厚塗り(インパスト)で描く油絵

厚塗りの絵で有名なのはゴッホやルオーが有名ですよね。

彼らの魅力的な作品の秘密は、厚塗りされた絵具にあると思います。

その絵の具の塊は画家の魂を感じさせる迫力と美しさがあります。

最近は厚塗りの絵を描く画家は少なくなってきていますが、

正しい制作方法を知っておくと何かと使える技法です。

 

厚塗りは油絵技法の代表

厚塗り(インパスト)は、油絵の表現技法の代表的なものです。

下塗りが完全に見えなくなるくらいの不透明な厚塗りをさす場合と、

硬い豚毛などの筆やナイフを使って部分的に絵の具を盛り上げたり、

タッチを強調したりする部分的な厚塗りがある。

この技法では、絵具の固さ(練りぐあい)が問題で、

ある程度の粘りがないと、厚塗りはできません。

14~15世紀の絵具は、薄塗りで色を重ねていく技法が中心でした。

19世紀中ごろから、絵具のチューブが商品化し、色数が増えるにつれ、

表現効果としての厚塗りが積極的に試みられるようになったのです。

 

描具によるマチエールの差

同じ厚塗りでも、筆とナイフではかなり違ったマチエールを生みます。

筆による厚塗りは、うねるような躍動感や柔らかさを表現しやすく、

細部の描き込みも容易です。

豚毛などの硬い毛を使う、軟毛の筆だと絵具自体の固さに負け、

キャンバスへのくいつきも悪く、堅固な画肌をつくれません。

ナイフやコテによる厚塗りは、シャープなタッチ、均一な画面描写が可能で、

ハードな男性的表現に向いている。

 

 

強く表現したいところに厚塗りする

厚塗りには絵全体を厚塗りで仕上げる場合と、

強調したい部分や画面上のアクセントとして厚塗りする場合があります。

ユトリロの「ルノバン通り」という絵を参考に観てみましょう。

この絵のテーマは手前にのびる道です。

両側に立ち並ぶ家々はやや厚塗りであるが、薄いグラシをかけたり、

筆のタッチを生かしたりしてさらりと描いている。

それに対して、道の表現は、ナイフを中心に厚く絵具を盛り上げ、

手前にくるほど荒々しいタッチになり、重量感あふれる画面の奥行きが表現されています。

それこのように、絵のテーマや、アピールしたい部分をとくに厚塗りすることによって、

より強い表現が生まれます。

 

色彩と構図・マチエールのバランス

ユトリロの構図の面からみると、X型透視図法で遠近感が描かれています。

いちばん強い厚塗りの表現は手前の道にみられるが、

画面左に建つ建物の影の部分と石塀、外面右の建物と空の境の壁など、

奥行きや立体感を強く表現するための構図上のポイントには、

厚塗りの強い表現が使われている。

同じ構図でも、絵の中心を遠近法の焦点(道の奥に建つドームや建物)におく場合は、

マチエールの強さは逆に奥にゆくほど強くなり、

空の描写は道と同じかそ以上に重要になってくる。

このように、ひとつの画面が画面として構成されるには、

色彩、構図、マチエールのバランスの3点が深くかかわってきます。

 

 

厚塗りのパートは危険がいっぱい

絵具の盛り上げと厚塗りは、油絵技法の代表的なものです。

しかし、極端に厚く塗られた画の凹凸と溝には、ほこりや空気中のさまざまなゴミがたまりやすい。

完成後、最低6ヶ月以上~1年の乾燥期間をおいてから、画面保護の仕上げ用ニスをひく必要があります。

第二に、厚塗りのパートには亀裂が大変入りやすい。

色を重ねるとき、下層の絵具が十分に乾いてからのせること、仕上げの段階で揮発性油を使いすぎないこと、

シッカチーフなどの乾燥剤を乱用しないことなどが、亀裂を避けるためのポイントになる。

また、上に重ねた絵具に確実に亀裂を生じさせるジンクホワイトは、

下地や描写中に使用せず、仕上げやハイライト部分などに効果的に用いるようにしたい。

 

まとめ

厚塗り絵具を扱うのはとても難しいことですが、

最近ではインパストメディウムというものも販売されているので

一度試してみましょう。

厚塗りを簡単に出来るばかりか、乾燥速度も速いので制作もスムーズにいくと思います。

問題は絵具の色を正確に把握して、色をつくってパートに置くことができるかが

難しいところです。

部分的に使うにも計算してよく考えて組み立てていかないといけません。

間違えたときは、ナイフでかきとってやり直しましょう。

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taesun

画家活動をしています。西洋絵画を専門としていますが、東洋美術や歴史、文化が大好きです。 現在は、独学で絵を学ぶ人と、絵画コレクター、絵画と芸術を愛する人のためのブログを書いています。 頑張ってブログ更新していますので、「友達はスフィンクス」をよろしくお願いします。