、暗い色と明るい色に分けていきましょう。
レンガを感じさせるよう、細かい横長のタッチにする。
152・油彩中描き
建物のまわりを、黒い緑を使い影を描いておきましょう。
境界線としてしっかり線で区切っておきます。
出窓の輪郭も強調しておき、水面との境目も暗い色を入れておいてください。
これである程度、建物を画面上で浮き上がらせる準備ができました。
153・油彩中描き
右の窓も暗いので同じようにします。
塔の細かいレリーフの影も強調しておきましょう。
見える範囲で、影を捉えていきます。
154・油彩中描き
アンバー系を使い影色を塗っておきます。
細かい光の入り具合を見て、ホワイト系の色を置いておき、
凹凸を見分けられるようにしておきましょう。
155・油彩中描き
少しホワイトを入れて暗さにボディーを加えます。
塔の大きな影をとらえておきましょう。
全体の7割が光と考えておいてください。
156・油彩中描き
凹凸を出すには、丁寧に影を描くことから始めます。
影を正確に描くと、自然に立体を把握しやすくなるからです。
影を手掛かりに、明るい部分を描き起こすという考え方を取り入れました。
157・油彩中描き
いちばん明るい部分に、手を加えていきます。
筒を描くようにハイライト部分を決めておきましょう。
そして、さらに影の部分に着彩していきます。
158・油彩中描き
隣の建物との遠近を意識していきましょう。
塔を手前に引き出すことを考えてください。
平たい豚毛を使い横にして、絵の具をのせてい行きます。
159・油彩中描き
色調を合わせていき、軽く明るめの色をまばらに置いて行きます。
自然に石の感じを出していくようにして、この段階では細かい部分を見ないように。
光の流れも計算しておきましょう。
160・油彩中描き
右の建物は平板なので、直接光を全面に浴びる。
全面にライトレッドとホワイトを使いトーンを作ります。
割れている部分にはアンバーを混ぜて塗っておく。
161・油彩中描き
暗い影をブラックとアンバーなどを使い、はっきりと描き分けていきます。
できるだけ大きくとらえるようにしましょう。
奥に伸びる建物なので色彩のトーンで遠近を出します。
162・油彩中描き
塔の手っぺんを描きます。
ブルーとアンバーブラックをまぜて、影を描きホワイトを、混ぜて、形を描き起こします。
あまり細かく描かず、大きな明暗で捕らえてください。
建物全体の省略に合わせる必要があります。
163・油彩中描き
屋根にアンバーとマースオレンジを加えて、下塗りします。
マースオレンジにライトレットとホワイトを加え明るさを表現します。
164・油彩中描き
壊れた建物の壁を塗る。
少し明るめにして厚みを出して、形をはっきりさせておきます。
窓の空間には、奥にある木が入るので、緑色を入れておきましょう。
165・油彩中描き
屋根にマースオレンジを軽く入れ、窓の部分にも軸を描きます。
パレットにある色を自由に使い、いろんな色と混ぜて使いましょう。
壁にもこの色を使って、色の変化を出しておきましょう。
手前にある緑の光をクロームイエローや、ローシェンナなどで作った色で下塗りしておく。
166・油彩中描き
壁に明るい色も上からおいていきます。
下地を上手く利用しましょう。
レンガの質感と壁の崩れなどで、色彩のまばらな変化が魅力になっている。
ホワイトを使い、光の明るさをとらえていきましょう。
167・油彩中描き
大きく水面に建物の色彩を塗っていきましょう。
実際よりも、濃いめの色で塗ります。
ぼかす感じで、色を塗ってください。
168・油彩中描き
同じように右側の水面にも塗っていきます。
水面は映っているだけでなく、建物のの量感を支えていると考えてみましょう。
169・油彩中描き
緑の濃い影を描いて量感を出します。
建物と水面の建物の境目で、お互いを支え合っているように描きましょう。
170・油彩中描き
思い切って、ホワイトを使い、建物の屋根上を表現していきます。
てっぺんの前後の空間を考えて描いてください。
いちばん手前に塔があるので、それに合わせて色彩を前後に施しておきましょう。
171・油彩中描き
木の間の空間を表現していきます。
バックの空の色を使い、木の葉の部分に入れてみましょう。
木に穴をあける感じで、色を置いてみてください。
空の部分に色調を合わせるように、細かく見ながら描くこと。
172・油彩中描き
チタニウムホワイトを使いハイライトを描いておきます。
空の空間をさらに強調するために、雲と雲の間のきかりを捉えます。
何度も描いているので、今回は少し絵の具を大胆に塗ってみてください。
タッチを活かした表現なども行いましょう。
173・油彩中描き
空にウルトラマリンを塗ります。
雲の間に穴をあける感じで、ブルーを置いて行きます。
空の深みを出すのが目的です。
手前は濃いめにして、奥に行くほどホワイトをまぜていきましょう。
174・油彩中描き
ホワイトとブルーをなじませて、空間をつくります。
空はグラデーションが基本ですが、雲がある場合はそれも違ってきます。
空気感を出すことを考えながら、雲の周りの色に神経を注ぎましょう。
175・油彩中描き
ピーチブラックを使いグレーを作り、一気に暗い部分にべた塗します。
ホワイトやブルーなども使い、雲の色に加えていきましょう。
筆を上手く使い、色彩をまぜながら、柔らかい質感を出してみる。
176・油彩中描き
レットとブルーを使い紫を作っておきます。
グレートとうまく使い分けてみましょう。
まぜてもいいので、いろんな色を雲の中に取り入れてください。
ここでも、明、中、暗を捉えて描きます。
177・油彩中描き
紫を上手く使いホワイトとなじませます。
遠近を考えながら、ぼかしていきましょう。
左側や手前は影が濃いもで色をつけたしながら、手前に近づけます。
178・油彩中描き
チタニウムを使い上から乗せていきます。
下地を利用して、雲の立体を表現し直していく。
雲を自由に作りながら、空の動きも出してください。
179・油彩中描き
光をとらえながら、明暗を調節しましょう。
手前と奥の遠近をよく考えましょう。
筆先の絵具を付着させるように描きます。
180・油彩中描き
手前の雲に深いグレーを入れておきます。
手前に来るほど影色を濃くしておきましょう。
181・油彩中描き
建物の上にある雲を描いて行きます。
グレーを始めに塗っておき、チタニウムホワイトをグレーの上から乗せます。
凹凸を表現するには、ホワイトの乗せ方を工夫してください。
空間を作りたいときは、ブルーで塗りつぶしていきましょう。
182・油彩中描き
ホワイトを生で使い、グレーやブルーになじませる。
ハイライト部分にチタニウムを入れますが、並行してグレーを手前に持ってきます。
183・油彩中描き
雲はほとんで、画面上で絵の具をまぜるようにします。
トーンの流れをつかみ取り手前と奥を作ってみまいましょう。
自然に遠近感を出して、前後関係を作っていく。
184・油彩中描き
筆をこまめに動かし、絵の具を操っていきます。
難しいことですが、絵の具を多めに使い、感触を利用して描いて行く。
筆を転がしてみたり、たたいてもいいので、いろんな筆遣いで表現してください。
185・油彩中描き
光をできるだけとらえて描いてください。
斜め右上からの光ですので、ハイライトは激しい光を放っています。
186・油彩中描き
雲の色彩トーンを広げると、画面の空間が広がります。
少しずつトーンを増やし、雲をさらに細かく見ていきましょう。
187・油彩中描き
雲の段差を作ります。
ホワイトを間に入れて、細かい表現をしていきましょう。
自然に任せ、筆の動きで光を調節する。
188・油彩中描き
いちばん手前を描き込み、画面の迫力を出しましょう。
迫るように描いて、奥との差を出しましょう。
少し透けるような色にして、光を感じさせると効果的です。
ホワイトを軽く乗せる練習もしてください。
189・油彩中描き
また奥に戻ります。
奥から手前まで描いて、また奥という感じで描くと、自然にな遠近になります。
雲は逆光で光る部分があります。
それを見逃さないようにしましょう。
190・油彩中描き
雲の色彩トーンを広げると、画面の空間が広がります。
少しずつトーンを増やし、雲をさらに細かく見ていきましょう。
191・油彩中描き
ホワイトに少し、イエローをまぜると色の変化を出すこともできます。
ブルーやレッドなどと使い分けると、さらに色彩の幅を広がる。
192・油彩中描き
ブラックとテールベルトを使い、奥の木に着彩します。
パーマネントグリーンなどもまぜて、明暗を細い筆で描きます。
シルエットに見える木ですが、左からの光を受けているので
色彩を使い分けるようにしてください。
193・油彩中描き
細かく点描で、葉の色彩を分子的にとらえる。
人間の目では、すべての葉は見えません。
葉の省略を、筆のタッチで表現してみましょう。
ここで、個性を出すことができるので、自分の表現に挑戦してください。
194・油彩中描き
アンバーとブラックなどで、木の枝を描きます。
見える範囲でいいので、描いてください。
自由に枝を増やしてもかまいません。
195・油彩中描き
ローシェンナやアンバー、、などをサップグリーンなどに合わせてみて暗い色をグレーズしておきます。
同じような色を周りにも使い、明暗を出す。
196・油彩中描き
ブラックとテールベルトで奥の暗い部分を塗ります。
イエローをまぜたグリーンを、葉の光る部分に置いてみましょう。
木の葉の前後関係を細かく見ていきます。
197・油彩中描き
テールベルトとパーマネントグリーンを使い手前の草などを描いえ行きます。
手前なので、厚みを感じさせてください。
深い色と混ぜ合わせ、奥行きを出していきます。
198・油彩中描き
影の部分に、いろんな色を混ぜて空間を出す。
手前にも茶系をまぜて塗り、奥には濃いめのグリーンを使いました。
葉の中の細かい色彩を出すために、もう一度くらい色を薄くのせます。
199・油彩中描き
少しホワイトを入れたグリーを、ファンを使いランダムに乗せました。
細い筆も使い細かく描いていきましょう。
ラピットメディウムを絵具にまぜて軽く置く感じで行います。
200・油彩中描き
奥から暗い色を塗っていきます。
だいたい同じような色で行い、下塗りをする感じで大きく塗ってください。
水面に木の影を塗ります。
これもテールベルトとブラックで塗りましょう。
上から同じように明るい色を塗ります。
201・油彩中描き
グリーンやブラック、イエローなどを使い水面に映る木の色を表現する。
暗い中での光を描くのですが、ランダムに木の感じを出してみます。
202・油彩中描き
ホワイトを少し加えた色で、葉の前後関係を表します。
明るい点描を右からの光を意識して、置いて行きましょう。
繊細な作業ですので、ゆっくり行ってください。
203・油彩中描き
細かく塗っていきます。
いろんな色を交互に塗るのがいいので、何本か筆を分けて使うようにしてください。
この木は背が高く、画面でも目立つので描き込んでください。
光と影のバランスが難しいのですが、何度も描き加えていきましょう。
204・油彩中描き
建物との境目をはっきり分けておきましょう。
右の壊れている建物の壁に、厚みを出していきます。
塔との距離感を意識して、草を描いてください。
右側はかなり明るい光をおびています。
205・油彩中描き
グリーンとの対比をよく見て、壁にホワイトが多めのライトレットを塗りましょう。
角が目立つのでカットを意識して塗る。
206・油彩中描き
テールベルトを使い、暗い部分を塗り直します。
下地をいかして深い色を出してみましょう。
手前にも同じように、もう一度色彩を施していきます。
ここは陰影の中での緑色を出してください。
207・油彩中描き
そのままいろんなグリーンを作り塗り重ねます。
屋根の手前は茶色の木があり、後ろの木はより奥になるように手前を描き込みます。
後ろの木は少し暗めがいいと思います。
手前にパーマネントを使っていきましょう。
208・油彩中描き
イエローやホワイトをまぜて明るめのグリーンを作りましょう。
同じ色を使っても下地によって少し感じが違います。
いろんなグリーンを分けて使えば、空間を広く見せることができる。
209・油彩中描き
グリーンとグリーンをパレットでまぜて、深みのある色にしていきます。
省略方法は人それぞれなので、僕と同じように描く必要はありません。
独自の方法で、描写してもかまいません。
ただ、この段階の下地は、確実にしておきましょう。
210・油彩中描き
もう一度色を塗り重ねて、暗い窓を表しておく。
形を起こし、細かい明暗をはっきりさせましょう。
隣の建物の影も塗り、奥との関係を明確にする。
制作経過まとめ
建物のモデリングと、草木の描き込みを始めました。
全体の色を作ることに力を入れて、遠近を測りながら作業してきました。
風景画の難しいところは、遠近感、空気感、バランスが大切です。
今回4回目ということで、作業のちょうど真ん中あたりです。
次回は中景を中心に作業していきます。
動画数が増えていきますので、重要な動画はチェックを入れておきましょう。
お疲れ様でした。