静物画を描く(イメージの中の静物)(F3) NO2

前回は下描きとしての、形とモデリングをしました。

オイルですが最初の段階は揮発性オイルのテレピンを多めに使いましたが、

今回は、前回の半分の量に減らしてください。

ペンティングオイル4+テレピン少量2を調合して使いましょう。

 

模写用の型

まだデッサンが苦手な人や、模写をしたい人のための塗り絵用の型を用意しました。

コピーしてキャンバスに写す方法と、見て自分んでそのままキャンバスに描く方法がありますので

参考に使ってください。

写す方法はオイルスケッチの授業を参考に!

 

中描き

今回も前回に続き筆をうまく使い分けて制作してください。

細密な描写に入るので、細い筆を遣って鉛筆のように細かい描写をしていきます。

色を塗るのですが、手先は文字を書く感じで描いて行きます。

小さい画面ほど、密度が重要になってくるので、集中力をさらに使うことになります。

今回もバックは、後に回しました。

初心者が精密に描く場合、手がどうしても画面につくと思うので、つけて描いてください。

あと、小指をつけて描く方法もあります。

本当はバックも同時に描くのですが、乾かない場合どうしても手がついてしまうので、この方法で描いて行きます。

 

制作のポイント

細い線を描く練習とかたい質感と重量感を出すこと。

今回も使う色は、少ないのでその少ない色のなかで多くのトーンを作る練習をしましょう。

また、パレット上で色を作る練習をして、実物に近い色が作れるのかも研究してください。

筆で混ぜた絵の具です。

下の方に少量のラピットメディウムを置いています。

 

24・中描き

バーントシェンナとピーチブラックで全体の形を整えます。

このあたりは、よく見て光をとらえてください。

 

25・中描き

画面上で色が自然に混ぜ合わせる感じで、描き続けます。

筆は柔らかいものを使い軽く塗ってください。

マングースの筆で軽くなぞると柔らかい絵肌になります。

 

26・中描き

ここで模様を入れます。

この作業は、いつ行うかは人によって違いますが、今回はわりと早い段階で入れてみました。

ダーマトグラフかチョークでアタリをつけて、色付けします。

この印をつけることで、細かい作業がしやすくなる。

 

27・中描き

印をつけるように模様を描いて行く。

下描きなので、軽く塗っていきます。

細かいので手が震えると失敗します。

このような細かい作業は慎重に行いましょう。

 

28・中描き

見えている部分をできるだけ描きましょう。

わたしは、老眼が入っているため以前より正確に細かい部分まで見えていません(笑)

自分が見える範囲でいいので、この段階でも塗りこんでください。

 

29・中描き

貝の影の色を入れていきます。

ヴェネチアンレットとピーチブラックをまぜて色を作ってください。

全体を軽く塗り、布を使い全体の端の部分を調節します。

軽くふき取る感じで。

 

30・中描き

さらに色を重ねます。

細い筆を使い先端から貝との境目をはっきりさせます。

少し明るい色も入れて反射が入る部分に入れてください。

 

31・中描き

今度は、カギの影を入れていきます。

貝の時と同じ要領で影色を入れてください。

ビニールの筆が使いやすいと思います。

 

32・中描き

細い筆で細部の鍵との境目をはっきりさせましょう。

ただ塗るのでは無く、対象に影を正確に捉えてください。

塗りすぎたときは、指で押さえて取るか、布でふき取ります。

 

33・中描き

鍵のサビと鉄の色を入れて質感を出します。

影に反射の光をいれて、陰影の中での色のはばを付けましょう。

反射を描く事で、鍵の裏側を想像させることができます。

 

34・中描き

貝の全体にローアンバーとシルバーホワイトを使い薄い灰色を作ります。

貝が少しかたいので、ボディーを入れて、柔らかさを加えます。

貝の口にバーントシェンナとピーチブラックをまぜて影色を塗り、奥行きを表現しましょう。

 

 

35・中描き

シルバーホワイトとバーントシェンナとローアンバーで貝の色をもう一度描いて行きます。

この作業は、とばしたい場合はなくても結構です。

 

36・中描き

もう一度形を明確にしていきます。

写っている部分を描き起こす作業です。

 

37・中描き

この作業を入れると貝の透明感が出ます。

これは、フランドル絵画技法の一つです。

油絵の具の透明感を生かした方法ですね。

 

38・中描き

細部を細かく描くと同時に光や貝の色合いを出していきましょう。

全部描かなくてもいいのですが、今回は見える範囲で描きました。

実際は、細かい模様や線がたくさん見えますが、

絵になることを考えて省略してください。

 

39・中描き

中間色を入れて、貝の美しさを強調していきます。

いちばん細い筆で細密に描いて行きます。

 

40・中描き

影との境目の色をよく見てください。

貝の縦と横のトーンも見直しましょう。

 

41・中描き

引き続き貝の質感を描き込みます。

自分の見える範囲でいいので、描き込んでみましょう。

何回か描くうちに、慣れてくると思いますので、自分の方法を探すといいかもしれません。

僕の方法は、参考として覚えておくと何かの役に立つと思います。

 

42・中描き

もう一度形を見直して、強い影を強調していきます。

鉄の質感と重量感を出すのが、難しいところです。

貝殻とはまた違う難しさがあります。

 

43・中描き

ヴァン・ダイクブラウンとバーントシェンナで全体の質感を描き込みます。

オランダ・レンブラント社のヴァン・ダイクブラウンは本当のヴァン・ダイクブラウンの色彩です。

他の製品は少し明るめが多い。

これは顔料の産地(国の土の色)の違いです。

好みは人それぞれなので、お好みのヴァン・ダイクブラウンを探してください。

鍵の中間色に最適で、ホワイトやブラックを混ぜることでいろんな表情を出してくれます。

 

44・中描き

チタニウムホワイトとネープルズイエローを使いハイライトを入れます。

光の色をよく見て、近い色を作ってください。

鍵にもチタニウムホワイトでハイライトを入れました。

 

45・中描き

チタニウムホワイトとシルバーホワイトをまぜて、

更にヴァン・ダイクブラウンでゆるめの光を入れます。

貝とまた違う光なので、違いを出してください。

ハイライトを入れることで、鍵の重量感が増しました。

 

46・中描き

古い鉄の感じを強調するために、古びた色彩を施します。

厚塗りで表現もできますが、この方法で描いた方が初心者には勉強になると思います。

絵具を自由に扱えるようになれば、厚塗りの方法でも簡単に描けるるようになります。

 

まとめ

ある程度、静物の形を明確にしました。

色が少ないので、単純に見えますが、その中で色のトーンを見つけて、違いを出すことは難しいことです。

単純なカラーのトーンを見極めることができるようになるには、デッサンを頑張る必要があります。

絵具を使うと同時に、デッサンも同時に訓練して描写の腕も磨いていきましょう。

この細密な作業ができるようになれば、絵を写実的に描く事が出来るようになり、どのような絵でも描けるようになります。

この授業は、絵を早く上達する方法の一つなので、何回も他のモチーフを使って制作してみてください。

お疲れ様でした。