制作も大切なところまできました。
この作品は、細密に描くことと、空想の絵を作ることの2つの勉強をしています。
細密画は、描けば描くほど見えてきて、誰にでも描けるようになります。
描写のスキルを手に入れれば、画家として早く活躍しやすい。
また、今回空想力を使いバックも描いて、バランスをとることもして行きます。
二つの方法は、まったく別ですが作家としての早道を考えると、この勉強方法がいちばんいいと思います。
本描き3
自分の空想イメージを使い、絵にすることをよく考えながら制作しましょう。
物との色彩バランスや、空間の楽しさ、好みの額縁に合わせることも計算に入れて制作していきます。
動画では、僕も試行錯誤を繰り返して、何度も描き直していますが。
一回で描ける場合や何回も構想をアレンジし直すのは、制作するうえではよくあることです。
生徒さんも自分で静物を使って、いろんなアレンジをしながら制作してください。
この動画は、あくまでも参考として考え、自分の独自の絵画を生み出すことをしていきましょう。
手順をしっかり覚えてしまえば、反対の方法でも描いて行けますので。
制作のポイント
鍵と貝殻がありますが、そのまわりの空間を表現することが、今回の制作のポイントです。
空間表現は、簡単なようで結構難しい。
色彩の違いで空気感が生まれたり、壊れてしまったりします。
また、全体の色彩バランスや構成デザインで見え方が変わるので、全体としてうまくまとまっているのかをチェックしましょう。
描写もこの絵では、細かくしていますが参考程度に思ってください。
簡単ではありませんが、訓練を重ねることで描けるようになります。
まだ、ここまで描き込めない人は、自分がこれでいいというところで止めて、バックと物とのバランスと空気感に力を入れましょう。
絵としてのまとまりを目指してください。
とにかく絵になっていればOKです!
71・本描き
貝殻の先端と影のあいだに光を描き、空間を作ります。
細い筆で慎重に描き、はみ出ないように注意しましょう。
また、貝の明るい部分の空間も明るい色彩で作ります。
絵具をのせることで、空間が生まれてきますね。
72・本描き
引き続きランダムに、軽くまわりの色を入れ鍵の物質を強調していく。
鍵の穴の部分を、いろんな色彩のトーンを入れると空気感が生まれます。
ここでは、マングースの筆を使いました。
73・本描き
ヴェネチアンレット、ウルトラマリン、シルバーホワイトを使い反射を作ります。
この作業をめんどくさがり、影色を塗るだけで終わる画家は多いのですが、反射を描く事で空気感や物の立体感を強調できます。
ここで、一般の画家たちと差を生むことができるのです。
74・本描き
影の隣には、必ず光がさしています。
このような部分も逃さないようにしましょう。
素人とベテランの違いを出すことができます。
プロの画家たちは、このような細部の仕事をよく見ている。
75・本描き
ランダムに色を置き、全体の色彩イメージを考えます。
頭に白っぽいイメージがわいてきました。
76・本描き
小さい作品ほどまとめるのが、難しいことがあります。
あまり、うるさくないような画面にした方がいいかもしれません。
大きな作品だと、もっと凝ったこともできますので、少しずつ作品を大きくといいですね。
77・本描き
バックを明るくしたことで、貝の影色やハイライトも少し調整しました。
微妙な光線の色彩は、バーントシェンナ、バーントアンバー、シルバーホワイト、ヴェネチアンレットを使いました。
78・本描き
少し平板に見えた鍵の面を、起こしていきます。
ヴァン・ダイクブラウン、ピーチブラック、バーントアンバーをメインに使いました。
中間くらいの濃度で描きます。
79・本描き
どうしてもバックを描きこむと、鍵がくすみます。
今回は画面が光過ぎて画面が見にくいので、ルツーセは使いませんでした。
ルツーセを使うと絵の具を少し溶かすことができますが、今回は使わないのでそのまま描き足していきます。
80・仕上げ
細い筆で、細部の輪郭線をきっちり描きます。
より、写実的にとらえるためです。
この段階から、上描きですが、仕上げの段階として考えて下さい。
81・仕上げ
いい加減な部分と、バックを描き込んだときに消えてしまった部分を描き直している。
あらためて物を見直すことも重要です。
82・仕上げ
細い線を描くときは、どうしても画面に手がついてしまう。
手がついてもいいのですが、画面がぬれている場合は、小指を使うか杖を使うと描きやすい。
83・仕上げ
細かいハイライト部分に手を入れていきます。
ヴァン・ダイクブラウン、バーントアンバー、ローアンバー、シルバーホワイトを使いました。
84・仕上げ
細かい光を逃さず、さびや鉄の表現を起こします。
僕は目が悪いせいもあって、消えてしまった部分をまた起こしているわけです。
85・仕上げ
貝殻をもう一段階明るくしたいので、描き足していきます。
容量は、これまでと同じです。
貝殻の魅力をどのように引き出すかを考えましょう。
86・仕上げ
貝殻も描き起こしをして形を明確にしました。
細かい作業は、集中力を使いますので疲れたときはやめておきましょう。
絵がつぶれる場合もあるからです。
87・仕上げ
おもいきって、外枠にホワイトを塗ってみました。
影をおさえてみます。
布などでぼかしたりして,調子をぼかしたりしてみましょう。
88・仕上げ
ブルーを全体にちらしてみました。
ヴェネチアンレット、ウルトラマリン、シルバーホワイトの3色で壁の表現を構想しています。
89・仕上げ
自分の想像と実際の絵で、ギャプがある場合は、いろいろ試してみるといいと思います。
また違ったものが、生まれる場合もあるからです。
90・仕上げ
柔らかいイメージが出来てきました。
これは、描き込むことで、絵の具の層が色彩を作っているのです。
トーンがつながり、バランスがとれてきた。
遊びを入れて穴ぼこを描き込んでみた。
91・仕上げ
この段階では、まだ絵として確定していません。
まだ、イメージ段階です。
画面がどのように見えるのかを、把握しなればなりません。
92・仕上げ
一度仕上げるつもりで、描き込んでみました。
細部に白い光を入れて、綺麗な表現になるのか点描をためしてみました。
93・仕上げ
ここでも画面で遊びを入れています。
この絵では、複雑にしないため、3色と決めて描くのを原則にしました。
三色でいろんなパターンを試してみてください。
慣れてきたら何色使ってもOKです!
94・仕上げ
角にホワイトを塗って、変化を持たせてみました。
色彩が消えるような感じにしようかと思い始めています。
指を使うと微妙なニュアンスを与えることができる。
まとめ
ここまでくればもう、仕上げてしまう人も出てくると思います。
今回気を付けてほしいのは、あまり画面がかたくならないように描く事と、バックの色彩のトーンのバランスを見ることです。
鍵と貝柄が硬いものなので、空間はできるだけナチュラルに仕上げましょう。
柔らかい空間を作ると、額縁に入れたときの見え方が違います。
好みの問題でもありますが、額縁の色と合わせるとより良く作品をまとめることができる。
次回は、最終仕上げになります。
お疲れ様でした。